『FRAGMENT UNIVERSITY 藤原ヒロシの特殊講義 非言語マーケティング』書評

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著者がこうした形で思考や過去の取り組みについてまとめて、多くの人に伝える場を設けるとは想像もつきませんでした。

こうして書籍になったものが手元にあり、学べることに深い感慨を覚えます。

本記事は Amazon レビューとして自身が投稿した内容を再考し、投稿したものです。

本書の特徴

時代を象徴するようなカリスマ的存在は、数多く存在します。

しかし、ファッションや音楽に精通し、日本にさまざまな文化を持ち込み定着させたほか、海外にも多数のコネクションがあり、日夜さまざまな仕掛けに取り組み、今なおそれを楽しみ続けている。

ここまで異質な方は、世界中で見てもそう多くはいないはずです。

未だに多くの方から慕われ、尊敬されている氏が、自身の仕事ぶりを振り返り、何を考えそうしたのか、どのように行動したのかなどが学べた場でもあった『藤原ヒロシの特殊講義 非言語マーケティング』(2023年10月から2024年3月まで開講)

その内容が凝縮されたのが、本書です。

通読時に感じたこと

結論を先に書くと、いい意味で通読時に「意外」と感じることが多かったです。

例えば、以下の通りです。

1.博学かつ興味の幅が人より広い

著者のラジオを毎週欠かさず聴いています。

ラジオを聞く限り、「興味の幅が人より広いんだろう」とは思っていましたが、想像以上でした。

例えば「DAY2 社会学-メディア論-」では、マーシャル・マクルハーンについて触れながら、自分なりに解釈したマクルーハン論を交えつつ、メディアに対する考え方を伝えるなどしています。

マーシャル・マクルハーンというカナダの文明批評家であり英文学者です。

彼は社会の根底にある原理を読み解いたといわれており、数々のメディア研究を発表してきました。

1950年代、60年代から今に続くことを予知していたという点で、彼の書物には出版業界にとって時代を読み解くうえで重要なことが書いてあります。

代表的な言葉で“The media is the message”というものがあるんですが、これはメディアそのものがメッセージであるという彼の主張です。

印刷というものによって多くの人に情報が行き届いた中で、メディア自体が社会に影響を与えていると。発言するメディア自体が情報になっているのではないか、という論理です。

引用元:『FRAGMENT UNIVERSITY 藤原ヒロシの特殊講義 非言語マーケティング

そうかと思えば自然建築にも精通しており、「DAY5 建築学 -空間デザイン論-」では、こういった話から空間デザイン論へと展開していきます。

北アイルランドに「ジャイアンツ・コーズウェイ」という石道があります。これは自然にできた六角形の石柱群が、幾何学的に盛り上がってできたものですね。

こういう自然建造物って世界中にいっぱいあるんです。で、これがニュージーランドの海岸線にあるプナカイキ村の「パンケーキ・ロックス」といって、ミルフィーユのようにレイヤーになったものが重なり合ってできている。

あとアイスランドのブラックサンドビーチも、不思議な真っ黒い石の柱がいっぱい立ってできています。

横になっているところもあり、日本にも福井の東尋坊に行くとこういう、円柱が立ったものがありますね。

引用元:『FRAGMENT UNIVERSITY 藤原ヒロシの特殊講義 非言語マーケティング』より抜粋、一部加筆(太字加工)

ちなみに、私はこの章を読んだ際に「… ええええ」となってしまいました。

自分も書籍を購入する数ヶ月前、たまたまアイスランドを訪問し、たまたまブラックサンドビーチに足を運んでいたからです。

ブラックサンドビーチにて(撮影:川手)

