広告運用のスペシャリスト1年目に取り組んだ13のこと

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もともと複数人の部下を見つつ広告運用をしていたのですが「運用そのものにもっと没入したい」という思いが強くなり、上司に相談し社内調整してもらい、去年からスペシャリストとして部下を持たずに広告運用の仕事をしています。

そのため現在は直属の部下を持たず、弊社オペレーションセンターや外部パートナーの方に携わっていただくことで、会社の枠組みも超えて1つの大きなチームとして日々広告運用を行っている次第です。

本日は備忘録として、スペシャリストとして活動し始め、直近で取り組んだ13のことについて解説していきます。

同じように広告運用者をマネジメントするのではなく、広告運用に没入したいタイプのキャリアプランを直近で考えている方の参考になれば幸いです。

川手 遼一
川手 遼一

本記事は社内カンファレンスで共有した内容を外部向けにリライトしたものとなっています。

マネジメントリソースを何に使うか

まず最初に考えたのが「今までマネジメントに投下していたリソースを何に使うか?」です。

自分の場合は色々と計算した結果、常時30%前後をマネジメントリソースとして投下していた事がわかりました。

そのため「今までマネジメントに投下していたリソース(30%)を何に使うか?」とまず考え、動き始めました。

単純に30パーセントをそのまま広告運用だけに投下するのも1つの手です。しかし、そうやって単純最適化するだけでは自分自身にとって面白くありませんし、そもそもすでに広告運用を10年近くやってきた人間がさらに30%広告運用にリソースを投下したとしても、伸びしろはそこまでありません。

そこで自分は30%のリソースを投下していく先を「社内」「社外」の2つに分け、今後取り組んでいく可能性が高いものとして以下3つについて詳細に書き出しました。

  • すでに取り組んでいること
  • 取り組んでいきたいこと
  • いずれ必要になりそうなもの(ただしやりたくはないもの) 

図解したものがこちらになります。

Things to work on (things to do, when divided between internal and external)
30%のリソースを投下していく先(社内外)

さらにそこから「緊急性、重要性が高いもの」「自分が意欲的になれるもの」に該当するものに注力したいと考え、また「すでに取り組んでいること」や「やりたくないもの」は除外し、結果的に「まずは社外を中心に」と判断し、以下5つのポイント(太字)にリソースの投下を開始しました。

Things to work on (when divided between internal and external)
30%のリソースを実際に投下していく先(社内外)

本日はこちらの5つのポイント、計13の行った取り組みについて解説していきます。

1.Pinterest アドに関する取り組み 

Google 広告のようにすでに確立したスペシャリストの方がいる領域ではなく、スペシャリストのいない領域で勝負をしていこう」と最初から考えていました。

そこで新規媒体として、すでに注目を集めはじめていた Pinterest アドに目を付けました。

もともと以前から噂はありましたが、2021年9月頃から本格的に日本での広告配信に関する情報が出始めました。

当時日本では正式に広告サービスはローンチしていなかったのですが、リリース前から自腹でテスト配信など試みるなどし、その内容をブログにまとめて公開していたりしました。

またその際に色々と情報を集め、事前に Pinterest アドと相性の良いクライアントさんには、配信結果や仕様をまとめたものを共有し「ローンチしたら即配信を開始させてほしい」とお願いをしていました。

結果的にPinterest アドは2022年6月1日には正式にローンチしたのですが、直後より広告配信を開始することができ、運用しながら情報を調べ、まとめたもの(下記記事)も公開しました。

Twitter でも定期的に、Pinterest アドに関して言及していました。

そういった取り組みの甲斐もあり、Pinterest アドを通じ一定の成果を出すことができました(詳しくは Pinterest アドの公式事例資料に寄せたコメントなどをご参照ください)

以前に別記事でも紹介した通り、まさに「4.専門領域を見つける」を実践したわけですが、結果 Pinterest アドを起点に次々に色々な仕事へと話が広がっていきました。

2.インタビュー対応

Pinterest アドへの言及をしていたことが起点となり、フィードフォースさんからお声がけ頂き、インタビュー対応することになりました。

またそれとは別に GMO ペパボさんからもお声がけ頂き、インタビュー対応する機会に恵まれました。

3.自社ウェビナーへの登壇

Pinterest アドに関しては早期に取り組んだ影響もあり、また実績を早期に社内シェアし、社内でも複数取り扱いがスタートしたことで知見を貯めることができました。

それらを社外向けに発信すべく、社外向け勉強会を開催しました。

こちらのセミナーは230名申し込みがあり、170名が参加し、質問も約90ほど頂きました。

資料を作ったり質疑応答を受けることで自分自身 Pinterest アドに対する理解が深まるのはもちろんですが、実際にこのウェビナーを起点に複数の新しい取引もはじまりました。

