Google広告にありがちな7つの誤解

当サイトは、Amazon.co.jp の商品を宣伝することにより、紹介料を獲得できる Amazon アソシエイト・プログラムの参加者です。

当記事に Amazon へのリンクが含まれている場合、それをクリックし買い物をすると、当サイト(および当サイト管理人)に対して一定の収益が発生します

発生した収益の一部は、持続的なサイト維持のために使用されます。

ちなみに下記リンクをクリックし Amazon内で何かしら買い物をしていただくと、当サイト内で紹介した商品以外の購入でも収益は発生します。

https://amzn.to/3REJQgU

もし「ブログの内容が役になった」「記事のおかげで助かった!」といった方は上記リンクをクリック頂き、Amazon内で買い物をしていただければ幸いです

悩ましいのは、協力頂いた皆さんには持続的なサイト維持以外何の見返りもないということです。せめて皆さんから頂いた額を見て、ブログ読者の方への感謝の気持ちを忘れぬよう日々努めます。

Google 広告は2021年現在、ほぼ世界中の誰でも気軽に設定・配信できるような存在にまでなりました。

しかし正しくない情報や指標の名称からの思い込みにより、間違った形で広告運用をしてしまうケースも少なく、実際に自分自身も広告運用に関する相談や質問を受け付けることが増えてきています。

そこで今回は自分が実際に客席で質問されたり、誤解されている方を多く見かけるポイントを7つピックアップしてみました。本記事が少しでも多くの方にとっての、Google 広告に対する正しい知識を身に着けることの手助けになれば幸いです。

ありがちな7つの誤解について

7つの誤解については以下のとおりです。

(1)キーワードとは検索語句である

キーワード=検索語句ではありません。言葉自体は似ていますが「キーワード」と「検索語句」は全くの別のものです。

詳しくは下記記事にもまとめて記載していますが、ざっくりとですが以下のような違いがあります。

キーワードとは、ユーザーが検索している語句と広告を一致させるために使用される単語やフレーズであり、ターゲットとするユーザーに広告を表示するために、広告グループに設定する語句のことです。検索語句とは、Google 検索や検索ネットワークのサイトでユーザーが実際に検索に使用した語句そのものを示します。

参照:キーワードのマッチタイプについて
参照:検索語句レポートについて

(2)◯◯率が低い広告はダメ

広告の良し悪しを単一指標のみで判断すると高確率で失敗します。よく見られるのが「コンバージョン獲得」を目的に広告配信を行っているのに、「クリック率」を目標設定してしまい、誤った判断してしまうケースです。例えば「クリック率」を重視し広告ABでテスト配信した場合、以下A,Bといった広告のどちらが優れていると言えるでしょうか(以下数値は一例です)。

クリック率が高いのは確かにBです。でも本当に広告として優れているのはBなのでしょうか。

最も重要なことは「何を目的に広告配信しているのか」ということについて、しっかりと考え理解しておくことです。その点を考慮せず運用を進めていくと、上記のように単一指標のみで数値を判断し誤った判断をしてしまいがちです。(上記のケースの場合、そもそもクリック率を KPI にするという発想がそもそもダメなのですが…)

広告は「何を目的に配信しているのか」を明確にしつつ、その上で広告の効果を判断し評価・管理していく必要性があります。

広告の目的設定、効果計測、評価、管理については『新版 目標による広告管理―DAGMAR(ダグマー)の新展開』に詳しく書かれているので興味がある方は精読をおすすめします。1960年代に書かれた古い書籍ですが、今現在の広告配信におけるにも通じるものがあります。

(3)品質スコアは広告オークションにおける評価材料の1つ

品質スコアは広告オークションにおける評価材料にはなっていませんし、広告ランク算出時にも用いられません

参照:品質スコアについて
参照:品質スコアとは

しかし「品質スコアを用いて広告ランクが算出可能である」と誤解させてしまうような表現を記載しているブログが多い影響からか、品質スコアそのものを KPI 扱いしてしまう、誤った情報を鵜呑みにしてしまうケースが多々あります。以下公式ヘルプからの一文からも分かる通り、それらは誤りです。

品質スコアは KPI(重要業績評価指標)ではないため、最適化したり、他のデータとともに集計したりするべきではありません。

品質スコアとは」より引用

以前にもツイートしたとおり「品質スコアは上げるものではなく、結果上がるもの」です。

公式ヘルプには直近で「品質スコアを使って広告のパフォーマンスを高める 5 つの方法」といったヘルプ記事も追加公開されています。この点については本当によく誤解されているので、公式のヘルプ情報をもとに正しい認識が広がることを祈るばかりです。

また最近導入された「最適化スコア」もおそらく、今後品質スコア同様に誤解されてしまう可能性が高いコンテンツになるかと思われますが、これについても公式ヘルプ上にて「最適化スコアは広告ランク、品質スコアの算出には用いられない」旨がしっかりと明記されていますので、その点も誤解ないよう気をつけましょう。

最適化スコアは、品質スコアまたは広告ランクでは使用されません。

最適化スコアを確認する」より引用

(4)リスティング広告への予算投下はオーガニックの掲載順位に良い影響を与える

リスティング広告を配信していることによってGoogle先生が「あ、こいつお金を使ってくれているからオーガニック順位を上位に引き上げてあげよう」といったことはあり得ません

