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本記事は Amazon レビューとして自身が投稿した内容を噛み砕き、再考した内容となっています。
3月の終わりぐらいから、X(旧Twitter)のタイムラインを見ていると「どうやら4月にすごい本が出るらしい」と話題にしている人がいたため、発売当初に手に取り、通読を試みました。
ところが本書、Amazon 上では624ページとあるのですが、参考文献含めると629ページもある大著ということもあり読むのに時間がかなりかかる上、またちょうど台湾にいっていたこと、出張も重なり時間の捻出が難しく、通読するのにだいぶ時間がかかってしまいました。
目次
構成も内容も、いずれも「教科書」としての利用を想定されているものと思われます。
著者である Byron Sharp 氏は、本書冒頭で次のように言及しています。
本書の目標は、情報に敏感で、しかし情報に惑わされることなく、常に疑問を持ち、積極的に学び続けるマーケターを育成し、彼らがその知識を使ってより効果的なマーケティングプログラムを構築できるようになることを支援することです。
引用元:『マーケティングの科学 セオリー・エビデンス・実践で学ぶ世界標準の技術』書評
『ブランディングの科学』の著者として知られる彼が、著者として対応した Chapter は、以下の通りです。
Chapter 1
マーケターに求められる資質と仕事
Chapter 2
消費者行動と顧客行動
Chapter 3
指標の重要性
Chapter 6
セグメンテーションとターゲティング
Chapter 8
小売業のフィジカルアベイラビリティ
Chapter 11
広告
Chapter 12
メディアプランニング
Chapter 16
ソーシャルマーケティング
初読時に感じた点についても、いくつか述べておきます。
- 冒頭でも述べた通り、本書は教科書的
- 全体的に網羅的で抽象性が高いコンテンツも多い
- まずはざっと目次を見て、興味をもった Chapter から読むと良いかも
- コロナ禍やパンデミックに関する情報がない(全体的に情報が古い)
- 原題:Marketing: Theory, Evidence, Practiceの初版(1st Edition) は2013年、2nd Editionは2018年刊行
- 今回刊行されたものは、2nd Edition が訳されたもの
- 出版元はオーストラリアのOxford University Press
- 視野を広げる、視座をあげたい時、タイトルにもある「セオリー」を学び直したい時に読むと良い
- 著者が監修したコンテンツは一部だが、全体のトーンは著者によるコントロールが効いている(気がする)
- (洋書あるあるですが)わかりやすくするための例として、実際のキャンペーンや広告事例が掲載されているものもありますが、そもそもかなり前のものであったり、知らなかったりするものもあるので、そういった場合は読み飛ばしても良いかもしれません
- 一部気になる日本語訳あり(例.フリークェンシー)
少なくとも明日、今期の施策を考えたり、日々の業務のペインを解消したり、そういったときに読むべきものではない。
値段が少し高めです。
あと厚みもあるので、持ち歩きに向きません。
また未確認ですが、ちょっと Kindle だと読みにくいフォーマットの書籍なのではないか…とも思います。
前述した通り、今日明日役に立つ情報は得られないけど、世界の有名企業のマーケティング担当者が何をどう見ているのかとか、どういう風に考えているのかを部分的にですが読み解くことができます。
そう考えると、買って読んで、ある程度使いこなせれば「お金を返してほしい…」「やっぱり図書館で読めばよかった」とはならないはずです。
マーケティング支援系の会社の責任者とかであれば、1冊買ってオフィスに置いておいても良いかもしれません。
また、PPC-LOGは広告のメディアですから、広告に関する章に関心の強い方も多いのではないでしょうか。
そういった方の場合、「Chapter 11 広告」「Chapter 12 メディアプランニング」なんかは興味深く読まれる方も多いかもしれません。
実際自分のクライアントに限らず、広く本書内「P&G、Facebook広告を使ったターゲティング戦略を見直す」で挙げられているような議論は耳にします。
また本書の興味深い点として、広報活動や PR についても言及されています。
パブリック・リレーションズ(PR:広報)は、マーケターが完全にコントロールできるわけではない、しかし奨励や影響を与えることはできる、無償のコミュニケーションを意味し、“パーソナルセリングは、顧客から直接注文を受けることができる双方向のコミュニケーションを意味していた。しかし、今日のメディア環境では、有償の広告(マーケティングコミュニケーションとも呼ばれる)と無償の広報との区別が曖昧になりつつある。
引用元:『マーケティングの科学 セオリー・エビデンス・実践で学ぶ世界標準の技術』書評
主にマーケターがコントロールする有償のコミュニケーションについて論じるという従来の教科書的慣例を踏襲しているが、すべての広告がこの枠にきれいに収まるわけではないことに留意して頂きたい。
引用元:『マーケティングの科学 セオリー・エビデンス・実践で学ぶ世界標準の技術』書評
個人的に親会社のと兼ね合いもあり、特に PR 領域に興味があったりするのですが、本書の中ではメディアプランニングの一部として触れられていて、そのあたりも興味深く読ませていただきました。
文責:川手 遼一