【決定版】リスティング広告の広告文の作り方

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こんにちは、リスティング広告とFacebook広告を専門領域としている、広告運用者の川手です。この業界で約8年ほど、毎日広告運用の仕事に携わっています。

本記事では、普段自分がどのようにリスティング広告(別名:検索連動型広告)を考えているのか、作っているのかについて解説していきたいと思います。

リスティング広告の運用に関しては機械学習を用いた自動入札を導入した広告運用が主流となっており、単純なアカウント構築テクニックやハック的手法によって成果を上げられる機会はかつてに比べて激減しています。

2022年現時点において、リスティング広告の運用を行っていく上でもっとも時間をかけるべきは広告文の作成、つまりは広告クリエイティブの作成です。

しかし、時間さえかけていればそれでいいものができるわけではありません。

以前ダルビッシュ選手@faridyu が「練習は嘘をつかないって言葉があるけど、頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ。」とツイートし話題となりましたが、リスティング広告も究極的にはこれと同じです。

時間をかけて広告を単純量産したり、管理画面に向き合い続けてユーザーの動向を探りより良い広告を作ろうとしても、コンバージョン率の高い広告文を作り出すことは困難です。

では、どのようにしてリスティング広告を作成すべきなのか

その質問にお答えすべく、今回はこちらの記事をご用意しました。

クライアントさんの絶大なご協力のもと、今までに新規 BtoC サービスを1年で年商1億円に成長させたり、既に他代理店で広告運用を行っていたものの獲得単価が高く伸び悩んでいたアカウントの運用を2ヶ月で獲得単価を10分の1にしたり、この世に存在していない、全く新しいサービスを普及させるべく尽力したりと、様々な課題に対し運用型広告という1つのソリューションを用いて事業の成長や、サービスの普及に尽力してきた実績があります。

参照:川手 遼一(かわて りょういち)のプロフィール

これらの成功の数々は弊社内のカンファレンス(毎月数回広告運用者による成功事例、失敗事例の共有が全社で行われているイベント)で細かく数値などを含め見聞きしているメンバーはご承知の通り、すべてこの本記事の内容を実施してきた結果得られたものです。

「しっかりとした広告文を作る」ということは、リスティング広告の配信結果を大きく変えることにつながるのは勿論、事業そのものを飛躍的に成長させることにも繋がります。

この記事では上記したような実績を出すための「リスティング広告の広告文の作り方」について解説していきます。

特に以下のような方にオススメの記事です。

  • これからリスティング広告を自分で運用しようとしている
  • リスティング広告の運用を開始したけど良い広告文が作れない
  • 代理店に運用代行依頼しているけど広告文に問題・課題意識を持っている
注意事項

当方広告代理店の人間なのであくまで「クライアントのために広告文を作る」という目線で作成の流れなどは解説していければと思います。そのため自社の広告を作成しなければならない方からすると「?」と感じる部分などあるかと思いますが、その点予めご了承頂ければと思います。

目次

そもそもなぜ広告文作成に時間をかけるべきなのか

そもそもなぜ広告文作成に時間をかけるべきなのでしょうか。

自分は以下3つの理由から、広告文の作成に時間をかけるべきだと考えています。

  1. 正しく工数をかけた際にパフォーマンスにもっとも良い影響を与えるため
  2. 自動化による恩恵をまだまだ受けにくい部分であるため
  3. ユーザーが見るのは究極的に広告だけでしかないため

1つずつ解説していきましょう。

(1)正しく工数をかけた際にパフォーマンスに最も良い影響を与えるため

この記事の中でも詳細語っていくことになりますが、正しく工数をかけた場合にもっとパフォーマンスに良い影響を与えるのは広告文です。

ただ闇雲に時間をかけて広告を黙々と作り続けたとしても、「広告文を作成する技術」が常に低い位置で一定に保たれれば駄作が量産されるだけです。

しかし「広告文を作成する技術」を身に着けた上で広告文を作成していくと驚くほどパフォーマンスに大きな影響が出てきます。

前述した通り自分は獲得単価を10分の1にした案件の実績がありますが、自分が手を加えたのは広告文の変更だけでし

これはあくまでも一例ですが、それほどまでにパフォーマンスに対して絶大な影響を及ぼすのが、広告文そのものなのです。

広告文は基本的に広告見出し、説明文、パスによって構成されており、特に作成する際には広告見出し、中でも「広告見出し 1」は最も重要な要素と考えられるため、特に時間をかけてでも良いものを作るべきです。詳しくはこちらの別記事でも紹介していますので、気になった方はそちらをご参照ください。

(2)自動化による恩恵を比較的受けにくい部分であるため

例えば自動入札戦略の導入により、キーワードの入札調整にかける工数が劇的に減少したアカウントは数多く存在します。

これは「自動化による恩恵を受けた結果」です。

しかし、このような恩恵がまだまだ及んでいない領域があります。「広告文の自動作成」も既に技術としては存在していますが、まだまだ自動入札戦略のように人間には出せないような結果を叩き出すというケースは多くはなく、導入されている媒体数も多くありません。また例外的に稀に人間の作った広告よりも数値的に勝るものが出てきていますが、多くの場合において「まだ広告文は人間が工数をかけた方が良い結果を出せる領域である」と自分は考えています。

参照:広告の候補について – Google 広告 ヘルプ

(3)ユーザーが見るのは広告だけでしかないため

名著『「売る」広告』などを読むまでもなく、旧来の非デジタルな広告の多くは「どこ」に出すか「何」を出すかが大半を占めていました。

しかしWeb 広告ではこれまでの広告では難しかった「どんな人に広告を配信するのか」を大々的に実行可能にしました。

例えばリスティング広告は特定のキーワードと広告を設定しておくことで検索者が特定の検索語句を検索バーに入力し検索した際、関連性の高い広告が検索結果画面上部に表示される仕組みの広告です。

