Google は「広告の透明性」の観点から Google 広告は特定の身元確認済み広告主によって過去30日以内に配信された広告が確認可能なように設定していくという方針を提示しました。これらはマイ アド センターの機能の1つとして実施可能で、これにより広告運用者が受けるであろう影響について、本記事では解説していきます。
日本でもマイ アド センター の提供が開始されたため、大幅にリライトしました(2022.10.21)
目次
冒頭でもご紹介した通り、Google は 特定の(身元)確認済み広告主によって過去30日以内に配信された Google 広告を確認可能なように展開していきます。
実際にまだこの変更は実施されていませんが、公開されているイメージを確認する限りだと、リスティング広告上部「▼」または「i」、あるいは YouTube 広告内部再生ボタン上部「i」をクリックし表示される「この広告について」または「この広告主について」をクリックすると、その広告主が過去30日以内に配信したあらゆる形式の Google 広告を確認できるようになります。
Users can access these disclosures in our new “About this ad” menu to see the ads a specific verified advertiser has run over the past 30 days.
(訳)ユーザーは「この広告について」にアクセスすると、特定の確認済み広告主が過去30日間に掲載した広告を確認できます。
「Giving users more transparency into their Google ad experience」より引用、Google 翻訳を用いて翻訳、一部執筆者が修正
現時点では身元確認済み広告主の広告しか現時点では確認できませんが、下記のように日本でも実際されていることを確認されはじめています。
日本では2022年10月20日より展開が開始されました。
冒頭でも説明した通り、広告の透明性向上のためにこの取り組みは展開される予定です。詳しくは「Giving users more transparency into their Google ad experience」にも記載されていますが、以下の取り組みを行うことで Google は以下のようなメリットがあると考えているようです。
- エンドユーザーが良いと思った広告から、広告主や取扱製品をより手軽に理解することができるようになる
- エンドユーザーが広告の通報をより簡単にできるようになる
- エンドユーザーがより安心できる明確で直感的な広告体験を味わえるようになる
またこの動きにより、より広告主の責任の明確化、広告メッセージの統一感が必要とされてくる動きはますます強まっていくものと考えられます。これまであったような二枚舌な広告の展開、例えばランディングページが違うと同じ商品でも割引額が違うなどといった、発覚することで炎上リスクのある広告配信なども無くなっていくのではないかと考えられます。
現段階ではまだ具体的なアナウンスはありません。
ただ導入が進むにつれて、特定のアカウントでは何かしらの対応を要請される可能性がありますのでヘルプを常に見ておく、要請がきた時点で早めにクライアントに対しても背景を説明しておくなど、対応が必要となってくるものと考えられます。
また現時点では公式ヘルプでは「適格性の確認について」などは目を通しておいた方が良いかもしれません。特に下記の部分などは、今回の変更によってより重要となってくる指摘かと思われます。
Google が取り組んでいる透明性の向上の一環として、Google 広告アカウントおよび広告キャンペーンに関する以下のような情報を公開することがあります。
・広告主名の変更履歴
・広告クリエイティブ
・広告が配信された日付と地域
・法的な理由またはポリシー違反により削除された広告や停止されたアカウント
・ビジネスの連絡先情報個人の連絡先情報、電話番号、メールアドレスは公開されません。
「適格性の確認について」より引用
注意すべき点として「広告主情報の誤設定」があります。
本来広告主の情報を入力しなければならない箇所に、代理店の情報を入力してしまい、現在情報漏洩が確認されているケースなどが散見されています。
そのため、誤って広告主情報を設定してしまっている場合は修正が必要です。修正される際は、下記記事をご参照いただければと思います。
参照:Google 広告の身元確認完了後に反映された情報を変更・修正する方法
例えば Facebook は同じく広告の透明性のために「広告ライブラリ」というものを設け、常時どのような広告を配信されているのかなどを確認できるようにしています。
広告ライブラリには検索機能があり、特定のキーワードを入力するとテキストや、画像内テキストなどに対して検索を行い、該当する広告を表示する仕組みになっています。
広告ライブラリは広告の透明性を保証する最も包括的な機能であり、Facebookが提供するアプリやサービス全体の広告を一覧できます。配信されている広告についての詳しい情報を提供することで、広告の透明性を維持しています。
「広告ライブラリについて」より引用
現段階で公開されている Google のそれは Facebook の広告ライブラリとは異なり、検索して情報を集めてくるようなものではなく、特定の広告を選択し、その広告主が過去30日以内に配信していた広告が確認できるような仕様となるようなのでその点が大きく異なります。
すでに海外の広告運用者の間では話題になっていますが、競合調査などが従来に比べて正確に、かつ効率的に行えるようになるのではないかと考えられます。
1つでも広告を見つけることができれば、その広告主が配信している広告が全て確認できるようになるため、例えば競合他社がどのようなYouTube広告を展開しているのかは勿論、「そもそもYouTube広告を展開しているのか」などといったことまで確認できるため戦術ベースで施策を考えたりする際にも活用できるはずです。
また出どころ不明な、誰が配信しているかも分からないような広告、いわゆる「テストテストテスト広告」を見かけた際や、配信元不明の広告によって迷惑を被っている場合などに配信元を特定できる可能性も高まるのではないかと考えられます。
そして、営業提案時などの素材としても使えるものが得られる可能性も高いという点も注目しておくべきです。
既存の広告運用に対して改善提案を提出する際の素材集めにも活用可能ですし、競合他社が既に取り組んでいる施策に追従したい場合などにも、視覚的に訴えかけるための素材をより効率的に集めることなどが可能になるのではないでしょうか。
アメリカを中心にテスト実装が始まりました。前述した通り「米国で試験的に導入され、2022年には世界中の様々な国々で導入されると公表されているもの」になりますので、日本でも徐々に実装されてくるのではないでしょうか。
日本でも提供が開始されました。

文責:川手遼一