パフォーマンス最大化キャンペーン(P-MAX)とは

Google は2021年5月に「Google Marketing Livestream 2021」にて今後展開する予定である複数の広告プロダクトや新規機能について説明をしましたが、その際にも「パフォーマンス最大化キャンペーン(通称:P-MAX)」については言及しており、以降特定の広告主を中心にベータ版の提供を重ね、テスト的に広告配信を行ってきました。

参照:Google Marketing Livestream 2021 で発表された最新情報

先日 Google はこれまでのベータ版提供の結果を鑑み、2021年11月3日に世界中の全ての広告主が利用できるように提供を開始するとアナウンスをしました。

本記事ではそもそもパフォーマンス最大化キャンペーンとはどのようなキャンペーンなのか、どのようにすれば設定することができるのか、設定し配信する上で注意すべき点について解説していきます。

上記した通りパフォーマンス最大化キャンペーンは11月3日以降、世界中のすべての広告主が利用できるように提供が開始されましたがまだ全てのアカウントで利用できる機能ではありません。また2021年11月現在ベータ版ということもあり、本記事にて紹介されている内容は今後許可なく情報の更新・アップデートされる可能性が多分に含まれている内容となっております。その点予めご了承いただけますと幸いです。

パフォーマンス最大化キャンペーンとは

そもそもパフォーマンス最大化キャンペーンとはどのようなキャンペーンなのでしょうか。Google は公式ヘルプにて下記のように説明しています。

P-MAX キャンペーン は、Google の多彩なチャネル(YouTube、ディスプレイ、検索、Discover、Gmail、Google マップ)を横断して広告の購入と最適化ができる、新しいキャンペーン タイプです。通常のキーワード ベースの検索キャンペーンとの併用に最適で、1 つのキャンペーンで Google が持つ広告チャネルと広告枠をすべて活用し、自動化によりコンバージョン数と獲得価値を高めることができます。

Google のさまざまな広告チャネルをフル活用してコンバージョンを促進できる P-MAX キャンペーン」より

Performance Max campaigns allow you to promote your products or services across the Google Network by creating one easy-to-manage campaign.

(訳)パフォーマンス最大化キャンペーンは管理しやすいキャンペーンを1つ作成することで、Googleネットワーク全体で商品やサービスを宣伝することを可能にします。

Create a Performance Max campaign (beta)より引用、訳追記

最大の特徴はこの「1つのキャンペーンから全ての広告枠に広告配信可能なキャンペーン」という点にあります。

例えば YouTube 広告と検索キャンペーンはそれぞれ配信したい場合、これまではそれぞれ別々にキャンペーンを作成する必要があり、それぞれ個別に予算設定した上で広告配信を行う必要がありました。

ところがパフォーマンス最大化キャンペーンは1つのキャンペーンから様々な広告を配信することが可能であるため、これまでのように個別にキャンペーンを設定する必要がないものになります。

Illustration of six mobile devices lined up next to each other, each showing a different ad example across Google’s channels. From left to right, they show ads on YouTube, Display, Search, Discover, Gmail and Google Maps. Above the phones are the logos for each.
Performance Max campaigns launch to all advertisers」より引用

今後長期的に見て Google 広告アカウントに対して大きく変化をもたらす可能性が最も高い広告プロダクトと言っても過言ではないのではないでしょうか。

パフォーマンス最大化キャンペーンのメリット

Google は公式に、以下5つをメリットとして提示しています。

Unlock new audience across Google’s channels and networks.

Drive better performance against your goals.

Get more transparent insights.

Steer automation with your campaign inputs.

Simplify campaign management and easily optimize your ads.

About Performance Max campaigns (beta)」内「Benefits」より引用

訳すと以下の通りです。

  • Google が有するチャネルとネットワークの至るところにいる新規顧客となりうる層へのアプローチが可能に
  • よりパフォーマンスを向上させます
  • より高い透明性あるインサイトを得る
  • 1つのキャンペーンにデータが集まることにより、自動化が進みます
  • シンプルなキャンペーン管理とより広告の最適化を簡単に

まず前述した通り、パフォーマンス最大化キャンペーンの最大の特徴は「1つのキャンペーンから全ての広告枠に広告配信可能なキャンペーンである」という点にあります。

1つのキャンペーンを起点に広告が配信されるようになるため、以下のようなことが作用がアカウントの中で働きやすくなります。

  • 1つのキャンペーンにより多くのデータが集まるようになる
  • キャンペーン管理がしやすくなる
  • より多くのデータが1つのキャンペーンに貯まるため最適化されやすくなる
  • これまでであればキャンペーンを分割してそれぞれ予算設定をしていたりすることにより機会損失していた部分がカバーできるようになったりする
  • そもそもキャンペーンを作成しておらず、そのため広告が配信されていなかったような広告も配信されるようになることによって、広告運用者自身ですら見つけられていなかったようなコンバージョンを増やす余地を発見し自動的に予算が割り当てられ広告配信される

パフォーマンス最大化キャンペーンのデメリット

現時点で自分自身が運用してきた所感も交え、デメリットについても述べておきたいと思います。

1.細分化した上での分析は行いにくい

細分化していった上でのデータ分析は行いにくいです。例えばどの程度どのような広告に予算が投下されたのかなど、どのような配信面に広告が配信されたのかなど確認できません。

