指名キーワードで広告配信すべき?6つのメリットとたった1つのデメリットについて解説

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「指名キーワードによる広告配信」の必要性の有無は定期的に話題に上がる、検索エンジンに関連する事業従事者にとって、数ある因縁のテーマのうちの1つです。

指名キーワードに対する広告出稿を止めても良いのでは?」という発想のもとには、次のような意思決定や判断のもとなされているケースが多いです。

  • 指名キーワードでの広告配信を停止すれば、その分の広告費を他施策に投資できる
  • そもそも広告費を節約したい
  • (広告配信を止めても)ユーザーは自然検索結果から流入するので、結果損失はなさそう

しかし、実際のところ「停止」してしまうのは、得策なのでしょうか。

結論から言えば、自分は「指名キーワードへの広告配信はしっかりと行なった方が良い」と考えています。

今日はその理由について、6つのメリットと1つのデメリットの観点から、また「しっかりと」とはどういうことなのか、具体例などを用いつつ解説していきます。

指名キーワードで広告配信する際の6つのメリット

まずはメリットについて、1つずつ具体的に解説をしていきたいと思います。

(1)例外を除きオーガニック掲載結果よりも上位に表示できる

大前提として、一部の例外を除き、リスティング広告はオーガニック掲載結果よりも上位に表示することが可能です。

一部の例外として、2024年4月にGoogleは「上位の広告」のヘルプページを更新し、「通常、上部の広告は上部のオーガニック検索結果の上に表示されますが、特定の検索語句では上部のオーガニック検索結果の下に表示されることもあります」と説明するほか、このような形で実際に広告が必ずしも上位掲載されないケースが存在していることを明確化しています。

例えば、「アイホン」のオーガニック1位掲載を Apple が実現したくても、日本国内では「アイホン=アイホン株式会社」という認識が浸透しているため、自然検索結果で1位を獲得することは困難です。

Google search “iPhone” (secret mode)
アイホン – Google 検索時の検索結果画面

しかし、広告であれば商標の問題さえクリアしていれば、1位に掲載することも可能です。

また世の中には、「アイホン」のようなケース以外にも、下記のような理由で検索したとしても自社サイトが上位掲載されないケースが多数存在しています。

  • 指名キーワードが一般名詞としても使用されることが多いものの場合
  • 指名キーワードが一般名詞との組み合わせである場合
  • すでに同様の名前で有名な企業や個人が存在する場合

そういった際に、自然検索結果での上位掲載が難しくとも、リスティング広告であれば、自然検索結果よりも上位に広告掲載することが可能です。

(2)タイトル(広告見出し)を自由なタイミングで特定の文言に変更できる

指名キーワードで広告配信をする場合、オーガニックと異なり、特定のタイミングで特定のページをリンク先に設定し、特定の文言で訴求することが可能です。

以下は、「マック」検索時の日本マクドナルドの広告実例です。

マクドナルドは、毎年9月には月見バーガーを販売しますが、単純に TVCM を放映する、チラシなどを配るほか、このようにリスティング広告を用いた販促活動なども行なったりしているのです。

参照:日本マクドナルドが今、指名キーワードでリスティング広告を出稿する本当の理由についての仮説|川手 遼一|note

ここで重要なのは、こちらの広告は月見バーガーの販売期間のみ見出しを変更され、広告配信されているという点です。

自然検索結果を用いて、例えば「マック」と検索するユーザーに月見バーガーの特集ページへ誘導すること事態はそもそも困難ですし、仮に可能であったとしても、月見バーガーの販売期間限定で見出しを専門のものに変更したり、終了後にそれを即戻したりするといったことは困難を極めます。

つまり、こういった柔軟な変更や調整を実現し、自社に関連する語句を検索しているホットな層に、比較的低コストで(指名キーワードは他キーワードと比較し一般的にクリック単価が低いことが多いため)タイムリーな情報を届けることができるというのも大きなメリットなのです。

(3)競合が出稿してきた際に機会損失を阻止できる

指名キーワードで検索した際、競合の広告が掲載されることも珍しいことではありません。

意図したものか、自然と拡張配信されたものかを判断することはできませんが、放置すれば大きな機会損失につながるような事態も想定されます。

広告に関する指名キーワードの使用について

多くの広告媒体において、広告上で商標登録されている語句の勝手な使用は制限の対象となっており、媒体に問い合わせることで広告の配信停止などに追い込むことが可能です。以下は Google 広告ヘルプからの引用となります。

商標権所有者様から申し立てがあった場合、Google は広告文における商標の使用について制限する場合があります。

商標」より引用

その一方で、例えば他社の指名キーワードをキーワード登録し、広告配信をすること行為について、ほぼすべての検索連動型広告を提供する広告媒体各社は禁止してはいません。以下は Google 広告公式ヘルプからの引用になります。

