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直近数年、著者の直属の部下として仕事をしていたものです。
社内事情で誠に恐縮ではありますが、今後は直属の部下ではなくなったため、改めて書評を書いておければと思い筆をとった次第です。
直属の上司部下の関係だと改めて書評を書くのはあまりにもこっ恥ずかしく(これは書く側も、たぶん読む側も)これまで特に触れてこなかったのですが、直近でも再読し、その中でも発見があったりしたので、その点についても触れておければと思います。
よいしょ記事じゃないよ(苦笑)
目次
もう8年近く前になるのですが、当時大学3年生だった自分は Wantedly 経由でたまたま 弊社の前身にあたる株式会社キーワードマーケティング研究所を見かけてコンタクトを試み、実際に会社へ訪問し話を聞きに行きました。
その際の待ち時間に渡され、一読したのが初読なんじゃないかと記憶しています。
当時は一読したところで、全体の2〜3%ぐらいしか理解できていなかったかと思うのですが、とにかくその後も「Web広告とは?」「検索連動型広告とは?」「そもそもインターネットを通じて行うべきビジネスとは?」といったものの世界観を理解する上で、大変助けられた一冊になります。
本書をきっかけにリスティング広告、運用型広告に興味を持ち業界に飛び込まれた方も多いのではないでしょうか。
客席では未だに本書が話題に上がることが多く、著者自身自ら「いやいや、もうこの本は化石みたいなものですから」とたびたび客席でも話されるのを、自分自身何度か見かけています。
しかしながら、実際に直近でも自分の顧客で実際に本書のコンセプトである「『需要があるのに、供給者が少ない市場』を狙うこと」「検索キーワードの需要からビジネスを開始してしまうという逆転の発想」を切り口に新規事業を立ち上げて集客を行い、数億円のビジネスを1から立ち上げるシーンに携わる事も多々ありました。
本書は2006年初版刊行、2012年に文庫本化されています。
用語や管理画面のキャプチャなどは最新書籍に劣る部分もあるかもしれませんが、基礎的な部分については全く古びておらず、本書に書かれている内容をベースに2022年に新規事業を立ち上げても、全く問題のないレベルで通用する知識が得られる代物です。
根底として一貫している検索連動型広告の世界観や、検索連動型広告を1つの切り口に見た際のビジネスに関する要諦などは、2022年現在にも十分に通じるものがあります。
例えば下記5つのような点に関しては、今ではより新鮮というか、スッと理解できる方も多い記述なのではないでしょうか。
著者は「最も有益な資産は何か」と問い「顧客リストである」と回答しています。
この世の中で最も価値が下がりにくく、最も収益率のよい「資産」。それが一体何かご存知か? もちろん株でも不動産でも外貨預金でもない。答えは、「顧客リスト」だ。
『1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方』より引用
いくらビジネスで何千万円と稼いでも、紙幣インフレになれば一気に紙くずと化す。不動産を何棟と所有していても地震でぶっ倒れれば一巻の終わりだ。しかし、顧客リストさえあれば、何も心配することはない。インフレになってもデフレであっても一切関係ない。
『1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方』より引用
本書が執筆された当時に比べ Web 広告は現在はるかに正確なターゲティングが可能となりましたが、直近では ATT 規制や Google ChromeのサードパーティCookie 廃止の予定などによりそれらのあり方やありようが見直されつつあり、「如何に顧客データ(単純なリストを含む)を用いて集客するか」に注目が集まっています。
この点については『「会社四季報」業界地図 2023年版』にも、下記のように言及されています。
クッキーなどの個人情報保護規制で精緻なターゲティングや効果計測ができなくなる事が懸念されているが、自社で保有する顧客データを活用した広告配信に注目が集まっている。
『「会社四季報」業界地図 2023年版』P199より引用
ちなみに自分がこの業界に飛び込んだ2015年頃は Facebook広告(Meta広告)が注目を浴びはじめていたのですが、その頃 Facebook 広告では顧客メールアドレスを用いた類似配信が隆盛を極めており、その頃はリターゲティングよりも、新規ユーザーからの「獲得」を得る事が可能な類似配信に注目が集まりはじめていたこともあってか「いかに顧客データ(単純な顧客リスト含む)を持っているか」が再評価されていたように記憶しています。
そのような揺り返しが今後も起こることが想定されるため「いかに顧客データ(単純な顧客リスト含む)を持っているか」は形を変えながら、今後も定期的に再評価されるようになっていくのではないかと自分は考えています。
著者は第4章にて「クリティカル・キーワードの8パターン」とし、以下のように売れるキーワードの特徴を列挙して紹介しています。
パターン1「タウンページ言葉」は売れる
『1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方』より引用
パターン2「タウンページ言葉+地名」は売れる
パターン3「問題発生言葉」は売れる
パターン4「秘密にしたい言葉」は売れる
パターン5「業界専門用語」は売れる
パターン6「マニアックな趣味言葉」は売れる
パターン7「インターネット言葉」は売れる
パターン8「教育言葉」は売れる
結論から言えば、本書で指摘されているパターン1〜8は基礎中の基礎であり、また近年ではリスティング広告に関してはほぼ全ての媒体(Yahoo!広告、Google 広告、Microsoft広告)においてキーワードをどのようにきめ細やかに設定するか、マッチタイプをどのようにこだわって設定するかという議論はほぼ意味がないものとなっています。
これは主に(スマート)自動入札による影響が大きいのですが、実際に(スマート)自動入札を導入しているケースでは、大筋キーワードに関しては自動最適化に委ねて、その代わりに広告そのものの見直しや、ランディングページの改善に人的、金銭的リソースを投入した方が成果が出ているというケースは多いように思います。