つまり特定の語句を検索している、特定のニーズを求めている人に広告を出せる以上、あらゆる広告に比べ費用対効果が良いケースが多く、故にテキストにこだわらなくてもそこそこの結果が出るケースが往々にあったのです。

そしてその結果「何」を出すかが疎かになった傾向は確実に存在しています。

結局ユーザーが見るのは広告だけなのに…です

如何にターゲティングが高精度になろうと、結局人を動かすのは広告そのものです。

「特定のニーズを求めている人に広告を出せる」のは後発であろうと競合他社も同じなので、広告文をしっかりと作り込まなければあっという間に顧客を奪われ淘汰されてしまいます。

そのような状況に陥らないためにも広告文作成は疎かにすべきではなく、むしろユーザーが見るのは広告そのものでしかないので、もっとも時間をかけてでも良いものを作るべきなのです。

「広告を作る」以前にまず知っておくべき3つのこと

初めから広告文の作成が得意な人は極めて稀です。多くの人は広告文の作成に抵抗感を感じるはずです。

多くの理由は、以下のようなものです。

「広告を作った経験が無いから」
「広告を考えたことが無いから」
「広告作りには才能やセンスが必要そうだから」

実際にこの記事を読んでいる方の中にも、一定数苦手意識を持っている方はいらっしゃるのではないかと思います。しかし、実際に優れた広告を作成する上で豊富な経験、才能、センスは一切必要ありません。

そちらについても下記(1)〜(3)の中で解説していきます。 

(1)経験の有無は関係ない

まずはじめに、広告文作成は「技術」です。

そのため初心者でも繰り返し技術を用いて定着すれば効果的な広告文を作れるようになります。本記事でも後述にて解説していきますが、気をつけるべきこと、気にかけるべきことに注意しながら作成すれば、80点以上の広告は間違いなく作れるようになります

またこれは経験則でのお話になりますが、コツを掴み始めた方のほうが適当な広告文を作ってしまいがちです。

例えば広告見出しと検索語句を一致させようと滅茶苦茶な日本語の文字列を広告文に設定してしまったり、ユーザーが知りたいことではなく「とにかくこちらが主張したいこと」を前面に押し出した広告を作ってしまったり…こういう広告はあらゆる点においてプラスには作用しません。

そういった広告文をこなれてくると作ってしまいがちなので、経験者の方こそむしろ危ういのです。

(2)センスや才能は関係ない

センスや才能の有無は関係ありません。もちろん中にはそういった優れた感性を持った方もいるかもしれませんし、そういったものを持っているということは作り初めの頃は他の方と比べて大きなアドバンテージとなるでしょう。

ただあくまで広告文の作成は前述したとおり「広告文作り」は「技術」的な産物なので、技術はすべて後天的に身に着けられるものですから、センスや才能がなくても必ず作成できるようになりますし問題ありません。

「技術」という点では運転免許と同じです。例えば、天性的な運動神経の良さがあれば楽に免許が取れるといったことはあるかもしれませんが、別にセンスや才能がなくても運転免許は取得できます。それと同じで「コンバージョンの取れる広告文」は技術さえ習得でき、正しく技術を用いることができれば、誰でも作ることができるようになります。

(3)商品力(?)は関係ない

実際に広告を作成し配信してみても上手くいかず「商品力が低いから」「安価な競合がいるので勝てない」という風に、上手くいかない理由を考えられる方も少なくありません。

しかし、そもそも商品力とは何でしょうか。自分が以前に書いた記事の中で商品力について、下記のように定義しています。

1.オリジナリティがあること
2.明快であること
3.極端であること
4.癒着があること

売れるコンテンツの4つの条件」より孫引き

しかし「商品力」について、別の捉え方をする方も多く存在します。

例えばですが「商品力」について以下のように考え、自社製品、クライアントの商材を必要以上に低く見てしまう広告運用者は少なくありません。

  • 競合他社の方が価格が高い
  • 製品を比較した際に欠陥がある
  • 他社に比べて機能面で劣っている

しかし、それは本当に「商品力が低いこと」になるのでしょうか。それがユーザーが必ずしも商品に対して「魅力がない」と判断することに繋がると断言できるのでしょうか。

例えば価格に関しても競合が圧倒的に安価で提供しているからといって不利になってしまうということはありません。正直に価格を提示しつつ、ユーザーのメリットとなり得る情報を広告文の中に盛り込むことにより「とにかく安価な商材を求めている層」のクリックを排除しながら、売上につながる問い合わせをしっかりと獲得していく事も可能です。

広告文はあくまでも「技術」の産物なので、体得すれば誰でも80点以上のものは作れるようになります。そもそもリスティング広告は、テキストのみで構成されており、Web広告初心者でも成果が出しやすく、とっつきやすい存在でもあります。

参照:まずはリスティング広告から始めた方がいい7つの理由

「経験」や「才能」や「商品力」といった無いものねだりをしても現実は変わりません。まずは「良い広告文を作るためには経験や才能、商品力が必要」といった思い込みを真っ先に捨てましょう。

広告文を考える前に行うべき7つの情報収集

広告文を考える前に、まずは情報収集を行うべきです。

いきなり作り始めるのではなく、情報を集め、その上で広告文中に使えそうな要素を考えていきます。行うべき情報収集は、全部で7つ挙げられます。次の(1)〜(7)の通りです。

