Google 広告における「拡張コンバージョン」とは?

先日 Google Marketing Livestream 2021 で発表された「拡張コンバージョン」がベータ版としてリリースされました。この記事の中では「そもそも拡張コンバージョンとはどのようなものなのか」という点について、また導入までの流れや注意点について、現時点でわかっていることを整理しご紹介します。

注意事項

2021年6月現在「拡張コンバージョン」に関するページは公式ヘルプ上にも公開されていますが、noindex にされています。そのため今後も、公式ヘルプ記事が高頻度かつ大規模に更新される可能性があります。当記事は主に現時点での一次情報を参考に執筆されており、そのため記載されている情報には間違いが含まれている可能性も高く、今後内容が事前アナウンス無しに変更される可能性があります。その点予めご了承ください。

なお本記事は、以下 PodCast にて話した内容をベースに作成したものになります。

PodCast「#0024_拡張コンバージョンとは」

Apple PodCast または SpotifyGoogle PodCast にてご視聴いただけます。

拡張コンバージョンとは

拡張コンバージョンとはそもそもどのようなものなのでしょうか。公式ヘルプ上では、以下のように解説されています。

拡張コンバージョンは、より正確なコンバージョン測定を可能にする機能です。この機能は既存のコンバージョン タグを補完するもので、自社のウェブサイトで取得したファースト パーティのコンバージョン データをハッシュ化し、プライバシーに配慮した方法で送信します。

拡張コンバージョン(ベータ版)について」より引用

仕組みとしては以下の通りです。

お客様のウェブサイトでユーザーがコンバージョンを完了すると、メールアドレス、氏名、住所、電話番号など、ユーザーに関するファースト パーティ データが取得されます。このデータはコンバージョン トラッキング タグでキャプチャされ、ハッシュ化されて、Google に送信されます。その後、このデータに基づいて、ユーザーと Google アカウント(広告に対してなんらかの操作を行ったユーザーがログインしていたアカウント)が照合されます。

拡張コンバージョン(ベータ版)について」より引用

つまり、既存のコンバージョン計測にとって代わるものではなく、既存のコンバージョンタグを補完するものとなります。

技術としては、メールアドレス(Google はハッシュ化される元データとして「メールアドレス」を推奨している)などの個人を特定することができる情報をハッシュ化(暗号化)した上で Google に送信し、そのメールアドレスのデータと広告に対して何らかしらの操作をおこなった際にユーザーがログインしていた  Google アカウントのデータを照合し、より正確なコンバージョントラッキングを実現することを可能とするものになります。

これまでのコンバージョンと拡張コンバージョンの違い

これまでのコンバージョン計測との違いについては、次の通りです。

これまで Google 広告ではグローバルサイトタグを全ページに設置し、その上でサンクスページやコンバージョンとしてトラッキングしたいユーザーの動きに合わせてイベント スニペットを設置しコンバージョン計測する方法で計測を実現してきました。

これからはそれに加える形で、以下の情報を Google 側に送信する前にハッシュ化し送信し、広告に対して何らかしらの操作をおこなった際にユーザーがログインしていた  Google アカウントのデータと照合、よりコンバージョン計測、レポーティングを高精度に行うことが可能になります。

メールアドレス(推奨)

氏名と自宅の住所(番地、市区郡、都道府県、および郵便番号)

電話番号(上記のいずれかの補足情報として使用することができます)

拡張コンバージョン(ベータ版)について」より引用

図解すると、次の通りになります。

 

従来のコンバージョントラッキングは図中の【拡張コンバージョン導入前】です。これまではそれでも問題なく計測できていたケースが大半ですが、今後は ATT に関する動きの影響などにより、計測に支障が生じるケースがより増えてくるケースが想定されます。

そういった状況下でも、従来通りにコンバージョン計測を継続的に行うべく Google は「拡張コンバージョン」を対策の1つとして発表した形となります。拡張コンバージョン導入後は【拡張コンバージョン導入後】のイメージのような形でコンバージョン計測がされるようになります。

 

導入までの流れ

現状ベータ版機能となりますので、一般的にはアカウントにはほとんど反映されていないはずです。そのため、まずはお問い合わせをして導入可否を確認する必要があります。以下、導入までの流れになります。

  1. 「LINEで相談」「お問い合わせ」などから問い合わせを実施
  2. 「拡張コンバージョン」の導入可否を確認
  3. 管理画面反映後「ツール」内部「計測>コンバージョン>設定」に許諾フォームが出現するため同意を実施(クライアントへの同意確認も必要、管理画面上は同意の上「保存」をクリック)
  4. 許諾後に一定期間をおいて実装可能となるため、実装可能後は公式ヘルプに沿ってサイト、GTM にて設定を実施

GTM を使用する場合はこちらを、グローバルサイトタグを使用する場合はこちらのヘルプを参照ください。

拡張コンバージョンを導入するメリット・デメリット

拡張コンバージョンを導入するメリット、デメリットについて、現時点でわかっていることをベースに整理していきます。

メリット

メリットについては公式ヘルプにも記載されていますが、以下の通りです。

  • プライバシーに配慮した形でのコンバージョン計測の実現
  • より正確なコンバージョン測定の実現

下記についてはヘルプ上に記載ありませんが、技術上は Facebook 広告のピクセルにおける詳細マッチングに似た機能でもあるため、以下のようなメリットも可能性として考えられます。

  • より多くのデータを用いた機械学習の実現

デメリット

デメリットとして従来のコンバージョン計測に比べて少しだけ「導入工数がかかる」という点があります。導入工数としては主に、以下の2つがあげられます。

  • 技術工数
  • クライアントへの説明工数

まず技術工数についてですが、これについては公式ヘルプにも書かれている通り、実装にあたり技術的に従来のコンバージョン計測よりも複雑なため工数がかかります。公式ヘルプでは以下のように説明されています。

拡張コンバージョンを実装するには、ウェブサイトのコンバージョン トラッキングの設定と、コードの変更方法を理解している必要があります。必要に応じて、開発チームに相談できるようにしておいてください。

グローバル サイトタグを使った拡張コンバージョンの導入(ベータ版)」より引用

またクライアントへの説明工数も発生します。例えば上記「導入までの流れ」にて説明した通り、規約(顧客データに関する規約)同意前にクライアントに対して同意許可を取り付ける必要があります

拡張コンバージョンを導入する上での注意点

現時点でわかっている拡張コンバージョンについて、導入する上での注意事項についても触れておきます。

そもそも導入できないリスクについて

上記した通り、以下2つに該当する場合導入することができません。

  • 問い合わせ後に導入を拒否された場合
  • 規約(顧客データに関する規約)に同意できない場合

現状ベータ版機能であるため、当然問い合わせ後に導入できないリスクも存在します。また規約に同意できない場合は先に進めないため、導入することができません。

インポートされた GA の目標にはサポートしていない

現時点では拡張コンバージョンは、 GA かインポートされた目標にサポートされていません。以下その点について触れた、公式ヘルプからの引用です。

インポートされた Google アナリティクスの目標に基づいて測定されたコンバージョンは、拡張コンバージョンではサポートされません。拡張コンバージョンを使用する場合は、グローバル サイトタグまたは Google タグ マネージャーを使用して新しい Google 広告コンバージョン アクションを設定することをおすすめします。

Google タグ マネージャーを使った拡張コンバージョンの導入(ベータ版)」より引用

そのため現時点において GA から目標をインポートする形でコンバージョン計測している場合で拡張コンバージョンを導入したい場合、まずは GTM またはグローバルサイトタグを使った形でのコンバージョン アクションの設定を行い切り替えてから行う必要があります。

文責:川手遼一