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「広告のテスト結果を集計しておいて」
「金曜日にこの広告を停止して」
「サイトの価格変更にあわせて、広告文上の価格も変更しておいて」
広告運用に関する仕事をしていると、日々お願い事や約束をするシーンが多々あります。
自分はこれらの約束を守らない(当時よく上司には「忙しすぎて忘れてました!」と言い訳ばかり並べてました…ヤバ)そんな典型的な、いわゆる「仕事ができない」と評されるような広告運用者として働いていた時期が自分にもありました。
ただそんな状況で仕事を任せてもらえるはずもなく、短い期間ではありつつも「運用中案件0件」という状況も作り出し迷走、いろいろな方にフォローして頂いていました。
2年目のGWから秋にかけては超ハードなクライアントワーク(ここで人生最大の修羅場を2回経験します)が3か月以上も続き担当者変更、チーム変更なども起こり、結果運用中案件0件というタイミングも短いながら発生させました。
「社会人2年目を前にして、仕事を辛く感じ始めている君へ|川手 遼一|note」より引用
ただそのフォローも一時的なものでしかないので、結局は自分自身で考え方を変えて突破するしかないんですよね。
「このままでは非常にまずい…」
そう考え、その後自分は「仕事ができない広告運用者」(というか広告運用すらしていなかったので、正確には広告運用者ですらないのですが…)から脱却すべく、いくつかの取り組みを行なってきました。
本日はかつてそのように考え取り組みはじめ、そして今も取り組んでいる11のことについてご紹介します。
目次
まず何よりも一番重要なのは、約束をしてそれを履行することです。
「ブランドプロミス」というと少し大げさに聞こえるかもしれませんが、究極的には個人も法人も、約束をしそれを守ることによって信頼を高めていきます。
例えば「◯◯の検索語句に関するレポートを来週月曜日の20:00までに送付します」と自分から約束を切り出し、それを守る、これを繰り返していくようなイメージです。
一見地味に見えるかもしれませんが、これを繰り返していくことで徐々に「この人は約束を守る人だ」と、徐々に社内外問わず信頼されるようになっていきます。
これは個人の見解ですが、小さな約束が守れない人と、大きな約束事をしようとは思いません。
約束は大きさを問いません。まずは小さな約束をして、1つずつ継続しながら積み重ねていきましょう。
「時差」を意識することも、とても重要なことです。
例えば名著『時差は金なり』でも紹介されている通り、70年代の商社マンは「これが儲かる」と聞きつければ鞄1つで現地に飛び交渉、日本に商品を持ち込み儲けを出していました。
厳密には異なりますが、運用型広告にも似たような側面があります。
例えば、新しい媒体が登場し色々なうわさが聞こえはじめて「これいけそうかも?」という段階で参入しているようではかなり遅いです。
その場合、参入したとしてもすでに先行者利益が得られる確率は著しく低いかもしれません。
理想的な形は、誰も噂をしていないうちから動き始め、当事者間で話題になり始める頃にはすでに投資の手を緩めて別のことに注力しているといった状態であることです。
例えば、今年話題となった Pinterest アドですが、自分は昨年9月に「日本でも広告配信が可能となる」という情報を聞きつけて以降、日々情報収集していました。
「Pinterestの広告が日本でも利用可能になる」という情報が初めて出たのは、2020年の秋頃だったと思いますが、その頃からPinterestについての情報収集を始めました。情報収集を重ねていくうちに、現在運用している案件の中に相性が良さそうなクライアントには事前にご提案し、Pinterest アドが正式にスタートしたタイミングで広告運用を開始し、今も運用を行っています。
「Pinterestは今後、広告媒体として頭ひとつ抜ける可能性がある」川手遼一さんに聞く、Pinterest アド(Pinterest 広告)の強み・オススメの運用方法 | dfplus.io Blog」より引用
海外では既に展開されている広告メニューですから、例え広告配信を今すぐ始めることができなくても、下記のようなことは情報は事前に収集し推測を立てておくことはできるはずです。
- そもそもどのような広告メニューがあるのか
- どのような商材だと反応が良いのか
- 具体的な成功事例
周りが飛びつくよりも早く飛びつき、自分と周りとで時差を作り出しましょう。
Google も「Google が掲げる 10 の事実」にて「遅いより速いほうがいい。」と掲げているのと同じように、自分も「速いこと」は重要なことだと考えています。
ただ現実的に、実務ベースで考えた際に「速く」が難しい場合は「早く」で良いのではないでしょうか。