(1)ランディングページを熟読する

まず広告のリンク先に使用するランディングページの内容を熟読すべきです。

ページ内で使われているキーワード、ページ構成などをメモ用紙などに1つずつ書き出していき「なぜこの順番なのか?」「なぜここが太字なのか」といった点を確認していきます。

自分の場合はスマホで必ずランディングページを確認し「ユーザーが初めてランディングページを見る時の感覚」がどのようなものだったかを忘れないように、その際に iPhone の画面録画機能でその様子を記録しておくなどしています。

その際に記録したものは、その後の広告文作成時になどに参考にします。

他にも例えば弊社だと男性が女性向け商材の運用を担当する場合、女性メンバーにランディングページを共有して意見や感想を聞いたりしていることを見かけます。これによりランディングページにはない情報が上がってこないかを確認したり、そもそもターゲットユーザーが求めているのに抜け落ちている情報がないかと行った点を確認するなどします。

(2)担当者、現場の方にヒアリングをする

商材やお客さん(エンドユーザー)のことを根掘り葉掘り聞いていきましょう。実際に接客される方、オペレーターの方などから話を伺い、どのようなニーズを持たれているお客さんの対応をすることが多いのか、年齢や性別、顧客の属性情報、お客さんに共通して抱えている「3つのフ(不安・不満・不便)」を聞き出しましょう

【参照】【1時間で分かる】P&G流マーケティングの教科書

定量的なデータ(例:顧客アンケート結果など)でこれらの情報を渡してもらってもいいのですが、定量的ではない定性的な情報の中に革新的な情報が眠っている事も珍しくありません。必ず時間をかけてヒアリングを行いましょう。

例えば、自分は海外案件を行っていた時に現地の担当者の方から現地特有の情報を度々頂きました。もたらされる情報の数々はネットでいくら検索しても出てこないようなものばかりでした。特にニッチな情報ほど、なかなか表には出てきません。それらの情報がなければおそらく広告配信は全く違い形で行われていたはずです。このように担当者、現場の方からもたらされる情報は非常に重要で、ヒアリングはとても重要な行為なのです。

しかし、現場の方と話をしていても顧客の顧客(エンドユーザー)の話を聞くと「〜だと思います」「〜ではないかと思います」といった口ぶりになることも珍しくありません。その際はエンドユーザーに直接ヒアリングを試みて下さい。担当者の方や現場の方ですら把握していないような情報をエンドユーザーがもたらしてくれることは珍しくありません。

(3)エンドユーザーにヒアリングをする

よくこの話をすると「エンドユーザーは自分のことは言葉にできないから、会って話しても意味がない。自分で考えろ」と唱える方がいらっしゃいますが、自分は「そういう宗派もあるんだな〜」ぐらいに思っています。

「自分のことは言葉にできない」のであれば、そうわきまえた上で質問をすればいいだけの話です。

絶対にエンドユーザーからしか貰えない情報が存在します

複数人のエンドユーザーと話をする機会があるのであれば、事前に聞きたいことを考えておき、その場で一気に質問したりしても良いでしょう。例えばどこでサービスを認知したのか、どうして購入したのかなどを聞いてみると良いでしょう。

例えば自分はとある案件で、下記記事にもある通り実際に40名以上のエンドユーザーにお会いし直接話をしたことがあります。

参考:40名のコンバージョンユーザーに話を聞き、コンバージョン率を良化させた話

1:1で緊張感のある空間で質問をするよりも、お酒を飲みながら世間話をするような雰囲気で聞き出せればベストです。

相手に緊張感を与えてしまうと相手も「完璧な回答」をしようと回答を作り込んでしまう可能性があるためです。自分は実際に会食の席で情報を聞き出し、実際にその時に得られた情報をベースにサイトを改良し、結果コンバージョン率を大きく引き上げる事に成功しました。またその際に得られた情報をベースに後に広告の改良も行い、成果を伸ばすことに成功もしています。

例えば通販であれば梱包材1つとってもエンドユーザーは様々な意見や希望を持っています。それらの声に耳を傾けることは、良い広告を作る上で欠かせません。また直接広告文作成に活かせずとも、より良いランディングページ、エンドユーザーとのコミュニケーションの実現にはそれらの情報を活かす事ができるかもしれません。このように情報を活かせる場は多数存在するので、エンドユーザーにも可能な限り話を聞きに行きましょう。

(4)商材を実際に使ってみる

特に BtoC 商材の場合、実際に商材を使ってみて初めてわかることがあります

実際にクライアントにお願いして貰うこともありますし、買うこともあります。

例えば自分はヴィーガン関連の商材を取り扱っていた折に、1週間のあいだ完全ヴィーガンライフを試しました。実際にヴィーガンライフを経験し学んだことをベースにどのような広告展開を行ったかはこちらの記事に書いているので、興味がある方はご一読下さい。

(5)Google Analytics の過去データを確認する

Google Analytics のデータも可能であれば事前に目を通しておきましょう。

単一商材の場合、特にその商材に特化した関連ページなどを見ることで広告作成のヒントを得られることがあります。特に PV やセッションにページ別で偏りがあったりする場合、コンバージョンするユーザーがよく見るページが明確に存在している場合、時間がかかったとしてもしっかりと読み込みましょう。

広告運用者でも知っておくべき Google Analytics の知識については、過去に下記2つの note にまとめています。興味があればこちらもご一読下さい。

参照:広告運用初心者のためのGoogle アナリティクス ガイド

参照:広告効果最大化のためのGoogleアナリティクスガイド

(6)競合の広告を確認する

実際に検索結果画面で指定のキーワードで検索して競合の広告も確認しましょう。どのような要素を広告文に使われているのか、曜日や時間帯で顔ぶれが変わらないかなど、一通り目を通しておきましょう。