そのため、一定自社の業績にも貢献できたのではないかと考えています。

4.社内の情報共有整備

同時並行で進めたのが社内の情報共有整備です。

弊社では Chatwork を導入しており、Chatwork を通じて情報共有されることが多いのですが、下記のような問題を抱えていました。

  • 情報共有がされる部屋が集約されていて情報が流されてしまいがち
  • 基本広告媒体別に部屋が用意されているが用意されていないものもある
  • 情報共有に最適な部屋がないジャンルがある(例:デザイン系、生成系 AI 関連など)
  • 媒体名称が旧名称のまま設定されており検索しても引っかからない(例:Metaと検索しても部屋が出てこない)

上記問題点は誰しもが日々使っていて少しストレスを感じたりすることも多いはずです。

しかし、意外とみな後回しにしてしまったりするため、誰も手が付けられていませんでした。

そのため自分が着手し、部屋の追加や名称変更などを図り、最適化を試みました。

また他にも新規で取り扱いが始まった広告媒体についてはいち早く媒体部屋を作り、アカウントの開設方法や運用上の注意点、配信結果などを社内にシェアするなどしていました。

5.寄稿

11月から12月にかけて生成系 AI が GPT-3.5 のリリースなどに伴い注目を集め始めました。

自分も年末年始にじっくり触り「これは業務への影響が大きいはずだ」と判断し、個人的な好奇心から当ブログでも様々な記事を書いていました。

そういった記事が起点となり、日経クロストレンドの方から声がかかり記事を寄稿するに至りました。

またその記事を読んでくださった方からの依頼で、さらに関連記事の寄稿も行いました。

6.共催セミナーへの登壇

自社セミナーのほか、共催セミナーにも3つほど登壇しました。

  1. 《終了》広告運用のすごい人に聞く!Web広告で成果を得るための公開お悩み相談セミナー
  2. 【開催終了】/【マイクロソフト社登壇】Microsoft 広告勉強会 媒体社と語る特徴と、活用のポイントを事例をもとに解説(無料オンラインセミナー)
  3. 【開催終了】/ChatGPTでマーケ担当の文章作成負荷を軽減!メール・WEB広告・記事コンテンツ作成&添削力アップセミナー

GMO ペパボさんでのインタビュー記事をベースにした共催セミナーでは、事前に寄せられた EC での広告運用に関するお悩みに対し、その場で考え即興で回答するという試みを展開しました。

Twitter スペースも同時展開したため最終的な視聴者数は不明ですが、多くの方にご参加していただくことができました。

Microsoft 広告のセミナーは日本マイクロソフト株式会社の古田さんとご一緒したもので、日本マイクロソフト公認のイベントであったということ、まだ Microsoft 広告を運用している人が少ない時期であったということもあり、600名の定員を開催数日前に達成し、事前にフォームを閉じなければならないほどたくさんのお申し込みを頂きました。

当日は古田さんから媒体概要を、自分からは運用結果をシェアし、質疑応答では2人で100問近い質問に即興で回答していくという、良い意味で狂気じみた(苦笑)セミナーとなりました。

ChatGPT の共催セミナー関しては、株式会社ラクスの宮坂さん、株式会社LIGのまこりーぬさんとご一緒に、ChatGPT をはじめとする生成系 AI の使用用途について解説したセミナーです。

こちらは Zoom のプラン上限(1,000名)を早期達成するなど、 Microsoft 広告の際と同様、事前にフォームを閉じなければならないほどお申し込みが殺到したほか、後日アーカイブを公開したところ500名以上の方の申し込みがあり、反響の大きさに驚かされました。

また上記3つのような、共催セミナーの主目的は商談獲得ではないのですが、これだけの数のお申し込みがあると商談獲得やそこからの新しい仕事への取り組みなども発生しており、当初想像していた以上に価値がある取り組みであったように感じています。

7.生成系 AI に関する社内ルール整備

当ブログや日経クロストレンドに生成系 AI 関連の記事を投稿していたことをきっかけに、自社の生成系 AI に関するルール・ガイドライン整備にも携わりました。

実際に作成したルール・ガイドラインは既に社内で機能し始めています。

8.記事監修

自分は自社のオウンドメディア記事を執筆していないのですが、他メンバーが自分の登壇したセミナー内容を記事化し、自分はそれを監修する機会に恵まれました。

9.採用イベントへの登壇

自社の採用イベントにも複数登壇しました。もともと昔やっていた採用イベントに関する取り組みがあったのですが、それを今年に入ってから再開させたような形になっています。

年内もあと複数回登壇する予定です。

10.広告運用社向けTwitterスペースを主催

これは99%趣味ですが、社外で仲良くさせていただいている広告運用者の方と一緒に、広告運用に関する Twitter スペースを2回開催しました。

1回目は1週間前から告知し、広告配信をしたことも影響し、500名以上の方が参加してくださいました。

2回目はゲリラで突如開催しましたが、200名近い方が参加してくださいました。

1回目の集客に使用した広告の運用結果についても、詳細に結果も記事化し外部向けに公開しました。

冒頭でも説明した通り、Twitterスペースは99%趣味で行ったものです。しかし実際にこのイベントの後に採用イベントを開催したところ、採用イベントにスペース参加者の方が複数名参加してくださいました。