2.配信面や広告の種類ごとの配信量調整は難しい

前述した通り、パフォーマンス最大化キャンペーンの特徴は1つのキャンペーンから全ての広告枠に広告配信可能」という点にあります。

アセット グループの中身を細分化すれば微調整は可能ですが、例えば「この配信面だけに広告を掲載したい」とか「この形の広告だけ露出させたい」といったような調整を行うのは、あまり現実的ではありません。そもそもそういうことをしたいのであれば個別にキャンペーンを作成し設定すべきです。

3.挙動が説明しにくい

これは既に(スマート)自動入札を利用しているキャンペーンなどと同様ですが、どのような形で予算が投下されるのかが事前に決められない分、「なぜそのような挙動に至ったのか」などが把握しずらく、上司やクライアントに説明を求められた際に説明がしにくいといった点もデメリットに当たるかと思われます。

例えば P-MAXキャンペーン は通常の検索キャンペーンのキーワードと完全一致する検索語句に対しては広告が表示されない仕様になっており、P-MAX の広告のほうが広告ランクが高くなり、得られる価値の増加が期待できる場合、表示される仕様になっています。

広告ランクは管理画面上では確認できない、リアルタイムでオークションベースで変動し続けている数値ですから、運用者自身も通常の検索キャンペーンとP-MAXとでどのような広告の出しわけが行われているのかを把握することは困難です。

P-MAX キャンペーンの広告は、通常の検索キャンペーンのキーワードと完全に一致する検索語句に対しては表示されず、P-MAX の広告のほうが広告ランクが高くなり、得られる価値の増加が期待できる場合に表示されます。

Google のさまざまな広告チャネルをフル活用してコンバージョンを促進できる P-MAX キャンペーン」より引用、一部修正

そういった不確定要素を孕んでいるのも、P-MAXの特徴になります。

パフォーマンス最大化キャンペーンの設定方法

設定方法について詳しくは下記別記事にまとめていますのでそちらをご参照ください。

現状取り扱う上で注意したい7つのこと

最後に、パフォーマンス最大化キャンペーンを取り扱う上での注意点についても触れておきます。

1.Google Ads API に対応していない(対応予定あり)

Google Ads API に対応していないため、管理画面上の数値をスプレッドシートに反映させたり、数値を表示させようとする場合、一筋縄ではいきません。Googleアナリティクス API を使えば反映可能なようですが、そのためにGoogleアナリティクス API を使うのもアレですし、数値をスプシや外部ツールなどを使って管理したりしている場合は注意が必要です。

11月8日にリリースが発表されたGoogle Ads Script V9で対応予定とのことです。

参照:Google Ads Developer Blog: Announcing v9 of the Google Ads API

2.レポート上の表記が正しくない

管理画面上では「パフォーマンスの最大化」と表示されますが、「レポート」からレポート出力して確認するとキャンペーン タイプは「最大の掲載結果」と表示されています。

ファインドキャンペーンもつい1年前まで「検索ネットワーク(ディスプレイ ネットワーク対応)」と表記されていたので、そのうち修正されるかもしれません。

3.キャンペーン構造が他のものと異なっている

通常のキャンペーンはキャンペーンを最上位の概念として存在し、その中に広告グループ、広告と存在しています。パフォーマンス最大化キャンペーンの場合は広告グループの代わりに「アセット グループ」という別のものが存在しており、広告グループは存在しません。

そのため「最適化案」を確認すると、「広告グループがない」と表示されますがそもそも存在しないためこれは無視して良い最適化案になります。

4.Google Ads Editorは未対応

2021年11月現在、Google Ads Editor 1.8.2では未対応です。エディター上ではキャンペーンを認識することすら出来ません。2021年11月にリリース予定の1.9以降で対応される可能性が高いです。

5.アプリから最適化案を確認できない

「Google 広告」(アプリ)から、パフォーマンス最大化キャンペーンは最適化案を確認することができません。

 

6.最適化案が実用的ではない

上記した通り、最適化案の内容は現状実用的ではないものも多く含まれており現状参考にするには困難な状況です。もちろん有益な最適化案も中にはあるのですが、現状まだまだ他のキャンペーンに比べた際に良い提案をしてくれるほどのものにはなっていません。

7.設定上デフォルトで「最終ページURLの展開」がオンになっている

設定上「最終ページURLの展開」がデフォルトでオンになっています。

こちらがオンになっていると「成果を最大限に引き出すため、ユーザーの意向に応じて、最終ページ URL がより関連性の高いランディング ページや広告見出しに置き換えられる場合」があります。

下記の引用文の通り、Google はオンを推奨していますが、例えば広告配信のリンク先を指定されている場合など、ここはオフにしておくことをオススメします。

最終ページ URL の展開機能(デフォルトではオン)を活用しましょう

Google の多彩な広告枠をフル活用できる P-MAX で目標を達成する」より引用

「最終ページURLの展開」については、キャンペーン作成公開後でもキャンペーン設定から変更は可能です。

最後に

前述した通り、パフォーマンス最大化キャンペーンについて自分は「今後長期的に見て Google 広告アカウントに対して大きく変化をもたらす可能性が最も高い広告プロダクト」であると考えています。

ただ「デメリット」や「注意したい7つのこと」でも述べた通り、現状欠点もあり、まだまだベータ版故に扱いにくい部分もあるプロダクトになります。

特に急いで設定する必要もないものかとも思われますので、例えば管理画面に反映されたら低予算で設定して配信してみるとか、既存のキャンペーンと並行して走らせてみてまずは様子を見るだとか、今のところそういった取り扱いが望ましいように自分自身見ています。

文責:川手 遼一