Google 広告における「拡張コンバージョン」とは?

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Google Marketing Livestream 2021 で発表された「拡張コンバージョン」がついに正式にリリースされました。この記事の中では「そもそも拡張コンバージョンとはどのようなものなのか」という点について、また導入までの流れや注意点について解説していきます。

拡張コンバージョンとは

拡張コンバージョンとはそもそもどのようなものなのでしょうか。公式ヘルプ上では、以下のように解説されています。

拡張コンバージョンは、より正確なコンバージョン測定を可能にする機能です。この機能は既存のコンバージョン タグを補完するもので、自社のウェブサイトで取得したファースト パーティのコンバージョン データをハッシュ化し、プライバシーに配慮した方法で Google に送信します。SHA256 と呼ばれるセキュアな一方向のハッシュ アルゴリズムを使用し、Google に送信する前にファースト パーティの顧客データ(メールアドレスなど)をハッシュ化します。次に、ユーザーがログインしていた Google アカウントとハッシュデータを照合して、キャンペーン コンバージョンをクリックや視聴などの広告イベントと関連付けます。

拡張コンバージョンについて」より引用

ざっくりと噛み砕くと…

拡張コンバージョンとは、より正確なコンバージョン測定を可能にする機能であり、設定すること自社のウェブサイトで取得したファーストパーティのコンバージョンデータをハッシュ化した上で Google に送信し、GoogleがそのデータとGoogle アカウントのデータを紐付けることを可能とするものになります。

仕組みとしては以下の通りです。

お客様のウェブサイトでユーザーがコンバージョンを完了すると、メールアドレス、氏名、住所、電話番号など、ユーザーに関するファースト パーティの顧客データが取得されます。このデータはコンバージョン トラッキング タグでキャプチャされ、ハッシュ化されて、Google に送信されます。その後、このデータに基づいて、ユーザーと Google アカウント(広告に対してなんらかの操作を行ったユーザーがログインしていたアカウント)が照合されます。

拡張コンバージョンについて」より引用

また拡張コンバージョンは既存のコンバージョン計測にとって代わるものではなく、あくまでも既存のコンバージョンタグを補完するものと理解しておくこともポイントです。

拡張コンバージョンの種類

拡張コンバージョンは現状2種類存在します。

  • 拡張コンバージョン(ウェブ向け)
  • リードの拡張コンバージョン

拡張コンバージョン(ウェブ向け)は従来から存在していた拡張コンバージョンであり、2022年2月に登場したリードの拡張コンバージョンは拡張コンバージョン(ウェブ向け)のようにオンラインコンバージョンの測定を改善するためだけに用いるものではなく、Webサイトのリード、Webサイト上で発生した売上を明確化したい際などに用いられます。

参照:より簡単にオフライン コンバージョンをインポートする方法 – Google 広告 ヘルプ

参照:拡張コンバージョンについて – Google 広告 ヘルプ

例えば、拡張コンバージョン(ウェブ向け)はあくまでも Google が有するデータとハッシュ化されたファースト パーティのコンバージョン データを照合し、コンバージョン計測の補完が行われていただけに止まりましたが、リードの拡張コンバージョンはそれに加えてハッシュ化されたリード情報を Google に送信すると、それらのリードが Google 広告と関連するものなのかどうかを確認し、関連している場合は貢献した広告に対してコンバージョンを付与することを可能とするものになります。

これまでのコンバージョンと拡張コンバージョンの違い

これまでのコンバージョン計測との違いについては、次の通りです。

これまで Google 広告ではグローバルサイトタグを全ページに設置し、その上でサンクスページやコンバージョンとしてトラッキングしたいユーザーの動きに合わせてイベント スニペットを設置しコンバージョン計測する方法で計測を実現してきました。

これからはそれに加える形で拡張コンバージョンを導入し、以下の情報を Google 側に送信する前にハッシュ化、送信し、広告に対して何らかしらの操作をおこなった際にユーザーがログインしていた  Google アカウントのデータと照合することでより高精度なコンバージョン計測、レポーティングを実現することが可能となります。

・メールアドレス(推奨)

・氏名と自宅の住所(番地、市区郡、都道府県、および郵便番号)

・電話番号(上記の 2 つのいずれかと組み合わせる場合のみ。単体では使用できません)

拡張コンバージョンについて」より引用

以下拡張コンバージョン導入前後におけるコンバージョン計測について自分が図解し、整理したものになります。

従来のコンバージョントラッキングは図中の左側にあたる【拡張コンバージョン導入前】になります。

これまではそれでも問題なく計測できていたケースが大半ですが、今後は ATT に関する動きの影響などにより、計測に支障が生じるケースがより増えてくるケースが想定されます。

そういった状況下でも、従来通りにコンバージョン計測を継続的に行うべく Google は「拡張コンバージョン」を対策の1つとして発表した形となります。

図中の右側に当たる拡張コンバージョン導入後は【拡張コンバージョン導入後】のイメージのような形でコンバージョン計測がされるようになります。

導入までの流れ

以下、導入までの流れになります。

  1. 「ツール」内部「計測>コンバージョン>設定」に許諾フォームが出現するため同意を実施(代理店の実施の場合はクライアントへ同意確認も必要、管理画面上は同意の上「保存」をクリック)
  2. 許諾後に一定期間をおいて実装可能となるため、実装可能後は公式ヘルプに沿って導入を実施