キーワードとしての商標の使用については、Google の調査や制限の対象となりません。

商標」より引用

理由としては、次のようなものが考えられます。

  • 広告媒体各社側での精査が困難なため
  • 第三者による、指名キーワードの固有性を判断することが難しいケースが多いため
  • 広告媒体各社側の収益に影響が出る可能性が高いため

またそれだけではなく、地方裁では実際に指名キーワードで他社が広告配信をすることについて「商標権侵害」という点において、「無罪」という判例が出たケースも存在します。以下は判例からの引用になります。

まず請求ですが、次のようになされました。

被告は,インターネット上の検索エンジンにおける「カリカセラピ」「PS501」とのキーワードに連動する検索結果表示ページにおける広告スペースに自社の広告を表示してはならない。

平成18年(ワ)第7458号 損害賠償等請求事件」の「請求」より引用

次に判決ですが、次のように言い渡されています。

原告商品の名称及び原告商標を構成する文字を入力した結果表示されるインターネット上の検索エンジンの検索結果ページ内の広告スペースに被告が自社の広告を掲載することは,商標法37条1号に該当すると主張する。

しかしながら,原告商品の名称及び原告商標をキーワードとして検索した検索結果ページに被告が広告を掲載することがなぜ原告商標の使用に該当するのか,原告は明らかにしない。

のみならず,上記の被告の行為は,商標法2条3項各号に記載された標章の「使用」のいずれの場合にも該当するとは認め難いから,本件における商標法に基づく原告の主張は失当である。

平成18年(ワ)第7458号 損害賠償等請求事件」の「主文」より引用

このような判例がすでに存在するため、競合による広告出稿が気になる際は、「紳士協定を結び、相互に指名キーワードを除外登録する」という解決策実施を推奨します。

もちろん中には、意図して出稿してきていて訴えに応じてもらえないケースもありますが、自分は過去様々な企業に上記のような形で問い合わせを行い、除外対応してもらってきた実績があります。

中には部分一致からの拡張配信などで、無自覚で広告配信してしまっていて「停止してほしい」という旨を素直に伝えれば、即停止してもらえたケースも多く存在します。

連絡を取る際、中にはこのような連絡を取る際「対応しない場合は法的処置を検討する」などと交戦的な姿勢で挑まれる方もいるかもしれませんが、悪効果などのやめた方が良いです(また過去の判例から考えても敗訴になる可能性が濃厚なので法に訴えない方が良いかと存じます)。

また意図して出稿している場合、競合にバレないようにエリアやデバイス、曜日時間帯を限定して出稿してきているケースも考えられます。

偶然発見できれば良いのですが、気付けない場合、顧客を長期的に見て大きく取りこぼし続けてしまう可能性もあります。

そういったケースに関して、なるべく漏れなく確認したい場合は、以下3つの手法でデータを定期監視すると良いでしょう。

  1. 「オークション分析レポート」による定期確認
  2. 広告プレビューツールを用いた定期監視
  3. (非推奨)実際に検索して確認(シークレットモード利用を想定)

特に BtoB 企業の場合、LTV が高額となるケースも珍しくないため、機会損失については敏感に察知しておく必要性があります。

場合によっては結果それが数千万単位の機会損失が発生することは容易に想像がつくわけですから、事前の保険、対策と思って出稿しておいて大きな損はないはずです。

広告代理店によっては、お願いすることで指名検索の監視と競合への除外連絡を行ってくれるところも存在します。お手間に感じる場合、パートナー企業にお願い可能かどうか確認してみると良いかもしれません。

(4)間接効果を手軽に管理画面上で確認できる

指名キーワードで広告出稿を実施しておくことで、間接効果を手軽に確認できるようになります。

例えば、Google 広告にて検索連動型広告を出稿している場合において、別々の検索キャンペーンを設定し、指名キーワードと一般キーワードにて広告配信を行うと、管理画面内の「目標>測定>アトリビューション」内の「コンバージョン経路」をみると、Google 広告キャンペーン内の、どのキャンペーンの広告を経由してコンバージョンしているかを把握することが可能となります。

"Attribution" in Google Ads

また他にも「アトリビューション」では、次のような情報などを確認することが可能です。

  • 何回広告をクリックしてコンバージョンしている人が多いか
  • クロスデバイス アクティビティが含まれるコンバージョン数
  • コンバージョンまでに要する期間

そのため、これらの情報が気になった方は、一度確認してみることをおすすめします。

また「他媒体のキャンペーンを横断して分析したい」といった場合は、次のような対応をおすすめします。

  • 3rd Party ツールの使用(例.ADEBiS)
  • パラメータを付与し、GA4やLooker Studio、BigQueryを用いて分析

一般に広く提供されているツールや手法のうち、多くのものはクリックベースでの計測になるため、クロスデバイスでの検索については考慮されないデータがあがってくることについて、導入前に理解しておく必要があります。

(5)詐欺サイトなどを未然にブロックしブランド毀損を防ぐ

有名な大規模サービスや通販サイトの場合、偽サイトを作成され、指名キーワードで広告配信されてしまう可能性があります。結果自社の顧客が危険にさらされるだけではなく、ブランド毀損が起きてしまう可能性があります。

