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自分は「キャリア」というテーマで今までにも、当ブログや他メディアなどを通じ、下記3点について語ってきました。
- 今までみてきたこと(例:広告運用者のキャリアの話)
- 過去取り組んだこと(例:広告運用のスペシャリスト1年目に取り組んだ13のこと)
- 今考えていること(例:生成系AIを仕事に使う3つのリスクとリターン 活用のポイント)
また直近公開した「広告運用のスペシャリスト1年目に取り組んだ13のこと」に関しては、公開後に様々な方からX(旧 Twitter) でさまざまな方からご意見をいただきました。
その一方、本記事には以下の3つの課題があると感じていました。
- 直近1年以前の取り組みに言及していないため、おそらく読者の一定数以上はこの記事を自分ごと化して読めていない
- 1.の理由により読者に自発的な良い行動を促せない
- 2.の理由により、一部の人からするとただの自己満足記事として受け止められている可能性が高い
そのためそれらを補うためにも、それ以前のキャリアにおける実体験や取り組みを記事化すべきかと考えていたのですが、下記のような思いから筆が乗らず…
- アウトプットするのが大変そう(具体的な話はできるが、それを抽象的に表現するが難しい)
- 自分自身のこれまでのキャリアが特殊という自負があるので「一般化するのは難しいのでは?」という思い
- そもそも自分自身豊富な転職経験があるわけではないため、そもそも語るに値しないのでは?
いつしか記事を書くことを忘れてしまっていました。
そんな最中『図解 「いいキャリア」の育て方』という書籍を、たまたま手に取る機会に恵まれました。
本書では私の過去の取り組みがすべて肯定的に書かれており、読んでいて「自分のやり方は間違っていなかった」と強く感じ、思った以上に救われました。
また、自分で勝手に「自分が語るべき」と思っていたことが全て網羅されていて、大変助かりました。
今後はキャリアについて質問されたら「名著『図解 「いいキャリア」の育て方』通りにやっています」と答えようと思います。
本日は、その書籍『図解 「いいキャリア」の育て方』についてご紹介します。
目次
初読の感想として率直に「この人(青田さん)やばい!自分がやってきたことを先行してやってて、めっちゃ体系化してくれてる」と感じました。
また前述した通り、私の過去の取り組みが肯定され、自分のやり方が正しかったと確信し、救われた気持ちになりました。
これは個人の感想ですが、最近のキャリア本は下記1.〜3.のような俗っぽいものが多く、個人的には一部を除き、若干の圧迫感、嫌悪感さえ感じていました。
- 転職して年収アップ
- リスキリングでキャリアアップ
- 副業で儲ける
その点について本書では一切言及されていないわけではないのですが、本書は道徳的にも精神的にも「いいキャリア」を作りたい人向けに書かれているせいか、圧迫感を嫌悪感を感じることもなく、安心して通読することができました。
全体的に良かったのですが、個人的に読んでいて色々と考えさせられた点について、6点ほど挙げておきます。
本書は全体を通じて柔らかい語り口ではあるものの、冒頭で少し辛口な提言として「頑張りどころには旬がある」点について親切に言及しています。
頑張りどころには旬がある
なお、まずは動いてみることが重要だとお伝えしましたが、その時期やタイミングも大切です。なぜなら、「努力のレバレッジが効きやすいタイミング」や「門戸を開いてくれている時期」があるからです。
『図解 「いいキャリア」の育て方』より引用
自分もこれは本当にその通りだと思っていて、特に30代、40代になってから動くのと、20代のうちに動くのとでは行動量に対して得られるリターンが、良くも悪くも大きく変わるよう感じています。
極端な例としては、漫画『医龍』では「(外科医としての)力のピークは35歳」と紹介されていましたが、広告運用の世界はそこまではいかないまでも、特にプロフェッショナル領域に達したいのであれば、詳細は後半「(3)資源(体力)と資産についての言及」でも言及しますが、可能な限り若いうちに現場で体と頭を動かした方が絶対的に有利です。
自分は今振り返ると、人生の早期に今の仕事の土台となるような知識を身につける経験に恵まれたように思います。
- 10代前半の頃からブログに触れる機会があり(当時はブログブームだった)HTML を触っていた
- 10代後半には自前のブログにアドセンスを導入し、広告システムに触れていた
- 20歳の頃から現職でのインターンを通じて広告運用に没入する機会に恵まれた
また会社自体の離職率が異常に高い時期に新卒〜3年目を経験する機会にも恵まれ、普通であれば携われないような形で仕事に携わる機会に恵まれたというのも、大きかったです。
