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ファインド広告(旧ディスカバリー広告、英語圏では現在も Discovery ads )は昨年の夏前にβ版として公開され、今年の4月から正式な広告プロダクトとしてリリースされました。
しかしながら正式にリリースされた後も長らく公式ヘルプの情報が更新されず、5月中旬頃になってようやく公式ヘルプの情報も追加され始めたため、今年の6月ぐらいから積極的に着手された広告運用者の方も多いのではないでしょうか。
自分は昨年の夏前からβ版として公開されたファインド広告に触れ、これまで約1年半の間、ファインド広告について触れ試行錯誤を重ねてきました。
結論から言えば自分が今最も惚れ込んでいる Google 広告のプロダクトはファインド広告であり、ファインド広告には他のプロダクトにはない魅力や可能性を強く感じています。
しかしまだファインド広告のポテンシャルについては理解されていない方も多く、また正式リリースから時間が経っていないことから一度も配信を検討すらしたことがないという方も多いのではないでしょうか。
本日はそんなファインド広告についての基本的な情報や、1年半配信してきた中で分かった5つのことを中心に「そもそもファインド広告とはどんな広告なのか」について、解説していきたいと思います。
目次
「そもそもファインド広告とは?」という方も多いはずです。まだβ版リリースされて1年半、正式リリースから8か月の新しいキャンペーンタイプですから当然です。また広告の形状(テキスト+画像)から「ディスプレイ広告の1種でしょ」と認識されている方も多いのではないでしょうか。
その点についてまずは説明していきます。
ファインド広告は旧来のディスプレイ広告とは異なる、全く新しいキャンペーンタイプの広告になります。画像とテキストの組み合わせによって形成されているため「ディスプレイ広告の1つ」として見られる傾向にありますが、機能性も旧来のディスプレイ広告とは異なっています。
まずどのような点が異なっているかについてですが、その点については Google 広告公式ヘルプを一読し、比較することで理解可能です。
以下がファインド広告についての説明になります。
このキャンペーン タイプでは、Google のオーディエンスとユーザーの意向シグナルに基づき、お客様のブランドを知った場合に利用する可能性の高いユーザーを対象に、視覚と気持ちに訴えるカスタマイズされた広告エクスペリエンスを 1 つの Google 広告キャンペーンで提供することができます
「ファインドキャンペーンについて」より引用
ユーザーの意向を把握する Google 独自の技術を利用して、ユーザーがお客様の商品やサービスに関心を示して行動する可能性が高いタイミングを捉えて、より関連性が高い有益な広告を表示できます
「ファインドキャンペーンについて」より引用
YouTube ホームフィードや次のおすすめフィード、Gmail の [プロモーション] タブや [ソーシャル] タブ、Discover* を通じて月に最大 30 億人ものユーザーにリーチできるので、人気の Google サービスで最新のファッション トレンドから新しい料理レシピ動画にいたるまで各種のコンテンツを閲覧、視聴している見込み顧客に幅広くアプローチできます
「ファインドキャンペーンについて」より引用
ちなみに以下がディスプレイ広告に関する説明になります。
Google ディスプレイ ネットワークでは、ターゲット設定されたディスプレイ広告を使用して、ユーザーがお気に入りのウェブサイトを閲覧したり、友だちに YouTube 動画を見せたり、Gmail アカウントを確認したり、モバイル デバイスやアプリを使用したりしているときを狙って広告を表示できます
「ディスプレイ広告と Google ディスプレイ ネットワークについて」より引用
これを読みくらべると以下の違いがあることが分かるかと思います。
- 配信面(ファインド広告は配信面が制限されている)
- 広告表示のタイミング(ファインド広告は「ユーザーがお客様の商品やサービスに関心を示して行動する可能性が高いタイミングを捉えて、より関連性が高い有益な広告を表示可能である」との言及あり)
- 影響力(ファインド広告は「視覚と気持ちに訴える」との言及あり)
また他にも管理画面を直接見て頂ければおわかりになるかと思いますが、ディスプレイ広告は「ディスプレイ キャンペーン」というキャンペーンタイプのものでファインド広告は「ファインド キャンペーン」というキャンペーンタイプのものになります。
