Google より正式アナウンスがあった通り、2021年9月30日をもって TrueView アクションキャンペーンは新規作成ができなくなっています。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
先日とある広告運用者の方から「TrueView アクション広告で実コンバージョン数と管理画面上コンバージョン数で結構乖離ありませんか?」という質問されました。
詳しくはこちらの記事にも書いたのですが、自分は2020年11月から TrueView アクションによる YouTube 広告の配信を開始しています。しかしそのような事を体感したことは一度もなく…
「え…もしかして認識していないだけで乖離があるのか?」
不安に思い「確認してみます」と返事をして、自分の案件を重点的に確認してみることにしました。
自分の案件では基本的に管理画面上のコンバージョン計測に加えて、パラメータを付与した上での別途計測ツールを使いたコンバージョン計測を行っています。また上記 TrueView アクションの配信を行っている案件は、スプレッドシートで実際のお問い合わせ状況(日時別のお問い合わせ件数やその後の受注状況など)を記入してもらっているのでそちらとも整合を行い、数値の確認を実施しました。
結論から申し上げますと、実数としての乖離に関しては1~2%ほどはあったものの、そこまで大きな誤差は確認できませんでした。
しかしその相談された方の場合、TrueView アクションにおける実コンバージョン数と管理画面上コンバージョン数でかなり乖離があり「….何故?」という話になり、少し自分も気になり色々と調べてみました。
今回は「なぜ TrueView アクション広告 で実コンバージョン数と管理画面上コンバージョン数で乖離が発生するケースが存在するのか?」というテーマでお話をしたいと思います。
目次
色々と調べてみたのですが、結論から言えば「コンバージョンの定義が違うから」というのが影響としてはもっとも大きそうです。
下記公式記事にその点について詳しい情報が記載されていました。
・コンバージョン数の最大化または目標コンバージョン単価制を使用しているアクション広告向けの TrueView をクリックまたは 10 秒以上視聴した時点で、「エンゲージメント」が 1 回カウントされるようになりました。
・デフォルトでは、ユーザーが「エンゲージメント」から 3 日以内に広告でアクションを起こした場合に「コンバージョン」が 1 回カウントされます。
「TrueView アクション広告のアトリビューションを改善」より引用
エンゲージ ビュー コンバージョンの計測期間は、実施しているキャンペーンのタイプによって以下のとおり異なります。
・動画アクション キャンペーン: 3 日間
「エンゲージ ビュー コンバージョンについて」より引用
・TrueView アクション キャンペーン: 3 日間
・アプリ インストール キャンペーン: 2 日間
・アプリ エンゲージメント キャンペーン: 1 日
・ディスプレイ キャンペーン: 3 日間
つまりクリックせずとも3日以内にコンバージョンアクションを取った場合、管理画面上では「(ビュースルー)コンバージョン」としてカウントされてしまうわけです。この記事のタイトルにも記載したとおり、ビュースルーコンバージョン(広告をクリックせずにコンバージョンすること)もデフォルトの設定ではコンバージョン計測してしまうという仕様になりますになっているので、おそらく管理画面はこれが管理画面CVと実CVで乖離がある場合の主な要因です。
自分の場合、大半がカスタムオーディエンスによる純新規ユーザー(サイト過去540日以内未訪問者)への広告配信が主で、リマーケティングもそれに併せて展開していたのですが、サイト全体のアクセス数がそれほど多くなかったため(月間UU5万以下)リストのボリュームが小さく、そのためビュースルーコンバージョンがほとんどなく乖離も少なかったのではないかと考えています。
自分は上記公式記事と、下記 ママ広告運用者@インハウスにもどってきたよー!@zubobomamaさんのツイートを見てほぼ確信しました、ありがとうございます。
上記の情報を参考に、以下のようなサイトで広告配信を行う場合は特に乖離が発生しやすいよう考えられます。
- リマーケティング主でTrueViewアクションを配信している場合