GTM を使用し導入する場合はこちらを、グローバルサイトタグを使用し導入する場合はこちらのヘルプを参照ください。また2021年11月には Google Ads API を用いて導入する方法も公開されましたので、 Google Ads API を用いて導入される場合はこちらをご参照ください。

具体的な設定方法(GTMを用いてCSSセレクタを利用する方法)

GTM を用いて CSS セレクタを利用する方法について、以下記事の中で拡張コンバージョン(ウェブ向け)の設定方法について、詳しく解説しています。

設定する上での注意点についても触れていますので「実際に設定を進める中でやり方が分からず困っている」といった方は、こちらをご参照ください。

拡張コンバージョン(ウェブ向け)を導入するメリット・デメリット

拡張コンバージョンを導入するメリット、デメリットについて、現時点でわかっていることをベースに整理していきます。

メリット

メリットについては公式ヘルプにも記載されていますが、以下の通りです。

  • プライバシーに配慮した形でのコンバージョン計測の実現
  • より正確なコンバージョン測定の実現

下記についてはヘルプ上に記載ありませんが、技術上は Facebook 広告のピクセルにおける詳細マッチングに似た機能でもあるため、以下のようなメリットも可能性として考えられます。

  • より多くのデータを用いた機械学習の実現

また2022年4月時点、レポートにより拡張コンバージョンを導入したことによって増えたコンバージョン数や割合を確認する方法がないため、具体的にどの程度拡張コンバージョンの導入によりコンバージョンが増えたのかを確認する手立てはありません。しかし公式事例によると、以下のように今まで計測できなかったコンバージョンが計測できるようになり、実際に ROAS が良化したケースも存在しており紹介されています。

英国を拠点とする小売業者 ASOS は、検索ネットワークと YouTube で拡張コンバージョンを実装したところ、それまで見逃されていたコンバージョンが測定されるようになりました。広告費用対効果(ROAS)が向上し、売り上げは検索ネットワークで 8.6%、YouTube で 31% の伸びを記録しました。

拡張コンバージョンで掲載結果の分析情報を活用する」より引用

デメリット

まずデメリットとして従来のコンバージョン計測に比べて少しだけ「導入工数がかかる」という点があります。導入工数としては主に、以下の2つがあげられます。

  • 技術工数
  • (クライアントへの)説明工数

まず技術工数についてですが、これについては公式ヘルプにも書かれている通り、実装にあたり技術的に従来のコンバージョン計測よりも複雑なため工数がかかります。公式ヘルプでは以下のように説明されています。

拡張コンバージョンを実装するには、ウェブサイトのコンバージョン トラッキングの設定と、コードの変更方法を理解している必要があります。必要に応じて、開発チームに相談できるようにしておいてください。

グローバル サイトタグを使って拡張コンバージョン(ウェブ向け)を手動で設定する」より引用

また代理店が導入する場合、クライアントへの説明工数も発生します。導入までの技術面でのやりとりもそうですが例えば上記「導入までの流れ」にて説明した通り、規約(顧客データに関する規約)同意前にクライアントに対して同意許可を取り付ける必要などがあります

またクライアント側で導入に対して難色を示される場合(特に金融関連)は導入自体難しいケースも起こり得ます。

このような従来発生しなかったような、コンバージョン計測までのコミュニケーションコストが生じるのも拡張コンバージョンの特徴です。

そして最後に、導入するアカウントにおける1週間のコンバージョン数が一定数以下だと、一定数コンバージョンのあるアカウントで導入する際に比べ効果が発揮されにくい可能性があるという点もデメリットとして挙げられます。

拡張コンバージョンを導入することで「特にその効果が発揮されるのは、1 週間あたりのコンバージョン数が 20 件以上あるアカウント」であると Google は公式ヘルプ上で説明しています。

拡張コンバージョンは、最適化や測定に役立てるために使用されます。通常、特にその効果が発揮されるのは、1 週間あたりのコンバージョン数が 20 件以上あるアカウントです。

拡張コンバージョンについて」より引用

つまり1週間あたり20件のコンバージョンが確認されないアカウントにおいては、導入することによって得られる効果は20件以上コンバージョン獲得できているアカウントに比べて少ないため、導入できたとしても導入にかけるコストや工数に見合わない対価しか得られない可能性が考えられます。

1週間あたりのコンバージョン数が20件以下の場合、せっかく工数をかけても得られるものが少ないため、仮に1週間でコンバージョン数が20件以下の場合はそこまで急いで導入を進めなくても問題ないでしょう。

拡張コンバージョンを導入する上での注意点

現時点でわかっている拡張コンバージョンについて、導入する上での注意事項についても触れておきます。

そもそも導入できないリスクについて

上記した通り、以下2つに該当する場合導入することができません。

  • 規約(顧客データに関する規約)に同意できない場合
  • クライアントから NG を提示された場合

インポートされた Google アナリティクスの目標にはサポートしていない

拡張コンバージョンは Google アナリティクスからインポートされた目標にサポートされていません

以下その点について触れた公式ヘルプからの引用です。

インポートされた Google アナリティクスの目標に基づいて測定されたコンバージョンは、拡張コンバージョンではサポートされません。

Google タグ マネージャーを使って拡張コンバージョン(ウェブ向け)を手動で設定する」より引用

そのため現時点において Google アナリティクス から目標をインポートする形でコンバージョン計測している場合で拡張コンバージョンを導入したい場合、まずは GTM またはグローバルサイトタグを使った形でのコンバージョンアクション設定を行い、ベースとなるコンバージョンを切り替えてから拡張コンバージョンの導入を行う必要があります。

文責:川手遼一