私的11冊の必読書

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おすすめの本ありませんか?」と聞かれる機会が多々あるので、必読書リストを作ってみました。

広告運用者にとっての必読書は「広告運用 書籍」とか検索すればすぐ出てくると思うのですが、そういった検索結果には出てこないような、基本的に自分の思想形成や、仕事のやり方に直接強い影響を与えたような、専門書以外の類の書籍を中心にリストアップしてみました。

日々の業務の助けになるようなものもあるかと思いますので、興味があるものをぜひ長期休暇なんかを利用して、一読してみていただければと思います。

必読書11選

色々考えたのですが、今回は11冊リストアップしました。1冊ずつ紹介していきます。

(1)『水源』

水源』は、大学3年生の春休みを使って通読しました。

元々『天才たちの日課』という書籍を読んだ際にアインランドの存在は知り、その中で「ベンゼドリンを欠かさず打ち、慢性的な疲労と戦いながら、あるときは30時間連続で執筆されて出来上がった小説」と紹介されていたため、気になって購入し一読しました。

この書籍をきっかけに、そもそも自分は存在自体理解していなかったリバタリアン思想について触れ、アメリカの利己主義な思想性について認識していくようになります。読み込んでいく中で、現在の GAFAM やリーマンブラザーズなどの資本銀行グループの登場といったようなものの出現が、如何に必然的なものであり、自分たちもそれらが生み出した大きな流れの中に存在して、日々仕事をしていることを理解する上で大変参考になりました。

また主人公の仕事(建築)に対する入れ込み具合に深く共鳴し、「あゝ、仕事とはこのように取り組むべきものなのか」と考えさせられた一冊でもあります。

全編1,000頁超の上下段の構成で通読に時間がかかる一作ですが、長期休暇などを利用して集中的に短時間で読むことをオススメします。

また後に書かれた『肩をすくめるアトラス』もオススメではあるのですが、『水源』よりも長編な上、人間同士の足の引っ張り合いが『水源』よりもリアルに描かれており、個人的にはあまりそういった過剰なやり取りが好きではなく、『水源』の方が読みやすいと思うため、基本的には自分は水源』をオススメしています。

(2)『獄中記』

水源』同様に、『獄中記』も最初に読んだのは大学3年生の時でした。この一冊で佐藤優のドライブ感ある文体に惚れ込み、その後『国家の罠』や『自壊する帝国』、そこから時間を経て書かれた『十五の夏』なども一読するようになるのですが、全てはこの1冊がきっかけです。

獄中記』は国策捜査の対象となり、微罪容疑によって逮捕,接見禁止のまま512日間勾留された際の体験を日々62冊のノートに綴り、それをベースに書かれた書籍になります。

通読することで、氏が如何に512日間の期間を有効的に活用し、拘置所内で読書や、思想形成に時間を充てていたのかを理解することが出来ます。

佐藤優は後にノンフィクション作家としてのちに大成していくわけですが、この頃からすでに情景描写力は凄まじく、まるで読んでいるとその場に自分自身がいるかのように錯覚できるほどに完成された文体が、独特のドライブ感を生み出し、読んでいると他の作家作品にはないような爽快感があります。

特に辛い仕事や難易度の高い交渉を委ねられている際、この本を自分はよく再読します。

自分の場合、仕事上の不運や、難易度の高い交渉に失敗しても、国益を損なうようなことや東京地検特捜部のお世話になり、一年半の長期拘留を余儀なくされることはありません。

自分の置かれている状況と佐藤氏の状況を比較し「自分はまだまだぬるま湯だな」と冷静に考え現状の打開策を探る際などに、とても役立ちます。

(3)『かもめのジョナサン』

大河の一滴』などで有名な五木寛之が翻訳を担当し、改訂版などを経て今なお売れ続けている新潮社のロングセラー作品です。

内容については詳しく書いた書評記事があるので割愛しますが、1時間程度で読める内容でありながら内容が濃く、自分は方向性にブレが生じた際に再読しています。

(4)『菜根譚』

Amazonランキングで4月になると毎年上位に入っていることを知り、気になって購入しました。古典的な指南書なのですがとっつき易く、訳も併記されているので読みやすいです。

岩波文庫は難解な内容のものが多く、少し手に取りにくいと感じる方も多いかもしれませんが、『菜根譚』や、少し方向性は違いますがマーケティング関連の仕事をしている方の必読書である『世論』などは、再読するたびに良い気づきを与えてくれます。