ただリスティング広告を上手く使うことによって短期間で被リンク獲得を実現し、結果的にオーガニックに良い影響を与えるような広告配信も可能です。要するに「使い方次第」ということですね。

参考:広告でSEOが有利に!? プロの考えるオーガニック検索と広告の関係と連携戦略【2021年版】

(5)指名検索時に競合の広告が表示されるのは商標権侵害

競合の指名検索時に広告が表示される問題については度々議論の種になりますが、司法の世界ではどのように取り扱われているのでしょうか。実は地方裁では既に判例が存在しています。

参照:カリカセラピ事件

上記大阪地裁の例では、商標権の侵害は退けられています。そのため「指名検索時に競合の広告が表示される」という現象そのものを「商標権侵害」として司法の場に訴えどうにかするというのはあまり現実的ではありません。

Google は広告文上での商標使用とキーワードでの商標使用とで、制限を分けています。

まず広告文上での商標使用についてですが、媒体に問い合わせることによって制限させることが可能なケースがあります。そのため勝手に使用されているケースを見つけたらまずは媒体に通報しましょう。

広告での商標の使用について商標権所有者様から Google に申し立てがあった場合、Google ではそれについて調査を行い、商標の使用について一定の制限を課すことがあります。

商標に関するヘルプ(広告主様向け)」より引用

ただしキーワード上の取り扱いに関しては、Google は公式に立ち入らないことをアナウンスしています。

キーワードとしての商標の使用については、Google の調査や制限の対象となりません。

商標に関するヘルプ(広告主様向け)」より引用

自社名、サービス名検索時に広告が露出してしまう場合、広告主間でやり取りを行い、解決へと導いていかなければなりません。

(6)拡張配信はリスキー

Google 広告管理画面上でディスプレイ広告用にキャンペーンを作成すると、デフォルトで拡張配信がONになります。この件については以前から樋爪さん @yasuyuki_ad が注意喚起をされています。

例えばリマーケティングを配信しようと新規でキャンペーンを設定したとしても、拡張が有効になっていると過去サイト訪問したことがないユーザーにも配信されます。このような拡張配信がされた場合、以下のように意図しない形で広告予算が投下されてしまうといったケースが起こりがちです。

ただ拡張配信が必ずしもリスキーかと言われれば、そうではありません

例えば「どの程度拡張配信されているのか」などは「オーディエンス」から確認することができるので、しっかりと「そういう仕様である」と理解した上で日々数値を確認し把握しておき、拡張度合いを調整するほか、入札調整、時にはクリエイティブ変更など柔軟に対応していけばいいのです。

これは個人的な見解ですが、上手くコントロールすることで良い結果に至ることも可能です。

小西さん@isseik も仰られている通り、初めから嫌いにならないであげましょう。

(7)管理画面のコンバージョンが全て

管理画面上のコンバージョンを1つの指標として重視し施策の数値を判断すること自体は悪手ではありませんが、常に「計測できていないコンバージョンがあるのではないか」と考えることも重要です。

以下のようなコンバージョンは、管理画面上での計測が困難なケースが多い代表例になります。

  • 来店コンバージョン
  • デバイスをまたいだコンバージョン
  • 長期検討期間を経た上でのコンバージョン

例えばユーザーの中にはPCで検索し、広告をクリックした後に固定電話からお問い合わせをするようなユーザーが大半を占めているケースなども実際に存在します。電話番号の鳴り分けなどを細かく設定すれば成果をかなり詳細に分析することも可能となりますが、一般的にそこまで行えているのはレアケースです。

他にも実際に自分が取り扱っていた某高級商材で、平均購買検討期間が3年というものも存在しました。このようなケースではそもそもトラッキング自体が困難です。

まずは「管理画面のコンバージョンが全て」という考えは捨てて「計測できていないものもあるはず」と考えは常に持っておくべきです。

最後に

Google 広告は今日ほとんど誰にでも設定でき、気軽に配信できるような存在にまでなりました。しかし誰でも良い結果が出せるようになったかと言われれば…そうではありません。

理由としては様々なものが考えられますが、まず大前提として以下のようなケースが多いのではないでしょうか。

  • 仕様の細かい点を理解していなかった
  • 用語の意味を正しく理解していなかった
  • 正しいと思って参考にしていた情報がそもそも間違っていた

そもそも基礎知識が身についていない訳ですから、良い結果が出なくて当然です。逆に言えば正しい知識を身につけ、正しく設定ができたり、正しく指標を読み解いたりできるようになれれば、結果が出せるようになってくる可能性も上昇します。

現在既に良い結果が出せている場合、基本がさらに盤石なものになれば、より良い結果が出せるようにもなるはずです。今回取り上げた7つに心当たりのあった方はぜひ、一度基本を確認してみることをオススメします。

過去には「どのようにすれば正しい情報収集ができるのか」「どのようにすれば最速で広告運用スキルを技術習得できるのか」といった点についても記事を書いています。

もし興味があればこちらの記事もご一読いただければと思います。