自分自身含め、常々早期に仕事ができるようになる若手の共通点として、早期に「(できれば単独で取り組んだ結果として)成功体験があること」があることが重要だと自分は考えていて、逆に仕事をはじめて遅くとも3年以内に成功体験を積めないと、その後の成長にも影響があるように考えています。
本書では「自分の可能性を信じられるようにする」上で複数の要素を提示しており、中でも1つ目に「自分の成功体験」という言葉で、その重要性について言及しています。
要素その1は「自分の成功体験」です。
これから挑もうとしている課題に対して、すでに類似のケースで成功している経験があれば「以前どうにかできたから、今回もどうにかできるだろう」と思いやすくなります。また、これまでに何度も成功を重ねている人は、自分に対する信頼(=自信) が高まっていることが多く、挑戦する課題ごとではなく、ベースとしての自己効力感が高くなっている場合があり、何事においても前向きな姿勢で臨みやすくなります。
『図解 「いいキャリア」の育て方』より引用
自分の場合、3年以内に成功体験を積めないと良くも悪くも下記のような状態になるケースもあるため、なるべく部下を持った際には意識するようにしていますし、「そういった状態に陥るようになる可能性がある」ということを本人に伝え、少し残酷かもしれませんが本人に行動するかどうかの判断を委ねるようにしています。
- 職業適性があるのに別業種に転職してしまう
- 仕事に対する飽き、渇きを感じ退社してしまう
- 数年おきに、何も実績も残せないまま転職する形が常態化
本書はタイトルに「図解」とついていることもあってか図解されたものが多く登場するのですが、資源(体力)と資産の関係性について、綺麗に図解し紹介されています。
この図における要点は、下記3つにあるように思います。
- 資本や資産への転換はブラック環境では難しい(実現できないわけではない)
- 肉体(場合によっては精神を含む「資源」に低下)は環境に関わらず、老化を避けられない
- 資格の有効性は40代では意味をなさない
例えば、自分自身20代前半の時に比べて視力は特に落ちたように感じますし、体力も落ちたように感じています。
最近数年は健康診断でひっかかることも続いたため、下記のような取り組みを行っています。
- 毎日2km程度のランニング
- 良い椅子を使う
- 腰のエクササイズ用品を購入、頻繁に使用
しかし、これらをやったとしてもあくまで老化を軽減するだけで、完全に歯止めとなっているという体感はありません。
前述した通り、自分はキャリア最初期に離職率が異常に高い環境に身を置いていたこともあり、明らかに自分の器では回ってこないような仕事に巡り合う機会が多々あったため、結果的に「(1)頑張りどころには旬がある」でも言及したような時期に多くの経験をつむことができたのですが、その一方で残業代は全額支給されるものの終電まで仕事をすることも常態化していたので、土日を使ってかなり無理な資本や資産への転換(主にブログやTwitterでの活動)を図って取り組んでいた記憶があります。
ただ結果的に多少無理をしたとしてでも資本や資産への転換を図ったため、先行者利益を確保できたり、一部では第一想起を獲得することができたので、資本や資産への転換は早いうちに取り組んでおいてよかったように思っています。
これは個人的に読んでいて面白かったのですが、俗にいう「頭のいい」が4タイプに整理されていた点も興味深かったです。
本書の中ではそれぞれのタイプごとにキャリアアップする上での重要なポイントが異なっていることについて言及されており、そういったメンバーを持つ人にとっては参考になるような情報が書かれていました。特に自分の部下は優秀だと感じている人からすると、一読の価値ありかと。
「お前が頭がいいわけないだろう」という意見はさておき、無理やり自分を入れるのであれば「4.クリエイター」かなと思っています。
1-3は「頭がいい(Smart)」ですが、4に関しては「頭がいい(Clever)」ではないかと。つまり、1-3は賢いですが、4は(ズル)賢いではないかと(苦笑)
ちなみに「4.クリエイター」に関しては下記のようなアドバイスが書かれており勝手に、なるほどなーっと、つい深く納得してしまいました。
さまざまな経験や好奇心、遊び心といった「経験への開放性」が求められます
『図解 「いいキャリア」の育て方』より引用
この辺りとかは読み進めていて、特に「あれ、なんでこんなにも自分が直近で考えたことを先行して体系化してくれてるんだろう」と強く感じました。例えば、自分は直近下記のような図解を公開したのですが…
本書における図解はさらにそれの抽象度を引き上げたような内容になっていて、自分がイメージしていたものとピッタリ合致していて、読み進めている中で改めて思考を整理することができ、とてもよかったですし、また「自分以外にも自分と同じように考えている人がいる」ということを知ることができ、安心することができました。