そもそもアイスランド自体、多くの日本人の方は訪れないケースの方が多いのではないでしょうか。

そしてアイスランドのブラックサンドビーチは、日本人にとって認知度の高い観光地ではありません。

自分も偶然、ツアーで回った旅先の1つでしかありませんでした。

おそらく彼も偶然、あるいはたまたま何かで知り実際に足を運び、そこで自分と同じ光景を見て話しているのではないかと思われます。

2.多くの人と、常にフレッシュな形でチームを組み仕事をしている

FRAGMENT UNIVERSITY にて、実際にサポート役を担われていた皆川さんは氏の仕事の仕方について、次のように言及しています。

僕はLOVOTの仕事で初めてヒロシさんと会いました。

広告業界ではよくあるんですが、大御所のクリエイティブディレクターの多くはアートディレクターやコピーライター等と一緒に、複数人で打ち合わせに臨みます。

でも、ヒロシさんはいつも一人か二人で来るんです。

毎回、固定の藤原組というのはないようで、都度違うチームを組まれていて、仕事の数だけチームがあるというのがヒロシさんについてまず驚いたところです。

ヒロシさんの周りには、ジュンさん、ポケモンさん、モンクレールさん、ナイキさん、そして、このフラグメントユニバーシティチームというように、仕事の数だけ惑星みたいにいろいろなチームがあって、それらがたくさん同時に動いているから、大量の仕事もできる。

それでいて一つ一つの仕事が非常に早いんです。

たくさんのチームを動かす中で、いつものあの人にすぐ頼んじゃおうという場合も当然あるとは思うんですが、極力それをやっていないから、ヒロシさんが常にフレッシュでアップデートされ続けているのかなと、近くで見ていて感じました。
仕事の数だけ個性的なチームをもてるように僕自身もなりたいなと思ったけど、意外とこれは難しい。

引用元:『FRAGMENT UNIVERSITY 藤原ヒロシの特殊講義 非言語マーケティング

実際、氏がはじめたポッドキャスト「BAD PHARMACY」もその1つではないでしょうか。

画像引用元:BAD PHARMACY

配信開始しまだ数回ですが、ラッパーの TaiTan 氏や上出氏とともに、さまざまなテーマについて話をしています。

彼らとは旧知の仲なのかもしれませんが、自分は彼らと氏が一緒に何かに取り組んでいるのを見たことがありません。

「BAD PHARMACY」を1つのプロジェクトとして考えるのであれば、実際にそこで自然と新しくチームが組まれ、フレッシュな状態で話が進んでいるのかもしれません。

3.誰とでも仲良くなれる

顕著なのは、スターバックスの例ではないでしょうか。

例えば、1982年にマーケティング マネージャーとしてスターバックスに入社し、現在の世界展開されているスターバックスを作り上げたハワード・シュルツ氏と初めて会った際にも、彼は自然と「共通のつながり」を見つけ、仲良くなってしまうエピソードは、とても象徴的でした。

藤原 ハワードさんが初めて日本に来たときに僕は会ったんです。何かの取材だったかな、そのときにたまたま同じ時計をしていて。

ロレックスの「ポール・ニューマン」という今はすごく値上がりしている時計なんですけど、当時はそこまで高くなかった。

そんな黒い「ポール・ニューマン」をしている人はほとんどいなかったので、時計の話をちょっとして、そのまま夜にお寿司を食べに行ったんです。

皆川 なるほど。そう聞くとすごくカジュアルな方に思えるんですが、スターバックス的には全然なんですよね。

鈴木 カジュアルではないですね(笑)。私たちにとってはある意味神様みたいな人なので、そんなに近くに寄れない感じはありますけど。でも意外と…。

皆川 社員の皆さんが苦笑しています

引用元:『FRAGMENT UNIVERSITY 藤原ヒロシの特殊講義 非言語マーケティング

すごい人です。HF

最後に

本書はマーケティング書籍というよりも、比較的近年の彼の仕事や、彼がどのように情報をキャッチアップし何を学び、どう考えそれらを実行したのかを理解する上で最適な書籍と言えるでしょう。

ただし、世の中で広く知られている「マーケティング」という言葉からは、彼が取り組んでいる「(非言語)マーケティング」はだいぶ外れたものであるとともに、相当属人性が高い(理解できたとしても模倣困難性が高い)ため、それらを理解した上で、通読を試みた方が良いでしょう。

また、別著で『丘の上のパンク』というものがあります。

書影:『丘の上のパンク』(撮影:川手)

2009年に刊行されたこちらの書籍では、他の古い仕事や交友関係、当時どのような住居に住んでいたのか、どういった場所でどういった音楽を楽しんでいたのかなども紹介されていますので、より深く、彼のことを知ることができます。

FRAGMENT UNIVERSITY 藤原ヒロシの特殊講義 非言語マーケティング』を読み、興味を持った方は、ぜひこちらも手に取ってみると良いのではないでしょうか。

文責:川手 遼一