弊社の行動指針の1つで「速くなくていいから、早くすること」と掲げていますが、「早い」だけでも大抵の場合は十分なケースがほとんどです。
速くなくていいから、早くすること(5分で終わる仕事を後回しにしない)
「行動指針」より引用
具体的には下記のようなケースにおいては特に、クオリティ云々よりも早くあることが求められるケースが多いはずです。
- (早く)動く:1つ1つの動作が遅くても、早めに動けば先行者利益を得られる事は多い
- (早く)相談する:自力で問題解決が難しい場合は早々に上司を巻き込む
- (早めに)声をかける:提案する、もしくはその姿勢を伝える
一度管理職を経験したことがある人なら「早めに報告、相談されて助かった」という経験をしたことがある人も多いはずです。
またこれは「5分で終わらない…」ということでも、例えば下記のような形で対応すれば5分で対処することが可能なはずです。
- Slack 上でリアクションだけする(その後リマインド設定し後で対応)
- まずは一次回答だけする(その旨もあわせて上司に報告、対応を相談)
「早い」というのは、それだけで十分すぎるぐらいに価値があるのです。
これはあらゆるものごとに言えることかもしれませんが、最初からすべてを理解し完璧に実行するというのは不可能です。
最初は得意分野や人から求められている分野、もしくは色々な業務に携わる中で比較的成果が出ている、自信のある領域を見つけてトライすると良いでしょう。
例えば自分の場合、あらゆる運用型広告の媒体に精通しているわけではなく、基本的には以下広告媒体のみを得意分野としています。
- Yahoo!広告
- Google 広告
- Meta広告(Facebook広告)
- Pinterest アド(Pinterest 広告)
- Microsoft 広告
また何かにのめり込むということは、何かを諦める事でもあります。
例えば、自分の場合はアプリの広告運用に関して全く精通していません。そのため上記媒体の中でもアプリ広告は基本的には不得意ですし、知見も多くはありません。
ただ自分の場合、今からアプリ広告に関してプロフェッショナルになろうとは考えていませんし、特定の分野に関して人並み以上の知識や技量があり、のめりこめる領域を持ってさえいれば仕事に困ることはないと考えているので、手を出すのであれば下手に知見のないジャンルに手を出すよりも、すでに知見のある分野を深掘りしたり、まだ開拓者が少ないジャンル(プロフェッショナルが少なく、困っている人が多い分野)に手を出すように心がけています。
まず大前提として、広告運用に限らず特定の業務をしっかりと遂行することが出来ることは素晴らしいことです。
しかし「広告」に依存しすぎることを、自分はあまり良いことだとは考えていません。
例えば自分の場合、担当しているクライアントの多くは「新規顧客の獲得」を 広告に求めています。
広告はあくまでクライアント側から見た際に「新規顧客の獲得」の手段の1つでしかありません。
その手段の1つである広告を突き詰めるよりも、他のことに取り組んだ方が成果が出ることは多くありますし、特に長年広告運用をしていると、そういう提案をしないと次のフェーズに行けない状況に立ち会うことがあります。
そのため「広告以外のところで、自分に提案できる、より最善な提案はないか」ということを常に、冷静に考えておけるようにしておけることも、多少業務の範囲外を含む形になったとしても重要なことだと考えています。
例えば、LPやフォームに問題や課題点があるのであれば LPO や EFO は提案すべきですし、素人目に見ても明らかにオーガニック集客施策に問題があるようであれば、遠慮なく指摘すべきです。
そのため「今配信している広告を上回る可能性があるもの」があるのであれば、自分はそれを遠慮なく提案するように心がけています。
あらゆる他責思考は排除すべきです。
以前にもツイートした通り、自分は新卒の頃に上司に「誠実な業務遂行」として「他責思考の排除」を求められました。
他責にすると、楽なんですよね。
でもその「楽」をすると、人として成長できないんですよね。
松下幸之助さんの名言に「雨が降っても自分のせい」というものがあります。
あらゆるトラブルや想定外の出来事に巻き込まれた際は「すべて自分のせい」と考え、粛々と行動すべきですし、自分自身常にそうありたいと思っています。
仕事が納期通りに終わらなかったりする場合、当然納期やリソースに無理があるケースもあるのですが、まずは自分自身の計画性や、仕事に対する時間配分などを見直しましょう。
- 自分に合う、仕事が効率的にできる時間帯(朝型・夜型)を考慮せず働いている
- 効率的なやり方を考えずに、ルーティンを淡々と行い時間を使っている
- 自分以外の人間にできる仕事を「自分がやった方が早い」という理由でやってしまっている
- 広告アカウントをじっくり分析する時間を確保できていない