例えば、消費者庁は次のような形で実際に被害があった事例について、たびたび注意喚起などを行っています。

偽dysonサイトの運営者は、公式サイトから商品の画像や文章を盗用し、公式サイトの構成を模倣し、「会社概要」のページにダイソン社の情報を記載するなど、ダイソン社になりすまして公式サイトであるかのように装っています。不自然な日本語表記はほとんどみられず、一見しただけでは偽サイトであると気付くことは困難です。

実在の通信販売サイトをかたった偽サイトなどに関する注意喚起[PDF:1.0 MB]」より引用

(6)任意のページを遷移先に指定できる

(2)でも触れた通り、広告のリンク先はいつでも自由に変更可能です。(2)ではマクドナルドの事例を用いて説明しましたが、他にも事例は複数存在します。

例えば、ジャパネットたかたはエアコンの販売に注力している時期に「ジャパネットたかた」と検索するユーザーに対して、エアコンの広告を配信するなどしていることがあります。

またほかにも、ケンタッキーもマクドナルド同様に月見バーガーの販促にリスティング広告を用いていたことがあります。

指名キーワードで広告配信する際のたった1つのデメリット

指名キーワードによる広告配信は明るい話題ばかりではなく、実はデメリットも存在しています。ここでは唯一のデメリットについても触れておきたいと思います。

(1)広告費がかかる

当然ですが、リスティング広告として配信されクリックされている以上は、費用が発生します。

費用に関しては、広告オークション上での出稿状況や、そもそもの検索ボリュームなどとも連動するため一概に「いくらかかる」とは言い切れません。

しかし、多くのサービスや商材、社名や個人名の検索ボリュームはそこまで大きくないことが多く、また一般キーワードに比べて低価格になることが多いので、多くの場合において大金を要するケースは殆ど起こり得ません。

また実際にお金はかかりますが、無駄にかかるわけではありません。

例えば、航空会社である ANA は緊急事態宣言下においても指名検索に対するリスティング広告の出稿を停止しませんでした。航空機に搭乗する方が大幅に減少し赤字となり、社員を一部他企業に出向せざるを得ない状況に追いやられていた状況であったとしても、それを続けたのです。

そのぐらい、指名キーワードに対する広告配信維持の優先順位が高い企業も、世の中には存在しています。

最後に

Google は2012年に、「例え特定の検索語句でオーガニック1位であったとしても、その語句で広告を配信することによってあらゆるクリック(オプションのクリックも含む)を50%増やせる」という旨のレポートを公開しました。

We found that on average, 81% of ad impressions and 66% of ad clicks occur in the absence of an associated organic result on the first page of search results. In addition, we found that on average, 50% of the ad clicks that occur with a top rank organic result are incremental.

(訳)私たちの調査結果によると、検索結果の1ページ目に関連するオーガニック結果が表示されていない場合、広告のインプレッションの平均81%および広告クリックの平均66%が発生しています。さらに、上位にランクインしているオーガニック結果と共に発生する広告クリックのうち、平均で50%は新たな(インクリメンタルな)クリックであることが判明しました。

Impact of Organic Ranking on Ad Click Incrementality」より引用、一部著者訳

このデータを見る限り「自然検索結果で1位だから広告は止めよう」という意思決定を実行した場合、50%とまではいかずとも、それ相応の流入を損ねる可能性もあると考えることも、できるのではないでしょうか。

また今回の記事を精読された方なら分かる通り、「指名キーワードで広告配信をするメリット」は、逆に言えば配信しない教授することができないものでもあると考えることができるのではないでしょうか。

そして、Google の調査結果などを鑑みる場合、それによる機会損失も累積すると凄まじいものである可能性が高く、もし仮にこれまで指名検索への広告配信を見送ってきていた場合は、一度試験的に短期間でもいいので、指名キーワードでの広告出稿を検討してみても良いのではないでしょうか。

ちなみに過去自分が編集長をつとめているキーマケLabにて、指名検索に対する広告配信の実態調査を行った際、「指名検索に対してリスティング広告を配信していますか」と223名のリスティング広告運用に携わっている方にヒアリングを試みたところ、83%の方が「配信している」との回答を得たことがあります。

Survey results for "Are you delivering paid ads to branded searches?"
引用元:指名検索に対する課題や悩みに関する調査結果

こういったデータなどを鑑みると、競合他社名やサービス名、商材名で検索した際に「競合は広告を出しているけどうちは全然…」といった場合などは、少し危機感を持った方が良いかもしれません。

そしてそもそも、「指名キーワード経由のサイト流入」を実現するためには、そもそも「指名キーワードの検索数」を確保し、増やしていく必要性があります。

指名キーワード経由のサイト流入数を増やす方法について下記記事で詳しく解説していますので、気になった方はそちらをご参照ください。

参照:【決定版】指名検索を増やす上で有効な17の手法

文責:川手遼一