- 既に様々な媒体で既に広告配信を行っている場合
- コンバージョン経路が複雑化している場合
この乖離の主な要因は「広告(TrueViewアクション)を見なくてもコンバージョンしていたであろうユーザー」に TrueView アクションが配信された場合でも、ユーザーが広告をクリックせず10秒以上視聴してしまい、なおかつ3日以内にコンバージョンアクションをユーザーが行えば1コンバージョンとしてアカウントされてしまうという点にあります。
そのため、リマーケティングユーザーへの広告配信を中心に行っている場合、既に様々な媒体(非広告媒体を含む)を用いた集客を行っておりコンバージョン経路が複雑化している場合は乖離が発生する可能性が高く、管理画面上の数値だけで全て判断して調整してしまうと実数との乖離が目立つようになってしまう可能性が高くなるものと考えられます。
ビュースルーコンバージョンをカウントせず、いわゆるクリックスルーコンバージョン(広告をクリックしたユーザーがその後コンバージョンに至ること)だけを計測する方法も存在します。
パラメータを付与、またはGoogle広告と連携させることで、 Google Analytics (以下 GA )上でクリックスルーコンバージョンを確認することが可能です。これについてはソニ子SONICJAM MARKETING LABさん@sonicosjmktglabの下記ツイートをご参照して頂ければと思います。
ADEBiSなどの計測ツールを用いて GA 以上に細かくコンバージョン経路や、間接効果をより簡単に数値化することも可能です。
ただし GA を使うにせよ外部ツールを使いにせよ、あくまでも広告がクリックされた数、広告が経由された数が分かるだけで「どの程度 TrueView アクションは意味があったのか?」を正確に証明・検証していくことは困難です。
つまり「広告(TrueViewアクション)を見なくてもコンバージョンしていたであろうユーザー」だったのかどうかについて見極める術はなく、純粋にクリックしたあとにコンバージョンしたのか、クリックせずに見たあとにコンバージョンしたのかについてはツールを使うことで確認可能という点は変わらないということになります。
「ビュースルーコンバージョンの影響を受け自動入札戦略が影響を受けるような事態は避けたい…」
そのようにお考えになる方も多いかと思います。現状管理画面上のビュースルーコンバージョンを減らす方法が2つ存在します。
Google にオプトアウト依頼することです。公式ヘルプでは下記の通り記載されています。
デフォルトでは、ユーザーが「エンゲージメント」から 3 日以内に広告でアクションを起こした場合に「コンバージョン」が 1 回カウントされます。Google チームに依頼してこの期間をカスタマイズすることも可能です
「TrueView アクション広告のアトリビューションを改善」より引用
2021年5月時点にて Google に問い合わせたところ、例えば3日を0日にするなどといったオプトアウトには対応していないとのことでした。
リマーケティングでの広告配信を中心に行っている場合、それらを停止し新規ユーザー向けに配信を切り替えてみることでビュースルーコンバージョンを減らせる可能性があります。
上記したとおりこの乖離の主な要因は「広告(TrueViewアクション)を見なくてもコンバージョンしていたであろうユーザー」への広告配信です。そのためそれにつながる可能性の高いユーザーを全て除外し、純新規ユーザー向けに広告配信を行えば実コンバージョン数と管理画面コンバージョン数の乖離が無くなる可能性は極めて高いのです。ただもしかするとそれにより機会損失が発生するリスクはあります。
今回の問題は特に広告代理店やインハウス運用で実数と管理画面コンバージョン数で乖離が発生している場合に起きている可能性が高い問題になります。 逆に言えばアフィリエイターで広告運用されている方は基本的に関係のない話になるかと思います。これは単純にアフィリエイターによる広告配信の場合、純新規ユーザーへの広告配信が主となるケースが大半を占めているためです。
また逆に現状コンバージョン数の乖離が起きていることは把握しているが原因を特定出来ていない場合、もしかすると TrueView アクションが原因がある可能性は高いと考えられます。心当たりのある方はこの辺り調べられてみては如何でしょうか。

文責:川手遼一