ただ見すぎてしまうと自分自身で広告文を作る際などに競合の広告文に引っ張られてしまうことがあるので、その点は注意しながら程々に取り組みましょう。

(7)店舗を見に行く

EC であっても実店舗を展開している場合、可能な限りお店に足を運びましょう。

実際にお店に行って商品を買ってもいいと思いますし、店員さんと話をしたりして、実際の客層や土地柄、店内の雰囲気を知っておくと広告文作成に活かせることがあります。カメラなんかも持っていき、許可をとった上で撮影もできれば理想的です。複数人で運用する場合、撮影した写真などは他のメンバーにも共有してあげましょう。

例えば自分は関西圏のとある EC のクライアントさんの広告運用を行っていた際に、実際に店舗に伺ったところ商品陳列がものすごく綺麗で雰囲気も良かったので「これ写真に撮って広告に使ってもいいですか?」とお願いし、その場でデジタルカメラで撮影を行いました。

今は社内の別担当者がその案件を運用していますが、その際に撮影した写真は未だに驚異的なパフォーマンスを発揮しており、広告上でも使用され続けています。

このように現場に足を運ぶと思わぬ素材が思わぬ場所で得られることもあります。その場の1つとして実店舗は挙げられます。そういった「お宝」が得られることも少なくないので、実店舗にはなるべく足を運ぶようにしましょう。

余裕があれば、競合の実店舗にも足を運べるとベストです。意外と類似商材を取り扱っていたとしても客層や単価、ラインナップの取り扱いの違いから直接競合しないことがわかったり、競合が店舗でどのような工夫しているかなど学びも多く得られるからです。

情報収集したものを整理しておく

次に「収集した情報をどのように整理しておくのか」についても解説しておきます。

(1)情報の保存先は1ヶ所に固めておく

情報は集めたら1ヶ所に保存しておきましょう

几帳面な方はスプレッドシートなどに事細かく書いて都度情報を追加していくほか、クライアントごとにノートを用意しメモするほか、Slack やチャットルームなどに書き込み残しておくなどしている方が自分の周りには多いです。

自分の場合は社内で ChatWork を導入していることもあり、そちらにメモして残しておきます。部下と情報のやり取りをする際に、そのメモを引っ張ってきて引用して使うこともあります。

(2)「情報の使い時」の目処を立てて保管しておく

情報には「使い時」があります

情報が整理整頓されていれているか、1ヶ所に情報を溜め込んでいればすぐ検索機能などを使って情報は見つけられますが、整理されていない場合「既に知っている情報」を後々で再発見したり、0から1を創造する必要があります。

これはひどく手間がかかる上、必要な時に見つけられない可能性があるというデメリットもあるので避けるべきです。

自分はこの「情報の使い時」を意識した情報活用が非常に苦手で、ある別の手法でこの問題を解決しています。自分は明確に「これは使える情報だ」と思える情報を入手した瞬間に「タスク」に細分化し Google カレンダー に登録するという手法を用いています

例えば1月開始の案件で「繁忙期は8月で毎年キャンペーンを考えて実施します」と言われれば、5月の Google カレンダーに「8月繁忙期向けのキャンペーンをこちらから提案する」とタスク追加してしまうような形です。そうすることでタスク漏れ、スケジュール管理等を漏れもないようにしつつ、情報整理を的確に実行しています。

あとは部下などにタスクのリマインドをお願いするなどして、複数人で仕事を管理し進めるようにしています。1人では如何せん忘却リスクがあるので、リスクヘッジのためにそのような取り組みを行っています。

(3)一次情報だけを参考にする

場合によっては2次情報を使わざるを得ないケースもあるかもしれませんが、可能な限り一次情報だけを参考にしましょう

特にクライアントなど第三者を経由したエンドユーザーの声などの情報は、悪意なく変更されてしまっているケースなども多く、取り扱いには注意が必要です。

二次情報で広告配信の方向性を判断する際などは用心し、裏付けとなるような数値的なデータの共有も求め、極力混乱が起こるのを避けるような動きが必要です。

結局のところ最後の最後に参考になるのは、自分自身で取得した情報、つまりは一次情報だけです。そのため自分の場合、常に動き回り、一次情報を取得するように心がけています。

KBFについて考える

情報を集め、整理したら次に KBF について考えていきます。そもそも KBF とは何なのでしょうか。ここではそれについても解説していきます。

(1)そもそもKBFとは

KBF とは Key Buying Factors の頭文字をとった略称で、日本語に直すと「重要購買決定要因」になります

ユーザーが商品の購入を考えた際に他の商品と比較したり、あるいはその商品を購入して得ることが可能な便益を模索し(場合によっては無意識のうちに)チェックするポイントが存在します。

そのポイントこそが KBF です。

(2)実際にKBFについて考えてみる

KBF の代表例として、次のようなものが挙げられます。

  • 価格帯
  • 納期
  • 商圏
  • 保証
  • 特典
  • レビューや実績
  • 決済方法

などなど…

他にも「“それ”が決め手となり購買可否が判断される可能性がある」といったものをピックアップしていきます。そして KBF に対して実数値などを当てはめて具体化していきます。

例えば対人サービス業などの場合、次のように置き換わるイメージです。

  • 価格帯→5,000円〜
  • 納期→最短即日対応
  • 商圏→23区限定
  • 保証→3年保証
  • 特典→無料保守点検
  • レビューや実績→4,000件以上
  • 決済方法→クレジットカード対応