ところが今でも、例えばローカルに特化したサービスを提供している企業の広告配信の場合、広めにキーワード登録を行い広告配信を行うよりも、多少の機会損失はあったとしても、特定の検索語句や検索クエリー(実際にエンドユーザーが検索エンジン上で検索した語句情報)に対して重点的に予算を投下した方が、持続的かつ効率的に集客を実現できるといったケースは存在します。
現在以下のようなシーンに直面している場合、読むことで現状の課題を打開する方法にたどり着けるかもしれません。
- 媒体の推奨通り、自動入札と部分一致で配信を行なっているが成果が出ない
- 日々検索語句を確認したりといった細かい動きが取れていない
- リスティング広告の費用対効果が悪すぎる
著者は「お金を払うという行為」について下記のように言及し、まずはハードルの低いコンバージョンポイントを設けることの重要性について指摘しています。
インターネットで「モノ」を直接販売するのは、本当にむずかしいのだ。「お金を払う」という行為は、たとえ数千円でも必ず「痛み」を伴うのである。
『1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方』より引用
ちょっとでも不安があったら決していきなり購入することはない。新規参入者であれば、名前も知らない会社なのだから信用を得られないのはなおさらである。しかし、これが「問い合わせ」「資料請求」という形であれば、ハードルは急激に低くなる。
『1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方』より引用
近年ではさらにここから発想を広げて才流社が提唱しているような「階段設計」が一般に浸透していますが、当時 BtoB では「まずは資料請求」の資料が用意されていない、といったケースも珍しくなかったため、上記のような形で丁寧に言及しているのではないでしょうか。
また現在でも、地方の BtoB 企業のホームページでは、上記「問い合わせ」「資料請求」といったハードルの低いコンバージョンが設けられていないというケースも珍しくありません。
まずそういったものがサイトから欠如している場合は、そういったところから見直してみてはいかがでしょうか。
例えば BtoB などにおいて、リード数の最大化を重視するあまり、Salesforceなどのツールを導入することで「(見込み)顧客管理が出来ています」と演出されているものの、内情としてまったく顧客把握が進んでいない、そもそもSalesforceは誰もまともに使いこなせていないといったケースは決して珍しくなく、またBtoCであったとしても「そもそも問い合わせがあっても顧客に架電すらしていない」「資料を一方的に送っているだけ」といった形で機会損失を無限に生み出し続けているケースは少なくなくありません。
実際に自分自身現場でそういうシーンに直面している状況に遭遇し「広告配信を強めるとかの前にやるべきことがありますよね」とお話しする機会も珍しくありません。
著者は「まずは最低限架電ぐらいしましょうよ」と本書の中で説明しており、架電の重要性について解説しています。
メールで資料請求や問い合わせがあったら、翌日お客に電話をかけりゃいいのである。
『1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方』より引用
必ず成約率は倍増する。なぜこうなるか、といえば理由はきわめてシンプル。お客は、人の声を聞くと安心するからである。むずかしいことは何もない。不安だから購買への決断ができないところに、「人の声」という安心材料を提供してあげれば成約率は向上する。
『1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方』より引用
ユーザーは悩みを抱えて検索し、実際に広告を経由し問い合わせをしているわけですが、例えば仮に問い合わせ先の会社、無名の会社に問い合わせること自体はすごく勇気のいる行為ですし、人の声を実際に聞くと安心するはずです。
逆に問い合わせをしても返事が何もなかったり、機械的なメールが一方的にくるようではそのサービスに対し低いイメージを抱く方も多いでしょう。
もちろん闇雲に一方的な営業電話をかければそれで良いというわけではないのですが、時間帯や言葉遣い、そもそも相手が求める情報などに配慮したコミュニケーションが取れれば良いのではないでしょうか。
テストマーケティング時点から本格的な Web サイトを制作する必要はなく、 Web サイト制作に費用をかけるのではなく、はじめは内製で簡単なページを制作し、それでテストマーケティングを行うことを推奨しています。
作成業者にしろシステム会社にしろ、マーケティング知識を持っているウェブデザイナーは世の中に皆無に等しい。あれこれと余計な機能を付けさせられて、きれいなだけのお客の取れないホームページに何十万円と無駄な出費をすることになる。
『1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方』より引用
現在であれば WordPress など、EC であっても BASE や Shopify などで気軽に個人でも制作作業はできるはずなので、まずはそれらを使ってトライする形がいいでしょう。
あとはページ制作に時間、人、金銭的なリソースを割く余裕があるのであれば、それらはプロダクト改善に投資をした方がいいでしょう。
例えば、以下は SmartHR の創業者である宮田昇始さんの Twitter 上での発言ですが、まさに SmartHR 起業当初そのように対応をされていたことが伺えます。
本書冒頭で「今の時代、お客にとって商品品質は『高くて当たり前』である」と称し、本書は下記のような人のためのものであると説明されています。
「ホームページを作ればネット通販で簡単に稼げる」「自宅で寝ながらラクして儲ける」といった短絡的な結果を求める人には、本書は向いていない。
『1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方』より引用
「検索される言葉(キーワード)の本質」を理解し、新規顧客を短期間に獲得して、ビジネスを加速化させたい経営者。インターネットビジネスに何度も失敗しながらも、決してくじけない不屈の起業家…。
こういう人たちに向けて、本書は書かれた。
『1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方』より引用
前述した通り、本書の内容通りに起業し、着実に成長し続けている事例なども目にしています。
まさにこれから副業で始めるという方や、新規事業展開を考えている方にとって最適な一冊なのではないでしょうか。
文責:川手遼一