つまりディスプレイ広告とYouTube広告が異なるように、ファインド広告もディスプレイ広告とは異なります。管理画面で見た際にはキャンペーンタイプすら違っていますので“正真正銘全くの別物”と認識して頂き差し支えありません。
前述通り広告の配信面が非常に限られていることはファインド広告の大きな特徴になります。配信面は以下の3つのみになります。
- YouTube フィード(「YouTube ホームフィード」と「次のおすすめフィード」)
- Gmail の [プロモーション] タブや [ソーシャル] タブ
- Discover
また Google 広告管理画面上ではファインド キャンペーンについて下記のような説明がなされています。
視覚に訴える魅力的なパーソナライズド広告を掲載して、売上を向上します。掲載先は YouTube、Gmail、Discover などになります
「Google 広告管理画面」より引用
「など」ということは今後もしかすると配信面が追加される、あるいは追加されているのかも知れませんが、現状公開されているのは上記3つのみになります。
ファインド広告は前述した通り、画像とテキスト情報の組み合わせによって形成されています。広告上で使用可能な画像、フレーズについては以下の通りです。
広告見出し (必須) | 半角 40(全角 20)文字以内 ※最大5つ設定可 ※カルーセルは1つのカード内で1つ設定可能 |
説明文(必須) | 半角 90(全角 45)文字以内 ※最大5つ設定可 |
画像 | アスペクト比が 1.91:1 またはスクエア、4:5の画像 ※15枚まで登録可能 ※カルーセルは1つのカード内で同一サイズを設定する必要有 |
会社名(必須) | 半角 25(全角 12)文字以内 ※管理画面上にはブランド名とも記載あり、ヘルプ上にも「会社名: ここには、会社名やブランド名を入力します。」との記載があるケースもあり |
ロゴ | 1200×1200サイズを推奨(ただし128×128から可) ※1MBまで対応 ※最大で5つまで設定可能 |
最終ページURL(必須) | ※URL 文字数制限なし ※カルーセルは1つのカード内で1つ設定可能 |
モバイル URL (省略可) | ※URL 文字数制限なし ※カルーセルは1つのカード内で1つ設定可能 |
行動を促すフレーズのテキスト | 以下選択肢から選択可能 ・今すぐ適用 ・今すぐ予約 ・お問い合わせ ・ダウンロード ・詳細 ・サイトを見る ・今すぐ購入 ・お申し込み ・お見積り ・登録 ・もっと見る デフォルトでは(自動)が設定されており最適なものを自動で設定 ※カルーセル形式は個別に1つ設定可能 |
また会社名についてはロンさん@CEO_loves_techから「ドメイン名を設定しても審査が通ったよ」という情報を頂きました。文字数が多く設定出来ない場合、サービス名と社名が異なり悩んでいる場合はお試し下さい。
自分も「会社名」に関してはブランド名(サービス名や広告主が個人の場合は個人名)を入力する場合もありますがいずれも審査は通過しています。
※この件については念の為 Google に問い合わせたところ、基本的に「会社名」にはドメイン名や個人名を入力頂いても問題ないとのことでした。また明らかにサイトコンテンツと一致しないものが登録されている際は審査落ちの対象となるとのことでした
そしてクライアントへの広告掲載の事前確認、特に芸能人を用いた広告を配信する場合で事前に事務所確認などが必要なケースでは「行動を促すフレーズのテキスト」を固定のものに設定しておくことをオススメします。事前に提出した広告上のものと違うものが表示されてしまうとトラブルの原因となる可能性があるためです。
Google 広告管理画面上でのファインド広告(ファインドキャンペーン、及びその下部)設定方法は以下の通りです。
まずはキャンペーンを作成していきます。ここでは目的を「購買促進」としキャンペーン タイプでは「ファインド」を選択します。
そして次にキャンペーン名、地域、言語、予算を設定していきます。入札単価は上記キャンペーン設定を行う場合、デフォルトではコンバージョン数の最大化になります。今回はこのまま設定を進めていきます。
次に広告グループの設定です。まずは広告グループ名を設定します。今回はオーディエンスを使用しないのですが、リマーケティングリストやカスタムオーディエンスを使用する場合、アフィニティなどを使用する場合は「オーディエンス」でリストを作成する他、選択します。また除外リスト設定もこちらから可能です。
仮に中年男性に配信をしようとする場合(不明を含めて)次のようになります。
ファインド広告には「ファインド広告」と「ファインド カルーセル広告」が存在します。今回は「ファインド広告」の作成します。
「ファインド広告」を選択した後、設定を進めていきます。