上記の KBF を組み合わせるだけでも、60点ぐらいの広告文を作ることが可能です。ただし KBF を考え、広告文を作り出すという行為は競合他社も実行可能なため、広告上で競合との「明確な差」を広告で伝えない事には差をつけられません。

そこで事前に収集した情報が重要となってきます。事前に収集した情報と KBF を組み合わせて広告文を作っていくのです。

広告文を実際に作り込んでいく前に、以下3つを明確化していく必要があります。

  • 市場の明確化
  • セグメンテーション
  • ターゲティング

これらを考えることは「誰に広告を出すか」を考えることに繋がります。ここを抑えずに広告文を作り込むことはできないので、次にここを抑えていきましょう。

市場の明確化、セグメンテーションとターゲティングについて

ここでは「お財布(メンズ、レディースを販売)」を商材とした場合を例として、どのように市場の明確化、セグメンテーション、ターゲティングを行っていくのかについて解説していきます。

(1)市場の明確化

まずは「お財布」の市場を明確化します。ここはシンプルに考えるべきです。

ここではシンプルに下記図のように、主に「お財布を買いたい人」によって市場が形成されていると仮定します。

市場の明確化はこの程度の簡単なもので問題ありません。

(2)セグメンテーションとは

前述「市場の明確化」で定義した「お財布を買いたい人」を購入商品や購買目的、商品特性など、客観的に見て明確に切り分けが可能な属性情報で切り分けを行っていきます。

属性情報での切り分けに関して、3点注意点があります。例えば、属性情報として明確に切り分けができないものは使用してはいけません。

  • 明確なものでなければ切り分けには使用できない
  • 意味のある切り分けをしなければいけない
  • MECEで切り分ける

何をもって高級、高品質と判断するのかが不明確なため「高級志向」とか「高品質志向」などを属性情報として切り分けることはできません。

意味がない切り分けをしても無意味なので、使用する意味がない属性情報を用いて切り分けを行う事はできません。のちに戦略、戦術を考える際にも使える切り分けを行いましょう。

例えば財布を購入する人のセグメンテーションを行う上で「子供の有無」や「職業」を属性情報として持ち出し、切り分けを行う意味がない場合、それは意味がある切り分けとは言えません。

そして切り分けはMECE(漏れなくかぶりなく、完全な全体集合になるように)に切り分ける必要があります。例えば今回例として用いるお財布の場合は男女兼用ものがないことを前提としていますが、かりに男女兼用の財布が存在するとした場合は下記で行う切り分けが機能しなくなります。

この点に注意し、属性情報による切り分けを行っていく必要があります。

簡単にではありますが一例として、下記図のような形で「市場を明確化」を具体化することが可能なのではないでしょうか。

セグメンテーションとは、上記図で言う「お財布を買いたい人」を1つずつバラしたものの、ブロック1つずつのもの(下記図)を示します。

「メンズ財布を自分用に購入」「メンズ財布を贈り物用に購入」「レディース財布を自分用に購入」「レディース財布を贈り物用に購入」がそれぞれセグメンテーションに該当します。

(3)ターゲティングとは

例えば下記図赤枠だけに広告を集中的に投下する…といった場合、赤枠のセグメンテーションが「ターゲティング」されているということになります。

つまり「数ある選択肢(セグメンテーション)のうちどこを狙うか」がターゲティングという訳です。

例えば「貴社商材は贈物目的で購入されるケースが多く、そのため5月は母の日があるので、4月下旬から特定のセグメント(上記図赤枠)に絞って予算を一定額、集中的に投下しましょう」といった提案をする場合は上記図赤枠にターゲティングして広告予算を投下する妥当性があります。

他にも広告配信前に購買データや Google Analytics のデータを確認し、明確に性別や購買用途で偏りがある(明らかにギフト梱包を望む人が多いなど)場合はセグメントとして切り分けたところに的確に刺さる広告文を作り込んでいくようなイメージです。

また「KBF」と「市場の明確化、セグメンテーション、ターゲティング」は順番を逆にして考えても良いかも知れません。

例えば先に市場の明確化、セグメンテーション、ターゲティングを終え「レディース財布を贈り物用に購入」する人に広告を配信すると決めてから KBF を確認し、実際にエンドユーザーにヒアリングした内容などから「なぜこのお店のレディース財布を贈り物として買う必要があるのか」「”母の日 財布”と検索したユーザーがこのお店でレディース財布を贈り物に買う必然性を設けるには、どのような広告を作る必要性があるのか」という事を徹底的に考えながら広告を作っていくイメージです。

セグメンテーションとターゲティングについてはそれぞれ似ていてわかりにくい部分もあるかと思いますが、下記ツイートで滝井さん@hidenoritakii が用いている図はそれぞれの関係性が明確にわかる良い図かと思いますので、あわせてご一読下さい。より一層理解が深まります。

良い広告文を作る上で抑えておくべき7のチェックポイント

実際に広告は KBF を意識しつつ、事前に収集した情報を盛り込みながら作っていく形になります。

よりよい広告を作るために、7のチェクポイントを用意しました。以下(1)〜(7)がそれになります。

(1)何を伝えたいかが明確か

まずは広告配信を通じて「何」を伝えるかを明確化しましょう。

広告で多くの情報を伝えることは困難です。あらかじめ優先的に伝えるべき情報は限定しておくべきです。これは TVCM などでも同じです。田中泰延氏@hironobutnk も著書『読みたいことを、書けばいい。』の中でこれについて、以下のように語っています。

