『週刊現代』の「潜入ルポ『フェイクニュース』が生まれる部屋」を読んで

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X でもポストしましたが2023年11月6日発売の『週刊現代』にて、「潜入ルポ『フェイクニュース』が生まれる部屋」という記事が掲載されており、運用型広告についても一部言及がなされていたため、読みいってしまいました。

550円でKindleで読むことが出来る上、Kindle Unlimited で無料で読むこともできるので、気になった方はこちらからどうぞ。

潜入ルポの概要についてまとめると、下記の通りです。

  • 「極右サイト(フェイクニュースサイト)が儲かっている」と聞き、ライターが極右サイト運営者に取材依頼
  • 極右サイト運営者が快諾、儲かるロジックについて直接ヒアリングしに仕事部屋へ赴く
  • ライターは取材する中で運営者から「極右サイト(フェイクニュースサイト)が儲かるロジックを直接聞く
  • ライターは罰則がないこと、今の日本人の一定がそういったサイトを支持してしまっている問題点について言及

本日はこちらの記事を読み、思ったこと、考えたことについて書き連ねて、まとめておきたいと思います。

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1.フェイクニュースサイトに広告配信がなされるロジックについて

そもそもなぜ極右サイト(フェイクニュースサイト)に広告配信がされるのでしょうか。

「広告枠が設置されているから」というのはもちろんですが、前提として下記6つのケースがあるように思います。

(1)配信面に対して関心を持たないケース

そもそも「獲得」を主目的に広告配信するケースにおいて、そこまで配信面に広告運用者が関心を持っていないケースは珍しくありません。実際にその配信面で多額の広告費が投下されていれば話は別ですが、そうではない場合気に留めないケースも珍しくありません。

(2)配信面を固定しない広告配信で露出してしまうケース

まず配信面を固定せず、ユーザーの属性情報などだけでターゲティングし広告配信することで、極右サイト(フェイクニュースサイト)に広告掲載されてしまうことがあります

広告媒体によってはそういった配信面などへの広告露出を制限するフィルター機能なども用意していたりするのですが、貫通してしまうことも多々あるため注意が必要です。

また仮に配信されたとしても、(1)のように気に留められないケースもあるため、その場合は広告配信され続けます。

(3)物理的にチェックし切ることが困難なケース

どこの広告配信面に広告が配信されたかについて、ドメインレベルでは媒体レポートなどを用いることで大部分が特定が可能です。

しかし、全ての配信面に関するデータの取得がレポートで可能というわけでもないため、また膨大な配信面すべてを確認することは困難であることから、すべてのデータをチェックし切ることは不可能です。

(4)チェックできない構造になっているケース

一部メニュー(P-MAXなど)は配信面と表示回数のみレポートで確認することができますが、それ以外のデータを取得できない仕様となっています

そのようなケースの場合(3)とあわせて特に確認することは困難を極めます。

(5)シンプルにパフォーマンスが良いケース

極右サイト(フェイクニュースサイト)に広告配信がされても、広告の目的(例:獲得)に対する貢献度合いが高い場合、配信が継続されることが多々あります。

またそういったサイトのコンテンツを好んで読んでいるユーザーをターゲットにしたような商材の場合、むしろ積極的に広告配信するケースもあるはずです。

(6)広告主の信念や趣向に基づき配信されるケース

広告主の信念や個人的な政治的思考により、極右サイト(フェイクニュースサイト)に積極的に広告配信がなされるケースもあるはずです。

(5)や(6)に関して、幸い自分はこれまでそういった運用を経験したことはありませんが、実際にそういったサイトを見ているとその手の広告を目にすることが多々あります。

2.審査を厳格化できないのか?

「最初から広告配信先として適正かどうかのチェックを厳格化すれば良いのでは?」という意見もあるかもしれません。

しかし、実際には困難です。理由は3つあります。

(1)厳格化し苦しんでいるケースも

直近のアドフラウドに関連する問題や、そもそもの虚偽記載などに対抗するために、広告主の制限や広告審査厳格化を実施した広告媒体も、直近数年で複数散見されています。

参照:暴走するネット広告: 1兆8000億円市場の落とし穴

しかし、その多くが結果収益面で苦戦し、逆に厳格化を図らなかったところが皮肉にも成長している(グレーな広告の受け皿になっているとも見れる)という実態も散見されています。

(2)イタチごっこ状態に陥るケースも

実際自警団的に極右サイトを徘徊し、広告配信されていることを確認すると広告主(事業主)に連絡を取り、配信をやめさせるように連絡される個人の方もいるようです。

当然そういった方は、媒体側にも通報をしているのでしょう。

しかし広告配信がされてしまっている現状を考えると、次の3つが考えられます。

  • 媒体による審査が再度なされても広告枠はそのまま
  • 媒体によって審査され、広告枠が設置できなくなったとしても何かしらの形で復旧
  • 審査そのものをかいくぐる方法が存在し、使用されている

結局イタチごっこになる余地があるからこそ、そういった極右サイト(フェイクニュースサイト)が存続してしまっています。

(3)仮に極右サイト(フェイクニュースサイト)であっても重要な収益源

これは若干陰謀論的なところもある個人の見解ですが、例え極右サイト(フェイクニュースサイト)であったとしても、広告枠を設置させてくれる大規模なトラフィックのある Web サイトは、広告枠を設置してもらうことで自社に収益をもたらしてくれる、非常に貴重な収益源の1つです。

仮に行政から指導が入るなどあったとしても、進んで自社の収益のもととなる広告枠を設置してくれる大規模サイトの広告枠を削るということは考えにくく、ましてやその特定の Web サイトに好んで出稿する広告主が少なからず存在するのであれば、なおのこと広告枠がなくなるということは考えにくいです。

3.最後に

上記したような極右サイト(フェイクニュースサイト)などに広告配信されることを防ぐべく、承認したサイトにしか広告配信がされないようにする、いわゆる「ホワイトリスト」を用いた広告配信を行う企業も多く存在します。

しかし、仮に「獲得」を目的とした広告配信でそのようなことをしてしまうと、それによって生じる機会損失も多く、また仮にそういった形で広告配信するのであれば、様々な広告配信面に広告配信し面を開拓したり、費用対効果の良い面を発見したりすることができるという、運用型広告の持つ1つの大きなメリットを部分的にではありますが、損なうこともにつながってしまいます。

様々な思いから運用型広告によって自社サービスの成長や顧客獲得、認知度の向上を図りたい広告主、広告代理店にとって、なけなしの広告費がフェイクニュースサイトや極右サイトに、たとえ配信量は少なくとも広告配信されてしまう可能性があるということ、そしてそれがそういったサイトの収益源となっていることについて、改めて考えさせられてしまいました。

文責:川手遼一