赤枠内の入力項目を埋めていきます。ここでは例として簡単に情報を入力していきます。
入力項目(赤枠)を設定すると右枠にプレビューが表示されるようになります。
ちなみに「行動を促すフレーズのテキスト」はデフォルトでは(自動)ですが以下のような選択肢から指定し選ぶことが可能です。
一通りの設定が完了したら「キャンペーンの作成」を押します。これで基本的にキャンペーン、広告グループ、オーディエンス(設定した場合)広告が保存されます。
最後に確認画面が表示されるため「キャンペーン」を押すと広告グループがONの状態になっていることが確認できる状態になります。
ファインド広告(ファインドキャンペーン、及びその下部)に関する設定は以上となります。
前述した通り、ファインド広告を配信開始し1年半ほどが経過しましたが、その中でわかった5つのことについて解説していきたいと思います。
再三になりますが、ファインド広告はディスプレイ広告ではありません。これはパフォーマンス面で見てもわかることで、圧倒的にポテンシャルが違います。例えば同じターゲティング設定で広告配信したとしても、通常のディスプレイ広告とは獲得単価という点において大きな差が出ることがあります。
これは社内の事例と自分の運用事例、社外の事例の話を聞いて思うことなのですが、商材によっても、入札戦略の違いによってもキャンペーンの挙動が大きく異なります。
同じ配信設定でも商材が違えばアカウントによっては初動からコンバージョンが取れますが、最初の1ヶ月は鳴かず飛ばずだったり、また入札戦略が異なるとキャンペーンの予算投下の仕方が全く異なり見ていてとても興味深いです。
例えば自分が運用しているケースではブロード配信で目標コンバージョン単価制で運用しているものは以下のツイートのような挙動を見せたりもします。
とにかく最も時間をかけるべきはターゲティングの吟味やリストの調整などではなく、クリエイティブ制作です。ファインド広告のクリエイティブ制作については別記事にて後述しているためそちらをご参照下さい。
個人的に初動ではカスタムオーディエンス(現カスタム セグメント)とリマーケティングがオススメです。これらを初動では設定し「コンバージョン数の最大化」「目標コンバージョン単価制」で配信していくイメージです。
ただファインド広告の魅力は前述したとおり「広告表示のタイミング」によるところが大きいので、良い広告を作ることが前提となるのですが年齢と性別を設定するだけ、あるいはエリアを設定して配信するだけの状態、いわゆるブロード配信でも最適化させることができ、コンバージョンが取れてしまったりします。
少し情報が古いのですが、Google 広告 ヘルプ内にもこの点について言及したものがあるのでそちらもご参照下さい。以下は重要点を引用したものになります。
ファインド広告にカスタム インテント、カスタマー マッチ、リマーケティング、類似ユーザーを追加すると、コンバージョン率は 81%上がり、コンバージョン単価は 25%下がります。
「ファインド キャンペーンでビジネスを拡大」より引用
ファインド広告で成果が出た場合、ファインド広告は配信面が限定されているため Gmail、YouTube、Discover いずれかの面で予算を別途投下するとコンバージョンをより純増させることができる可能性があります。
実際に自分はファインド広告で手応えを感じた際にその案件では既に Gmail 広告は配信していたため「YouTube(広告)面で新規が取れているのでは?」と考えクライアントにTrueViewアクションでの広告配信を提案し実行しました。
その結果、下記別記事に記載している通り実際に純新規ユーザーからコンバージョン獲得を実現することが出来ました。
ファインド広告を配信する上でメリット・デメリットについて正しく理解しておくことが重要です。メリットとデメリットを正しく理解しておくことにより、適切なタイミングでファインド広告を展開し広告によるリターンの最大化を図ることが可能となります。以下がメリット、デメリットについてです。
まず前提の話をしておくと、通常のディスプレイ広告であっても検索ニーズに左右されずに認知と獲得の療法を実現することが可能な広告配信はできます。
例えば先見性があるものの検索ニーズ(検索ボリューム)が少ない商材の場合、リスティング広告に予算を投下しても顕在層が少なく広告効果を実感しにくいケースがあります。その際に認知と獲得の両立を実現すべく、ディスプレイ広告を用いて純新規ユーザーに広告配信するケースは珍しくありません。
ただ前述した通り「ユーザーがお客様の商品やサービスに関心を示して行動する可能性が高いタイミング」に「視覚と気持ちに訴えるカスタマイズされた広告」を配信できるのはファインド広告だけです。