広告主には、伝えたい商品の特長が山ほどある。苦労して、ここもよくしよう、ここもよくしようと開発した末に販売するのだから当然だ。たとえば自動車などは数万点の「よくしよう」の集大成だ。走行性能がいい、室内が広い、安全性が高い、デザインがいい、燃費がいい、色がいい、名前がいい……痛いほどよくわかる。しかしわたしたち広告制作者は、心を鬼にしてその中からもっとも有利に訴求できそうな1つを選び、たとえば「今回は、燃費がいいことだけ伝えましょう」というプレゼンテーションをする。

読みたいことを、書けばいい。』より引用

特に以下3つについては入念に考え、その上で広告文を作る必要があります。

  • どのようなお客さんに見て買って欲しいのか
  • 広告を通じて何を知って欲しいのか
  • どのような情報を伝えれば有利に訴求できるのか

要するに、八方美人な広告ではダメなのです。

上記した的確なセグメンテーションされたうちの1つ(ターゲティング)に確実に刺さる広告を作り込んでいく必要があります。

(2)広告制作者がこだわり、思い込みを捨てて広告を制作できているか

定性的なこだわりは、全て捨てましょう。

例えば「うちは創業以来、品質の高さをお客様に伝えて成功してきた。Web 広告でもそれを前面に押し出したい」と言われたとしても、結果的には「品質の高さ」ではなく別の訴求の方が Web 広告上では圧倒的に効果的でそちらに予算をシフトしていくことが珍しくありません。なぜでしょうか。「オフラインとオンラインの決定的な違い」がその主な要因です。

例えばオンラインでは実際に商品に手があります質感などを確認することは困難です。また言葉を用いて伝えるにしても、例えばアパレル系の広告で「スラブ調カーディガン」と書かれていても、ファッションに関する知識がない方だと「スラブ調」の意味を理解することが出来ないため、伝わる情報は非常に限定的になります。

そのため基準も何もなく「高品質」と広告文上で謳ったとしても情報が抽象的すぎて受け手は理解できずに、広告上では何も魅力が伝わらず、結果見込み顧客にクリックもされずにスルーされてしまうケースを招いてしまう可能性が考えられます。

逆に「オンラインで伝えられる情報」を伝えることで大きく成功するパターンもあります。例えば上記財布の例で言えば「薄さ」「小ささ」「収納力(コインや紙幣、カードが何枚まで入るかなど)」「素材情報」などは数値として具体化して広告文上で訴求することが可能です。

参考商材:薄い財布 abrAsus メンズ 【送料無料】

NG 例:薄くて小さい高品質革財布
OK 例:【厚さ13mm】天然牛革の財布

こちらはあくまで一例ですが、上記 OK 例では数ある強みの中から「薄さ」を取り訴求を試みました。「薄さ」を訴求しつつ「天然牛革」を使用していることも表に出しつつも、単価としては1万円前後となるので敢えて素材情報を出し「そこまで安くはないけども、薄くていい財布です。」という雰囲気を広告文上で演出するような広告に仕立てました。

広告文はこのようにしてあげたほうが「薄い」「高品質」と押し出すよりも興味がそそられる方も多いはずです。

(3)客観的事実をベースに書かれているか

前述した通り「弊社の製品の強みは品質が高いことです」とテキストで書かれても「品質の高さ」は伝わりません。「品質が高い」という証拠を提示していく必要があります。

下記はあくまでも例ですが、客観的な事実をベースに広告を書き直すと明確に情報が伝わるようになります。

NG 例:デザイン性が高い
OK 例:グッドデザイン賞受賞

NG 例:すごい売れている
OK 例:発売開始1年で1万個以上販売

NG 例:高品質で低価格
OK 例:コードバン長財布が12,000円〜

エンドユーザーも暇ではないので「“デザイン性”が高いって書いておけばクリックしてもらえる」「“安い”と書いておけばいいでしょう」などと高を括って広告を作成するのは辞めましょう。

そして広告を読む方の大半はその広告の商材を知りません。そのため「分かってもらえる」などという甘い思い込みは捨てて誰にでも分かるような言葉を用いて情報を伝えるように努めましょう。

ちなみに個人的に、実際に広告文を制作し詰めていく際の小技として、2チャンネル開設者、インフルエンサーとしても有名な西村博之氏の名言「それってあなたの感想ですよね?」を脳内再生しながら確認していく方法を、広くオススメしています。

ちょっと笑える方法ではあるのですが(苦笑)意外と使えます。

(4)可能な限り数値を用いて具体化されているか

下記例にもう1度目を通して頂くとお分かりの通り、具体的に客観的な事実をベースに書く際には数値化して書くと明確に具体化されるため分かりやすくなるという特徴があります。

NG 例:すごい売れている
OK 例:発売開始1年で1万個以上販売

数値化が可能な点は数値化しましょう。逆に数値化することによって魅力が伝わらなくなる場合、そもそも「本当に魅力なのか」を考える必要があります。

「すごい売れている」というのはどんな商材でも言えてしまうことです。しかし「発売開始1年で1万個以上も売れた」と名乗るのには明確な実績が必要で、これは誰にでも真似できることではありません。特に真似をする事が困難な実績は数値化して明確化することで競合と比較された際に優位へと導いてくれることもあります。

(5)ユーザーが知りたいことを考え抜かれた結果か

広告ではユーザーが抱えている「3つのフ」(不安・不満・不便)を解決できる旨を提示できるようにしましょう。そのためにユーザーが知りたいことを考え抜きましょう。よく広告で「伝えたいこと」を伝えようとしている広告を見かけますが「この情報を伝えることが本当の意味においてエンドユーザーのためになるのか、エンドユーザーが知りたいことか」というのは何度も反芻して自問自答すべきです。