各ページごとに指南が書かれており、どこからでも読める構造になっています。

また古典的な内容であることから内容も陳腐化せず、社会人として初心を忘れそうな際や、マネジメントに行き詰まりを感じた際に再読しています。

読めば文字通り、物事の「根」に根ざした解決法、説法を叩き込んでもらう事ができます。

(5)『自分を捨てる仕事術』

いわゆる「ビジネス書」の類の中では極めて優れた一冊で、「何か一冊ビジネス書を」と聞かれれば、自分は迷わずこれを選びます。

スタジオジブリを牽引してきた鈴木敏夫の手腕については、後に出版された『ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』に詳しく書かれていたりするのですが、その仕事における脅威的な要領の良さが如何に成立しているのかについて、身近でサポートし続け見聞きした内容を石井氏がまとめたものとなっています。

著者である石井朋彦は、90年代の終わりにスタジオジブリに入社し初めてアニメーション業界に携わるようになり、後にProduction I.G、株式会社クラフターの取締役などを勤め、現在はまたスタジオジブリに戻り、現在は公式Twitterアカウントの運営などに携わっています。

身近で鈴木敏夫の仕事を見続け学び続けたからこそ、得られた知見が惜しげもなく盛り込まれた一冊になっており、中には「今の日本では考えられないぐらい古風な指摘だな」と思える点もあるのですが、そういった細かい点も含めて、鈴木敏夫が如何に仕事に対して取り組んでいるのかを垣間見ることができる一冊で、特に新人の頃にクライアントワークに苦戦した折に何度も何度も再読しました。

またこれは余談ですが、自分は喋り方や話し方、他人に口頭で如何に情報を効果的に伝えるべきかという点について学ぼうとしていた時期があり、ほぼ毎日「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」の過去放送回を聞いていた時期があります。

(6)『もういちど、村上春樹にご用心』

文学者で思想家でもある内田樹が、一人のファンとして村上春樹作品いついて論じた文章をまとめたものが本作です。

評論という形式を借りた、非常に気の利いたファンレターとして本作は成立しています。しかしながらファン特有の卑しさが一切なく、「内田樹が語る村上春樹作品」という形で「一対象についての魅力を文字で伝える際に、如何に実直に伝えれば良いのか」という点について、とても丁寧に教えてくれる一冊です。

自分は歴代の代表作を一読している程度で、別に村上春樹がとにかく好きというわけではありません。しかし本作は正直村上春樹作品以上に面白く、自分は学生時代から何度も再読しています。

残念ながら Kindle 化されておらず、また今年に入ってから文庫本は絶版となってしまったため、見かけたら都度購入するような形でストックを用意しています。

村上春樹にご用心』という前作もあります(こちらは Kindle 版もあり)が、個人的には情報も最新の作品までカバーされていて、読みやすい「もういちど村上春樹にご用心」の方がオススメです。

(7)『読者ハ読ムナ(笑)』

読者ハ読ムナ(笑)』は『うしおととら』『からくりサーカス』などで有名な藤田和日郎が自身スタジオでの新人アシスタントにどのようなアドバイスをしているかなどをまとめた一冊です。

これは漫画業界にしてはかなり珍しいことなのですが、藤田氏のアシスタント経験者はその後漫画家として大成する人が多く(例えば『金色のガッシュベル』の雷句誠氏など)その根幹を支えているのが藤田流のアシスタント育成論にあるということが、本作を一読すると理解できます。

この一冊を通じ「自分と自分のクリエイティブは別物である」ということ、そして「会話を重ねることが如何に良いものを作り出す上で重要か」という点について理解する上で大変重宝しました。

自分はそれまで黙々と広告を作っているのが良い広告運用者だと思っていたのですが、それは実は間違いで「人とコミュニケーションが取れないとそもそも良いクリエイターにはなれない」という事を、様々な事例をベースに懇切丁寧に伝えてくれる上、「ではどうすれば良いのか?」についても論じられているのが、本作の魅力です。

初めて本作を一読した際、以降自分は仕事に対する取り組み方を根本的に見直しています。

(8)『秋本治の仕事術』

秋本治以外に40年間ジャンプで連載をし続けた人は他に存在しませんし、週刊誌での連載を一度も落とさず40年間続けた人は、おそらく世界的に見ても存在しないはずです。

著者である秋本治は仕事を的確にこなす上で、如何にテキパキと仕事をこなすかではなく、一定のルールを設け、そのルールによって強固な流れを作り出し、その上で作品制作を続けることの重要性について本作の中で度々言及しています

一度強固な流れを作ってしまえば、むしろ流れに逆らって仕事をする事が混乱になります。

本作はそういった自己管理方法、時間術の他、例えば「限られた時間の中で如何に発想するか」などといった点についてまとめられています。

例えば『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の中で、主人公・両津勘吉は169の副業にトライしています。副業という切り口だけでもなぜそれだけの発想が生まれるのかについて、本作をしっかりと読み込めば理解する事ができます。

(9)『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』は、社会人2年目の頃に弊社代表に渡されて読んだ一冊です。

自分は寡聞にして存じてはいなかったですが、こちらも『かもめのジョナサン』同様にロングセラー商品のようで、学生時分の息子と経営者の父親との手紙のやり取りに始まり、父親の後を完全に息子が継ぐまでに行われた30通の手紙がまとめられたものになっています。

