【書評】『Web担当者のための3ステップWebマーケティング』

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著者の小松雅直さんとはお仕事でご一緒したことがあるわけではないのですが、もともと Twitter 上でつながりがあったこともあり、またこのブログの読者でもいてくださったご縁で、この度刊行された新刊『Web担当者のための3ステップWebマーケティング』をご恵贈いただきました。

本書は「初めて発注者になる方」を想定読者に書かれたものであり、著者自身の実体験に基づく事例紹介や、初歩的な注意事項の喚起、発注時に気にかけるべき事柄が丁寧にまとめられた一冊となっています。

前述した通り、想定読者としては「初めて発注者になる方」が設定されているものの「…あれ、うちって今こういう風に発注しているけど、本当にこれが最適解なんだっけ」というケースや「ずっと今の体制に疑問を感じてはいるけど、何からアクションを講じれば良いのかわからない」といった方にとっても、あらゆるケースが想定され書かれているため、ざっと目を通して気になったところから情報を拾い読みしたりしてみても良いかもしれません。

本書をよむべき3つの理由

当ブログの読者の方には広告代理店やフリーランスとして広告運用をしていたり、「話を聞いていると、運用する側の人間が読んでもあまり意味がなさそうなんだけど…」と思われている方は多いかもしれません。

しかし、実際はそうではありません。本書を読むべき理由は3つあります。

1.発注者が気にかけている心理や社内事情を知ることができる

まず特に発注する側も、される側も、まずは「第4章 予算に応じて最適な施策を行なってくれる Webマーケティング会社の見極め方と頼み方」は読んでおくと良いでしょう。

「外注企業の見極め方」や「選ぶ際のチェックポイント」などはひと通り目を通しておくことで、発注者側がどのような点を気にかけておくべきか、どのような質問を投げかけるべきかといった点についても解説されています。

「実際に発注する側の方がどのような点を気にかけているのか」を請け負う側が知っておくことは、仕事をスムーズに進める上でとても重要なことです。特に発注経験のない方は、第4章は必読です。

2.事例ベースで学べる

前述した通り、本書では至る所で著者自身の、過去の実体験に基づく事例の紹介が随所にみられます。

事例として、例えば下記のような描写がみれられます。

次に手掛けたのは、薬剤師向けの転職サイトです。薬剤師の求職者を集めるために求人のポータルサイトを使うと費用対効果が低いので、独自に集客しようと考えました。とはいえ「薬剤師 求人」「薬剤師 転職」のキーワードで検索エンジンの上位に表示させるのは、競争が激しく難しいです。

薬剤師は調剤薬局で働くためには都道府県に届け出をしなければなりません。結婚して姓が変わったり、引っ越して住所が変わったりすると、変更届を出す必要もあります。ライフスタイルが変わる時は転職を考える時は転職を考えるきっかけにもなりやすいですが、そういった層が変更届について調べるために「保健薬剤師 変更」と検索するわけです。そこで「保健薬剤師 変更」のキーワードに関連したコンテンツを作ったところ、キーワード検索で1位を獲得することができ、コンテンツ経由で転職サイトに登録してくれる人が増えました。

Web担当者のための3ステップWebマーケティング』より引用

これは余談ですが、上記薬剤師の事例の概要をツイートしたところ、そのツイートに薬剤師の方が反応をされていました。

この反応(ご納得された様子)からも、如何に小松さんが一次情報をベースにコンテンツを制作されていたのかがよくわかるのではないでしょうか。

他にも下記のような事例が紹介されており「なるほど…それでそれで…」と引き込まれます。

以前にマンションに設置される宅配ロッカーの事業で新規参入の企業から Web 戦略を支援してほしいと依頼がありました。その会社は今後新たな領域に展開していこうということで、企業向け宅配ロッカーを販売しようとしていました。そこで Web でプロモーションをしたいということだったのですが、「宅配ロッカー 企業向け」というキーワードで検索するのは月間30件ほどで、誰も検索していないに等しい数字です。これではキーワードを指定して広告を出しても効果がありません。そこで提案したのが…

Web担当者のための3ステップWebマーケティング』より引用

料理サイトのもやしレシピのページに、ダイエット茶のバナー広告を掲載するという方法を取ったことがあります。もやしのレシピを検索している人は、節約している人、ダイエットしている人が多いといわれています。そのため、ダイエット茶に興味をもってもらえる可能性が高くなります。また同じ料理サイトですが、キャラクター弁当特集のページには…

Web担当者のための3ステップWebマーケティング』より引用

3.初心を学び直せる

著者である小松さんは、発注する側にも、請け負う側にも立ったことがある過去の経験から、実際に自社(Webマーケティングの支援会社)の体制にもこだわりを持たれています。

会社のメンバーも発注を経験している人をそろえています。発注企業の利益のために発注者側の視点を大切にしています。「過去の自分たちが自信を持って発注できる会社」を行動基準にしているので、それで良いのです。Web マーケティングの仕事をする企業もそうであってほしいですし、発注企業の Web 担当者が長期的に良好な関係を構築できる外注先企業に巡り合ってほしいと願っています。

Web担当者のための3ステップWebマーケティング』より引用

また所々で考えさせられる一文が多いのも、本書の特徴の1つです。

代理店にとっては1人の顧客は何十分の1でしかありませんが、依頼側にとっては1分の1なのです。

Web担当者のための3ステップWebマーケティング』より引用

色々と読んでいて、改めて仕事に対する取り組み方について、考えさせられる方も多いのではないでしょうか。

最後に

すでに Kindle 版も購入可能なようなので、購入しておいて「困ったぞ…」といった際に開いてみて、ヒントを探ってみたりするのに良いかもしれません。

事例に関しては現在ではそのまま使用することが難しいものも含まれていますが、ジャンルを変えてみたり、応用して使用することで現在でも打ち手として有効に機能するものが多く含まれていますので、一度手に取った際は目を通しておくことをオススメします。

文責:川手遼一