そのためそもそも採用効果を狙って行った取り組みではないのですが、結果的に採用にも一定効果を出すことができました。

11.外部のイベントに登壇する

日頃情報発信をしていたことをきっかけにお声がけいただき、以下2つの外部イベントに登壇する機会を得ました。

特に有園さんには直接、色々と切り込んだ質問をさせていただきました。

12.企画に参加する

ブログを書いていたことをきっかけに、アドビさんの企画「みんなの資料作成」に参加する機会を得ました。

13.1〜12をやりつつ個人の定量目標をしっかりと達成する

弊社は定量評価(取扱高・手数料)で処遇(昇給昇格など)を評価する仕組みとなっています。

参照:リスティング広告、Meta広告(Facebook広告)運用者の中途採用を強化しています

つまり、いくら情報発信に取り組んでいたとしても、評価そのものが大きくされる事には、直接つながらないわけです。

ただ自分は定量評価と情報発信について、下記のように考えています。

  • 処遇は定量評価(取扱高・手数料)を基準に評価すべき(それ以外で評価すると、結果不公平感が出がち)
  • 情報発信はあくまで本業(広告運用すること)のおまけ
  • ただし、例えおまけであったとしても、一定量と期間、正しい方向性で正しい情報発信を続けると、運が良ければ定量評価にプラス作用することがある

自分の場合、2022年度は今までの積み重ねと運の良さから、定量目標を達成することができました。

なぜ今あらためて直近での取り組みを振り返ったのか

理由が3つあります。

(1)先人が周りにいなかったため

自分の場合、同じような方法で広告運用のプレイヤーとして道を究めたような、キャリアプランを考える上で参考になりそうな人が周りにおらず、他業種で似たようなことをやっている人を見つつ、自分自身で一から考え行動する必要がありました。

また例えばそういった人が「1年」という時間を与えられた際、どのように時間を使っているのかについて言及されているネット記事なども見当たりませんでした。

そのため「では自分が」と思い筆を執った次第です。

(2)書籍『スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ』に感化されたため

直近で読み、非常に感銘を受けた書籍『スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ』に感化されたというのも、理由の1つです。

本書はエンジニア向けの、いわゆるキャリア本の類ではあるものの、マネージャーではなくプレイヤーとしてキャリアを考えている人向けに作られた書籍となっており、本文でも次のように紹介されています。

テクニカルリーダーシップのキャリアパス(職歴の道筋)には不明瞭な点が多く、スタッフプラスは何をするのか、という一見シンプルな問いにさえ、答えるのが難しい。

スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ』より引用

スタッフエンジニアになりたいと願うシニアエンジニアは、どんなスキルを身につければいいのだろうか?

技術的な能力さえあればいいのだろうか?実際にスタッフプラスになった人は、何をしたのだろう?

この道を進みたいエンジニアを、マネジャーはどうサポートできる?スタッフエンジニアの仕事を楽しむことができるだろうか?

それとも、自分に合わない役職に就いたことに何年も苦しむことになるのだろうか?そうした疑問に答えるのが本書の目的だ。

スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ』より引用

本書のユニークなアプローチポイントは、まとめると下記のようになります。

  1. マネジメントをする側になるためのキャリアアップフローには再現性があり、多くの会社で既にガイドラインがある
  2. プレイヤーの場合、キャリアアップフローにあまり再現性がなく、目指そうと思っても大体手探りになりがち
  3. しかし、大まかに必要とされていることをまとめる事はでき、また一線で活躍している人がそれぞれ何を組織内で行っているのか、どのようなこと日々を考えて、どのような仕事をしているのかについては1人ずつ取材し、インタビュー形式でまとめることは出来る(それがまとめられたのが本書)

本書を読んだ際、自分は「もしかすると同じように広告運用のプレイヤーである自分も、何を組織内で行っているのか、どのようなこと日々を考えて、どのような仕事をしているのかについて語る意味(価値)があるかも」と考え至り、記事にした次第です。

(3)何をしているのか上司以外の社内の人にも伝えたかった

スペシャリストになってからは特に、上司以外の社内の人と仕事の話をする機会はほぼありません。

そういったこともあり、気のせいかもしれませんが「あれ、最近川手なにやってんの?(広告運用…してる?)」という視線を社内で感じることが増えたような気がします(苦笑)

「運用はもちろん、色々やってんのよ(笑)」ということをシンプルに社内の人に伝えたかったというのも、改めて振り返り記事にしました。

最後に

自分はスペシャリストとしてはまだまだ駆け出しですが、今後も広告運用を中心に、様々な取り組みに対して精力的に挑んでいければと考えています。

6月からは自分も会社のカジュアル面談にも参加するようになるので、「直接もっと詳しい話を聞いてみたい」「単純に小話してみたい」という方がいればどうぞお気軽にご参加ください。

文責:川手遼一