生涯の節目節目で、父親が息子に対して的確な指摘を試みていて、息子視点で読んでいて当然学びが多くありますし、父親目線で読んでも発見のある一冊となっています。

社会人として成長し、ある程度管理職にもなると、人から率直に「それはよくない」と指摘を受ける機会は激減します。これが進むと、いわゆる老害になるのではないか、と自分は見ています。

極めてストレートに響く言葉で投げかけてくれているので、自分自身、思うところがあれば本棚から取り出してきて、パラパラとめくり一読し自分自身に落ち度はないか探ったりする際に使用することもあります。

また管理職になれば仕事の大半は、後進への指導です。そちらにも当然力を入れていかねばなりません。そういった際に如何に言葉の濁さず、率直にアドバイスするかという点において悩むことは多々ありますが、本作の父親は非常にお手本となるようなアプローチを複数試みており、迷うところがあれば再読し、参考にしています。

(10)『エルメスの道』

少女漫画もご紹介しておきます。

エルメスの道』は「少女漫画」という形式を用いて、世界一のハイブランド・HERMES の社史を紹介している少女漫画です。

歴代の社主が如何に HERMES に対して良い働きかけをしてきたのかについて、本作を一読すると理解する事ができ、またこの一冊を読み込むと「ブランディングが如何に一朝一夕でできるものではないものか」という事を正しく理解する事ができるようになります。

ブランディングとは「如何に売るか」ではなく「如何に愛され続ける定番を生み出すのか」という営みですが、そもそもその点について理解している企業・個人は少なく、例えば一人の社主がその生涯を通じて1つのロングセラーを生み出しているサントリーなどと同じように、HERMES もまた、1つのロンセラー商品を生み出すのに1人の社主が丸々人生を賭けてトライし、その功績が次の代にそれが引き継がれ、それが脈々と何代も続いた結果が今なのだということを知る事ができる一冊です。

例えばハイブランドの財布だと数万円というものが決して珍しくありませんが、HERMESの場合は数十万円から、場合によっては数百万円という価格帯でラインナップされており、他と比べても頭1つ抜き出ています。

またスカーフなどですら数十万円といったものも多くあり「なぜ…この価格?」となるわけですが、それでも売れるのはブランディングがしっかりとしているからであり、その価格である必然性(きちんとした理由)が存在し、エンドユーザーとの合意形成がなされているからこそ売れるわけですが、その点についても一読すると理解できるものとなっています。

(11)『道に迷う若者へ』

最後に、極めて強烈な一冊をご紹介しておきます。

道に迷う若者へ』の著者は九州でかつて名を馳せた旧九州五大財閥高取家の跡取りで、現在実業家、飲食店経営者、株式会社和僑代表取締役会長でもある高取宗茂です。

1986年に実家が倒産、所持金7円で天神で屋台をはじめ、その後さまざまな事業に挑戦し M&A などを経てグループ会社をどんどんと大きくしていきます。

ビルディングスロマン…と言えば聞こえは良いですが、その間に人に裏切られたこと、人と関わる中で確信された点などについて、非常に率直に述べられています。

率直に書かれすぎた文章には、自分は毒があるように思っています

例えば岡本太郎の『自分の中に毒を持て』もそうですけど、ストレートに書かれすぎていて、注意しないとその人の世界観に閉じ込められてしまいそうになるのですが、本作はその類の書籍で、その点良くも悪くも使い方を誤ると危険ですので注意が必要です。

如何に苦境に立たされた状況下でも「このぐらいのことはなんとか対処して解決できなければ、自分が一番みっともない」ということについて徹して書かれており、自分自身が悩み事を抱えた際などに一読すると、如何に自分が甘えた気持ちを抱いていて、それ自体無意味なことかと考えさせられます。再読するたびに良い活力を与えてくれる新書です。

人と会う事がはばかられる今だからこそ

自分自身、今まで散々人にオススメの本を聞く機会は多々あったのですが、いざ自分が聞かれる側になると渾身の一冊を選ぶ事がその場では出来なかったり、その場で覚えたとしてものちに忘れてしまったりする機会が多々あります。

自分の場合は若手の頃、本のタイトルを聞き出したらその場で検索し即注文するようにしていたのですが、話をする際にネット環境がない状況も考えられますし、そもそも人と会う事がはばかられるこのご時世だと、そういった話を率直にできる機会自体数少ないでしょう。

また今の若手に同じような動きを強要するようなことを、自分は避けたいと考えています。それでも聞いてくる人は一定数存在するため、今回は一記事を丸々使用し、オススメの書籍について論じてみる事にしました。

また他にも本は好きで書評記事はいくつか書いていますので、気になった方はそちらだったりこちらもどうぞ。

文責:川手遼一