伝えるべきこと、ユーザーが知りたいことを伝えることが、結果迅速なエンドユーザーとのコミュニケーション実現に最も貢献します。

例えば、相手にこちら側が知ってほしいことを伝えようとするコミュニケーションは「説得」と呼ばれ難易度の高いコミュニケーションの1つです。しかし「説得」よりも相手が知りたい情報を伝えることで「納得」してもらったり、「お得感」を感じてもらって動いてもらう方が簡単に相手にこちらの望んだ行動に迅速に至ってもらえるケースは多いのです。

そのため広告文を作る際には「この情報を伝えることが本当の意味においてエンドユーザーのためになるのか、エンドユーザーが知りたいことか」というのは何度も反芻して自問自答すべきです。

(6)他社の広告文に影響されすぎない

他社の広告や広告文に影響を強く受ける方はいますが、これはそこそこに留めておくべきです。特に自社の売上が落ち込んだ際に競合調査を行う人も少なくありませんが、大規模なセールスや同一商圏内でなにか強力なプロモーションが展開され無い限り大きくコンバージョンが落ち込むということは考えられません。それよりも競合調査ばかりに時間をかけてしまい、自社運用の場合、サービスそのものが疎かになってしまうことも少なくなく、そういったことの方が遥かに問題です。

競合チェックだけしていて消耗するよりも「エンドユーザーの役に立つための行動」に時間をかけることを意識しましょう。それが「結果」につながってきます。

(7)あらゆる表示パターンを想定し作られた広告か

広告文を設定したとしても、プレビュー通りに広告が表示されるとは限りません。

例えば Google 広告の場合、常に媒体側で様々な広告表示テストを実施しています。近年では「広告見出し2」が一部省略されてしまうケースや「広告見出し3」「説明文2」に至っては殆ど表示されない…などといった動きがあります。

詳しくは下記別記事の中でも解説していますが、そのため広告文を作成する際は「広告見出し1〜説明文を一通り読めば意味が理解できる」といった内容にしてはいけません。そのような動きがあることを想定し、より短く端的に、的確に伝えたい情報を広告上にまとめて伝える必要があります。

広告に使用可能な文字数について

リスティング広告では広告文作成時に使用可能な文字数に制約があります。主にリスティング広告を国内で展開する場合、Google 広告か Yahoo! 広告を展開する形になるかと思いますが、それぞれの広告で使用可能な文字数については下記記事でまとめて紹介していますので、気になった方はこちらの記事もご参照下さい。

広告文に使用可能な記号について

リスティング広告には「 【 」など使用することで視認性を引き上げることができる、広告で使用可能な記号が存在します。Google 広告か Yahoo! 広告で使用可能な記号については下記記事にてまとめていますので、気になった方はそちらをご一読下さい。

まず最初に作るべきリスティング広告とは?

まずは最初に作るべきリスティング広告についても言及しておきます。

(1)まずは「拡張テキスト広告」だけでいい

リスティング広告には複数の種類が存在します。例えば Google 広告だけでも下記4種類のリスティング広告が存在します。

  • 拡張テキスト広告
  • レスポンシブ検索広告
  • 動的検索広告( DSA )
  • 電話専用広告

多く広告運用者が複数の種類の広告を入稿し配信しようと試みるケースが一般的なのですが、それらを全て初めからコントロールしきれる運用者は極稀です。そのためまず最初は「拡張テキスト広告」だけで運用を開始し問題ありません。

下記記事にて詳しく記載していますが、2022年6月30日以降は新規の拡張テキスト広告の入稿、既存の拡張テキスト広告の入稿などは出来なくなります。

参照:Google 広告にて拡張テキスト広告が2022年6月30日以降は新規作成・編集が不可能に

しかしそれでも「まずはレスポンシブ検索広告」というのは、特に初心者にとってはハードルが高く、上記記事にも詳しくは記載していますが、海外メディアや運用者の間でも「拡張テキストが使えるうちは拡張テキストを使う方が良い」という話も出てきています。

もちろん、レスポンシブ検索広告などは徐々に追加していくなども行って頂いても問題ないのですが、まずそもそもしっかりとした広告を作り込むことが出来ていないケースが多いので、その状態で複数のレスポンシブ検索広告を作ってもパフォーマンスが驚異的に上昇する可能性は高くありません。

そのためまずは比較的ABテストなどが容易にできる「拡張テキスト広告」だけで良いので作成し、広告配信を開始しましょう。

(2)アセット(旧:広告表示オプション)については可能な限り全て設定する

アセット(旧:広告表示オプション)と呼ばれる、広告が表示される際に同時に表示されるオプションが存在します。これは必ず、可能な限り全て設定しましょう。これは媒体公式ヘルプ上でも推奨されています。

Google 広告ではレスポンシブ検索広告のパフォーマンスを最大限に高めるため、Google 検索が行われるたびに、表示する追加のアセットが選定されます。そのため、お客様のビジネス目標に適したアセットをすべて使用することをおすすめします

アセットについて – Google 広告 ヘルプ』より引用

(3)広告文上では主観を捨て客観的事実だけを書く

広告文を作成する上で始めは戸惑う事も多いかも知れませんし、ずっと広告文のことを考えてくると混乱してしまうこともあるかもしれません。

そういった場合はシンプルに考え、本質を見極めていくことが重要となります

特に混乱してきた場合は主観を捨てて「その広告を初めて見た人がその広告を理解できるかどうか」を重視してみて下さい。客観的な事実ではない主観に基づく情報が掲載されている広告は第三者が見た際に理解できない旨については前述した通りですが、まず混乱したらその点について再度検討、検証を行いましょう。