また単純に人がよく、自分よりも適任者がいるのに仕事を断れない人も多いのでしょうか。
時には不義理をすることも、大切な仕事上の要諦です。
自分自身のリソース管理は、自分自身でしっかりと行いましょう。
日々業務に携わっていると業務効率に関して悪く感じる時もあるかと思います。
大抵の場合、1つの複雑な事象が起きていて脳みそのメモリーが集中的に奪われているのではなく、シンプルな事象が複雑に絡み合い、脳が過負荷を感じ、事態を深刻なものと捉えているケースが大半です。
そのためそういった場合は無理して大きく事象と向き合わず、簡単なものから順に、シンプルに1つ1つ解決していくことをオススメします。
例えば、下記のような取り組みをするだけでも、1つ1つの問題は解決しなくても楽になります。
- 課題をノートに書き出してみる
- 課題をノートに書き出してみる+飲んで寝る(いったん忘れる)
- Todoリストを作る
- 上司や同僚に相談してみる
- 体を動かす(軽い運動をしてみる)
まずは、無理せずできることからやってみましょう。
とても重要なことのですが、常に情報や、物理的な仕事空間は整理整頓しておくべきです。
例えば仕事机、オフィスの自席周辺に関して下記項目に該当するようだと整理整頓ができていないため、注意が必要です。
- 3週間以上読んでいない本が机の上に並べられている
- 机周りを3週間以上掃除していない
- 支給されているラップトップのキーボードをジェットブローやエアダスターで掃除していない
会社側が優れた就労環境や機材を提供していたとしても、物理的に汚れていたり、汚い環境で仕事をしていればそこから良いものは生まれません。
ちなみに下記ツイートは、自分のオフィス机周辺を撮影したものになります。
かくいう自分も、実は整理整頓が得意ではありません。そのため、そもそも必要以上にものを置かないようにするなど工夫しています。
かつての広告運用という仕事は、管理画面の操作が業務の大半を占め、いかに細かく手動で調整するかといった点などでほぼほぼ結果が決まっていました。
2016~2017年以降、急激に(スマート)自動入札が浸透し、管理画面上の細やかな操作よりも、ダイナミックに何を考え何をするかの方が重要になってきました。そして「何をするか」において、特に人と携わることが重要となってきます。
- 人と向き合う
- 会話をする(コミュニケーションをとる)
- 人から逃げない(意思疎通を面倒くさがらない、メンタルをロジックで切り、仕事ではコミュ障を封印する)
これは以前にもツイートしたことですが、対話によって人が広告を作ったとしても、広告はコミュニケーションの増幅装置的な役割を担っている一面があるので、大勢の人を動かすことができるはずがありません。
例えば、自分の場合、コンバージョンしたのちに成約したユーザーの話を聞きにいき改善を図ったり、商品(ヴィーガン関連商品)を実際に自腹で購入し使用してみて、その体験から得た知見をプレゼンして広告文に反映させたりといったことをやってきました。
こういった取り組みも、クライアント(人)の理解あってこそできる行為です。
「これやったら頭1つ抜きん出られそうだな」と思ったことがあれば、人と向き合い取り組むべきです。ダメで元々なので、まずは交渉しましょう。
これは以前にツイートした内容と重複するのですが、自分自身と自分が考え作り出したものは早々に別物であると、正しく認識すべきです。
特に下記のようなものを自分自身で考え提案したところ、否定され、生みの苦しみがあるがゆえに不必要に打ちひしがれる若手の方は多いように思います。
- 広告
- 戦略
- 戦術
- 改良案
しかし、自分自身と自分が考え作り出したものは全くの別物です。
むしろ生みの苦しみを味わった自分自身だからこそ、それを誰よりもブラッシュアップし、誰より良いものにしようと突き詰めるべきです。
ざっとまとめると、こんな感じになりますでしょうか。
1.約束を守る
2.時差を意識
3.早く動く
4.専門領域を見つける
5.広告に固執しない
6.他責思考を捨てる
7.計画性を持つ
8.シンプルに対応
9.整理整頓
10.人と向き合う
11.自分と自分が作ったものを分ける
もしかすると年末に差し掛かる今、「この仕事めっちゃしんどいやん….」と感じている社会人1~2年目の方や、転職したての方は多いかもしれません。
自分自身、社会人3年目ぐらいまではクライアントに(またはクライアントの顧客に広告で)うまく自分自身の考えや、どうしても伝えたいことを伝えられずに苦悩したり、苦い思いをしたりしてきました。
自分も周りの人の支援のおかげで、今回公開した記事の内容について取り組み、結果なんとか人並みに広告運用の仕事をできるようになりました。
今回の記事が、そういった苦境に現在立たされている方の支えとなれば幸いです。
文責:川手遼一