具体的にその仕様がどの程度数値的に影響を及ぼしているのかを確認することは出来ません。しかし通常のディスプレイ広告とファインド広告とで「認知と獲得」の両立を目指す広告配信を行った際にパフォーマンス面では明らかな違いがあります。
自分は上記の仕様がより効率的な純新規ユーザーからのコンバージョン獲得を実現に導いているのではないかと考えています。
Google Discover など Google が有するコンテンツレコメンド面に配信できるということは、ファインド広告ならではの大きな魅力の1つです。
Googleのコンテンツレコメンド精度の高さについては下記別記事でも詳しく解説していますが、レコメンドされたコンテンツとコンテンツの間に広告を配信するということは単純に新しい広告枠に対して広告配信することで機会損失を最小化するという点においても、また潜在顧客層を効率的に獲得していくという点においても有効です。
ファインド広告はキャンペーンの性質上、以下のような特徴があります。
- 自動入札戦略以外の入札戦略が使えない
- 配信面が固定されており任意に調整することができない
そのため予算調整以外は基本的にファインド広告に触れるということはクリエイティブ制作に集中できるという側面が強いのです。
上記したとおり、自分はブロードで配信しているケースもあるのですがとにかくクリエイティブを作り込めばと作り込むほどコンバージョンを効率的に獲得することができるため、通常のディスプレイ広告では使っていないような専用の広告用画像制作(案を含む)などにリソースを割くことができ、大変重宝しています。
またこの点については受け止め方次第ですが、デメリットとの受け取ることができるのではないでしょうか。
配信先を任意に調整できないなど、通常のディスプレイ キャンペーンに比べて細部を設定することはできません。Google Discover 面だけに配信したいなどは実現することはできません。この点は自身の設定と、Googleの最適化を信用するしかありません。
また時間帯曜日別のパフォーマンスやデバイス別の数値などは確認可能ですが、それぞれの配信面でそれぞれどのぐらいコンバージョンが取れたのか、獲得単価はどうだったのかといったデータを出すこともできません。
そのためパフォーマンスが悪い、逆に良い場合も理由を特定出来ないケースが想定されます。
Google の有するコンテンツレコメンド面に配信されるという性質上の問題からか通常のディスプレイ広告に比べて非常に審査が厳しいです。リスティング広告や通常のディスプレイ広告に比べて画像の審査やテキスト、ランディングページのコンテンツに厳しい審査が入ります。自分も何度も不承認を頂き、都度サイトを修正したり広告を変更したりして調整しています。
ファインド キャンペーンは「個別クリック単価制を試したい」と思っても自動入札戦略しか設定することしか出来ません。例えば「個別クリック単価制も自動入札戦略(全種類)も試した上で比較検討したい」と思ってもそれらは現状実現することは出来ません。自分は下記記事でも書いたとおり、多くの案件で自動入札戦略を導入していますが、意図して個別クリック単価制で配信しているアカウントも現状存在しています。
個別クリック単価制と自動入札戦略を比較した上で個別クリック単価制での運用を選び実施しているのですが、ファインド広告の場合、そもそも個別クリック単価制を使用できないため比較が出来ません。
最初にもお伝えしたとおり、自分はファインド広告の驚異的なポテンシャルの高さにとても魅力を感じており、それ故にとても惚れ込んでいます。しかしこの記事を読むまでファインド広告の存在を知らなかった方もとても多かったはずです。
ファインド広告について Google は以下のようなケースにおいて運用することを推奨しています。
・大きな規模でメディアでのコンバージョンを伸ばしたい場合
「ファインド キャンペーンについて」より引用
・メディアで新規顧客にアプローチしたい場合
・価値の高いユーザーに再アプローチしたい場合
上記に当てはまる広告運用を実施している方は是非一度ファインド広告の配信をご検討頂き、特に純新規ユーザー(過去一度もサイトに流入したことがないユーザー)からのコンバージョン獲得の魅力を知っていただければと思います。
これは完全に余談ですが実際ファインド広告を純新規ユーザーに配信しリスティング広告でアプローチする際の半額以下でコンバージョン獲得できているケースも存在します。
あとあまりファインド広告について Twitter 上で言及するとロンさん@CEO_loves_tech から制止されるので(笑)もうあまり具体的な良さについては呟かなくなるかも知れません。