指名キーワードで広告配信した方が良い?6つのメリットとたった1つのデメリットについて解説

「指名キーワードによる広告配信」は、定期的に話題に上がるリスティング広告業界における永遠のテーマの1つです。

指名キーワードで広告出稿は止めても良いのでは?」という主張の根っこには常に「指名キーワードでの広告配信を停止すれば、その分の広告費を指名キーワード以外のキーワードに投資する他、他のディスプレイ広告などに投資できるようになる」「別の形で(広告以外を含む)予算を使いたい」「節約したい」という主張が存在しています。

しかし、実際のところ停止するのは得策なのでしょうか。

結論から言えば自分は「指名キーワードでも広告配信した方が良い」と考えています。今日はその理由について解説していきたいと思います。

指名キーワードで広告配信する際の6つのメリット

まずはメリットについて、1つずつ具体的に解説をしていきたいと思います。

(1)オーガニック掲載結果よりも上位に表示できる

まず大前提として、リスティング広告はオーガニック掲載結果よりも上位に表示することが可能です。

例えば「アイホン」のオーガニック1位掲載を Apple が実現したくても、日本国内では「アイホン=アイホン株式会社」という認識が浸透しているため、1位を獲得することは困難でしょう。

しかし広告であれば商標問題さえクリアしていれば、1位掲載することも可能です。世の中には指名キーワードが一般名詞の組み合わせで構成されてしまっているケースが多数存在します。そういった際にオーガニックでの上位掲載が難しくとも、リスティング広告であれば広告掲載することが可能です。

(2)タイトルなどを自由に変更できる

指名キーワードで広告配信をする場合、オーガニック掲載結果と異なり、特定のタイミングでタイトルを変更することも可能です。

下記は「マック」検索時の日本マクドナルドの広告実例です。

マクドナルドでは定期的にマスとデジタルの両方でプッシュする商品を決めて広告戦略を行います。毎年9月には月見バーガーを押し出すため、リスティング広告上の文言も期間限定で変更しています。

このようにオーガニック掲載結果では訴求しきれないような情報をリスティング広告では打ち出し、それによりユーザーに商品認知を図っています。

(3)競合が出稿してきた際に機会損失を阻止できる

自社指名キーワードで検索した際に競合の広告が掲載されることも珍しいことではありません。意図したものか、自然と拡張配信されたものかを判断することはできませんが放置すれば機会損失は広がる一方です。

ちなみに広告上で商標登録されている語句の広告上での使用は各媒体に問い合わせれば停止などの対象となりえますが、他社の指名キーワードをキーワード登録し広告配信をすることを媒体側は禁止していません。以下は Google 広告公式ヘルプからの引用になります。

商標権所有者様から申し立てがあった場合、Google は広告文における商標の使用について制限する場合があります。

商標」より引用

キーワードとしての商標の使用については、Google の調査や制限の対象となりません。

商標」より引用

またそれだけではなく、地方裁では実際に指名キーワードで他社が広告配信をすることについて「商標権侵害」という点においては「無罪」という判例も出ています。

【参照】検索連動型広告(リスティング広告)で競合他社の商標を購入することは問題がありますか?

またメールなどで「賠償請求する」「訴える」といった「告訴する」に近い旨の意思を過剰に伝えた結果、脅迫罪などで訴えられてしまう可能性も考えられます。そのため乱暴な手段は取らない形での対応を心がけた方がいいでしょう。

【参照】脅迫で逮捕・起訴・前科をつけたくない

競合による広告出稿が気になる際は以下2つの解決策実施を推奨します。

  • 紳士協定を結び、相互に指名キーワードを除外登録
  • 対抗して指名キーワードで広告配信を実施

意図して出稿してきている可能性もありえますが、無自覚で拡張配信してしまっており停止してほしい旨を伝えれば素直に停止してもらえる場合も多く存在します。そのため始終丁寧な対応を心がけるべきです。

また意図して出稿している場合、競合にバレないようにエリアやデバイス、曜日時間帯を限定して出稿してきているケースも考えられます。たまたま発見できれば良いのですが気が付けない場合、顧客を取りこぼし続けてしまう可能性もあります。特に BtoB 企業の場合、LTV が高額となるケースも珍しくないため、機会損失については敏感に察知しておく必要性があります。場合によっては数千万単位の機会損失が発生することは容易に想像がつくわけですから、事前の保険、対策と思って出稿しておいて大きな損はないはずです。

(4)間接効果を手軽に管理画面上で確認できる

指名キーワードで広告出稿をしている場合、他ディスプレイ広告や一般キーワードでの広告と指名キーワードでの広告配信との間に生じる間接効果を管理画面上で確認することが可能です。

(5)詐欺サイトなどを未然にブロックしブランド毀損を防ぐ

有名な大規模サービスや通販サイトの場合、偽サイトを作成され、指名キーワードで広告配信されてしまう可能性があります。結果自社の顧客が危険にさらされるだけではなく、ブランド毀損が起きてしまう可能性があります。

実際にそのような事例は「dyson」「LOWYA」で発生しており、消費者庁も注意を呼びかけています。

【参照】実在の通信販売サイトをかたった偽サイトなどに関する注意喚起

(6)任意のページへの遷移を可能にする

オーガニック掲載結果の情報変更については(2)でも記載したとおり容易ではありませんが、それはリンク先についても同様です。しかし、リスティング広告であれば任意のページに遷移を促すことも可能です。

例えば緊急事態宣言の際、マクドナルドは指名キーワード検索を行ったユーザーに対して「マックデリバリー」の認知を図る広告を展開していきました。

指名キーワードで広告配信する際のたった1つのデメリット

指名キーワードによる広告配信は明るい話題ばかりではなく、実はデメリットも存在しています。ここでは唯一のデメリットについても触れておきたいと思います。

(1)広告費がかかる

当然ですが、リスティング広告として配信しクリックされている以上は広告費が発生します。これは指名キーワードの検索ボリュームに連動するため一概に「いくらかかる」とは言い切れません。しかしよほど世の中一般に認知されたサービスでなければ検索ボリュームは知れています。また指名キーワードの品質スコアは高い傾向にあるため、クリック単価が高額で出稿をためらうケースはごく一部となるはずです。

また実際にお金はかかりますが、無駄にかかるわけではありません。例えば ANA はこの状況下でも指名キーワードでの広告配信を止めていません。そのぐらい指名キーワードによる広告配信は優先順位が高いのです。

メリット・デメリットを一覧にして図解

本日ご共有したメリット・デメリットを図解したものが下記図になります。

上司やクライアント、決済権者と議論する際などにご活用ください。

最後に

Google は2012年に例え特定の検索語句でオーガニック1位であったとしても、その語句で広告を配信することによってあらゆるクリック(オプションのクリックも含む)を50%増やせるという旨のレポートを公開しました。

【参照】Impact of Organic Ranking on Ad Click Incrementality

このデータを見る限り「オーガニックで1位である」という理由で広告を停止した場合、50%の流入を確保し損ねる可能性もあると考えることもできるのではないでしょうか

このように「指名キーワードで広告を配信しないリスク」も明確に存在しています。現在広告配信を見送っている場合、一度指名キーワードでの広告出稿を検討してみても良いのではないでしょうか。

また「指名キーワード経由のサイト流入」を実現するためには、そもそも「指名キーワードの検索数」を確保、増やしていく必要性があります。指名キーワード経由のサイト流入数を増やす方法について下記記事で詳しく解説していますので、気になった方はそちらをご参照ください。