(4)ルールに抵触しない広告文を作る

社会的ルール、各媒体が定義しているルールに基づいた広告文を作成しましょう。特に医療広告ガイドライン、医薬品医療機器等法(薬機法)、化粧品等の適正広告ガイドラインに基づいた広告になっているか、媒体が禁止している旨が広告上に記載されているなどしていないかなどを確認する必要があります。

Web 広告はこの数年で取り締まりが非常に厳しくなってきていますが、今後もより一層その傾向は強まるのではないかと考えられます。

例えば、Yahoo!広告は2021年2月8日以降、今後下記3つの広告が確認できた場合、「重大な違反表現」と認定し以降その商材の広告が一切掲載できなくなる可能性があると言及しています。

  • 明らかな虚偽、誇大広告
  • 重大な健康被害の恐れのあるもの
  • その他「Yahoo! JAPAN 広告掲載基準」への重大な違反と当社が判断する表現  

【参照】違反実績をふまえた広告審査開始のお知らせ

このように今後どんどん取締が非常に厳しくなり、ルールから逸脱した広告では成果が出ないどころか広告そのものの露出ができなくなってしまう可能性があります。そのためこの点には今後より一層注意が必要です。

おまけ:広告案を磨くちょっとしたコツ

最後により良いリスティング広告を作る上で有効な、広告案を磨くちょっとしたコツについても触れておきます。

(1)広告案を捨てない

広告案は捨てずにストックしておきましょう。

特に下記のような理由で「没」となった広告案でも、のちに使用できるようになる可能性があります。

  • 実績が少ない
  • 広告文の規定文字数に入らない

実績などは時間の流れによって確実に今後設定する可能性が高いものも多く、頃合いも明確な場合は事前に Google カレンダーにタスクとして追加しておく、ChatWork で「タスク」として期日を設定して登録しておくなどしてもいいでしょう。

どう頑張っても広告文の文字数制限に引っかかる場合なども、広告媒体側での広告文字数変更、配信中の広告媒体の追加などで可能になるケースも考えられます。

そのためこれらの理由で「没」となった広告案も、しっかりと残しておくべきです。

(2)広告案を定期的に見返す

広告案は定期的に見返しましょう。

「初期の頃に考えた効果が期待できそうだけど配信できなかった広告」などが後々に活きてくるケースも珍しくありません。自分はお打ち合わせの席でクライアントと過去の考えた広告案や、実際に広告案を提示する際に「本当はこうしたかったけど…」「こんなの考えてみたけど…」的な話をすることが珍しくありません。そうすることで先方が話を覚えておいてくれて、しばらくしてから「あの時話していたアレ、やってみません?」的な話を持ちかけてきてもらえることもあります。

また前述したとおり、1箇所にまとめておけば定期的に見返す事も可能です。半年に1度ざっと見るだけでも違ってくるので、広告案は定期的に見返すようにしましょう。

(3)広告案を人に話して反応を見る

広告案を人に話して反応を見ましょう。

案を自分の中で死蔵させてはいけません。特に自分は広告案をそのままクライアントに提案したり、実装する自信がない時こそ人に話してフィードバックを求めたり、部下にも遠慮なく積極的な提言を求めたりします。そうすることで広告案が磨かれ、結果より良い物になるケースがあるからです。特に自信がない時ほぼ、広告案は人に話して反応を見ましょう。

(4)常識に縛られすぎない

成功事例に縛られても、結果が出ないことは珍しいことではありません。前人未到のことにトライする勇気も、常に兼ね備えておくべきです。例えば自分はかつて、ある商材の広告運用をした際にあえて広告文に「方言」を取り入れることで成功した事例があります。

おそらくですが「リスティング広告には方言を取り入れましょう」とは、おそらく一般的なリスティング広告に関する教則本や、広告代理店のオウンドメディアにも記事として記載されてはいないはずです。

しかし、本記事の中でも説明した通り、KBF を考えたり、最適な広告メッセージを考えた上で、「最適な広告メッセージ」の1つとして「方言によるアレンジ」を広告文に加えることで、コンバージョン率を引き上げることに成功しました。

常識に縛られすぎていると、そもそも「方言を広告文で使おう」とはならないはずです。しかし時には常識に縛られずに、「これ誰もやっていないみたいだけど….どうだろう?」と思い、手を動かしてみると意外な結果が得られるケースも珍しくありません。

最後に

リスティング広告は初めて登場してからかなり時間のたった広告ではありますが、手軽に設定し配信でき、かつ費用対効果が良いことも多いためか、こだわって作る方がまだまだ少なく、しっかりとした広告を作成し配信することで新参者にとっても有利な戦いができる広告の1つでもあります。

また「広告文作成には時間をかけるべき」「広告文は大事」という論調はここ数年強まってきていますが「なぜ大事なのか」「何がどう大事なのか」「何にどう時間をかければいいのか」は不明確なままでした。

そのため今回言語化を試みました。

この記事を参考に広告文を作成し、1人でも多くの方が成果を実感して頂ければ幸いです。

また本来広告文について考えるためのリソースを、キーワードに割いている方少なくないかも知れません。

下記記事では「キーワードをどのように設定すべきか…」という点について深く言及していますが「キーワードにこだわるよりも、広告文について時間をかけたほうがいい」という点についても、一読いただけるとご理解頂けるものになっています。

参照:【初心者向け】リスティング広告のキーワードの考え方

キーワードはリスティング広告において非常に重要な要素ではありますが、そこまで時間をかけるべきものではありません

もし広告文を作成し、次にキーワードはどうすればと、悩んでいる方の参考になれば幸いです。

文責:川手遼一