本書では下記のように「実績を整理しておくこと」の重要性が語られており、理由についてもこのように言及されています。
資本の4つめは「実績・信頼・評価」です。
『図解 「いいキャリア」の育て方』より引用
一緒に働く同僚やクライアントからすると、一緒に仕事をしたことがないうちは、あなたがどれだけの力量がある人なのか、働きやすい相手かなど、参考にできる材料がありません。
そのために実績や信頼や評価が必要となることがあります。業務に懸命に取り組むことで実績ができ、それらが積み重なることで信頼や評価、評判へとつながっていきます。
また手法としては職務経歴書を、STAR 形式で書くようにとも案内されています。
そこでおすすめしたいのは、転職活動をしなかったとしても「半年〜1年に1回くらいは職務経歴書を更新していく」ことです。記憶が失われないうちに作成する必要がありますので、数年に一度ではなく、これくらいのスパンがちょうどよいかと思います。
『図解 「いいキャリア」の育て方』より引用
職務経歴書のほかにおすすめしたいのが、「STAR」の形式でまとめることです。STARとは、「状況 Situation」「課題 Task」「行動 Action」「結果 Results」の頭文字のことです。
『図解 「いいキャリア」の育て方』より引用
自分も転職意欲があるわけでは無いのですが、最近は実績は定期的に整理し、まめに ブログや Wantedly などに記載しておくように意識しています。
まめに更新するのはシンプルに自分自身が忘れてしまうからというのも大きいのですが、こうしてまとめておくことで以下のようなメリットもあります。
- 年俸査定の際に評価材料として上司にサッと提出することができる(使用してもらえる可動かは別として)
- 初対面の方にどのような仕事をしているのか説明不要に(検索すれば情報が出てくる)
- 自分がどのような人間か説明不要に(自分の場合はストレングス・ファインダーの結果も公開しているため)
実績に関してはおおぴろげに公開できないものは職務経歴書などに書き留めておくべきですが、一方「公開できるものはどんどん公開し、Google をはじめとする検索エンジンにインデックスさせておくべき」というのが持論です。
この考え方は下記阿部さん@semlaboの発言に起因するものなのですが、自分自身も同様に、特に Web 系の世界に身を置いていて、実際に「Google にインデックスされていない情報は存在していないのと同じ」と感じることが多いためです。
つまりどんなに面白い仕事や自分が活躍できた仕事があったり、社会的に意義のあるような取り組みを展開できたとしても、それがインデックスされていなければ「無い」ことと同じというわけです。
例えば多くの法人サイトでは「お客様の声」を掲載していると思うのですが、そういったものの個人verを自分でキュレーションし、用意しておくことが重要ではないかと個人的には思っているのです。
本書の中では最後に資産が増えることで自由度が上がり、結果選択肢が増える点についても言及されていますが、自分はリスクもあるように思っています。
自分も実は直近で資産や資本の恩恵を受け、仕事で成果を出すことが出来たり、自由に色々と取り組めるようになっていたりもするのですが、その一方で常に下記のようなリスクを抱えているように感じています。
- 苦手な仕事をやらなくてもよくなる(自分の仕事の器が広がりにくくなる)
- 天狗になる(第一想起を完全に取った気になる)
- 人より炎上リスクを強く感じる
- 資本や資産の崩壊リスク(TwitterのX化に伴う変更など)
資本や資産の崩壊リスク(TwitterのX化に伴う変更など)に関して個人で取り組めることとしては、なるべく分散させるなど程度しか手がないのですが、そもそも「本当に人が離れているのか?」などについても静観する必要がある気がしています。
また最近、現職では広告運用以外の、自分の器を広げてくれるような仕事も増えてきました。
自分が頼まずとも、新しい仕事が次々と降ってくる今の環境が、私が独立しない大きな理由の一つです。それらの中にはフリーランスでは経験できないようなものもあり、自分はとても満足しています。
資産や資本が増え同様のリスクを感じている方は、身を置く環境について改めて再考してみるとそういったリスクを一部でも軽減できるかもしれません。
結論、とても良い本です。
自分はすでに社会人経験が約10年ほどありますが、それでも多くの学びを得たり、冒頭でも書いた通りぼんやりを思い描いていたものを体系化して整理することが出来たりしたため、読んでいてとても助かりました。
キャリア本の類はいわゆる意識高い系と言われるような方をターゲットに書かれたものが昨今は多いのですが、帯にもある通り「やりたいことがない 消耗したくない でも詰みたくない」そういった方に向けて書かれた本でもあるため、そこまでキャリアについて熱が高くない人にこそ、おすすめの一冊です。
文責:川手遼一