書評『「業界の第一人者」ポジションを確立する!専門家のためのPR戦略』(下矢一良)

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近年特定の業界内でよく見かける風潮、端的に言えば…

  • SNSで影響力を身につけよう
  • ビジネスインフルエンサーになろう

などといった言説をを本気に受け止めてしまい、結果 SNS に注力するも閾値に達しない、本業が中途半端になりむしろ悪影響が出る(余談だが自分自身がそうならないよう川手も色々と日々泥臭くやってる)もしくはやり方を根本的に間違えていて、結果本書で触れている「業界の第一人者」になれないまま終わっていく人を、仕事柄もあってか何人も見てきました。

本書『「業界の第一人者」ポジションを確立する! 専門家のためのPR戦略』はそういった人に向けたガイド本であるとともに、「まあ冷静になって考えましょうよ」「まず何をすべきか教えますよ」といった、一種の鎮静剤のような一冊ではないかと。

本書評記事は Amazon に投稿した自身のレビューにアレンジを加えたものです。

本書の特筆すべき点

本書の特筆すべき点は、大きく分けて以下3つです。

  1. 企業ではなく、個人のPRの手法に焦点を当てている点
  2. メディアへのアプローチや企画の作り方、持ち込み方について解説している点
  3. メディア出演時の注意事項について詳しく解説している点

特に「3.メディア出演時の注意事項について詳しく解説している点」に関してで言えば、冒頭(p31)からペイドパブリシティ(代金が発生しない「フリーパブリシティ」に対してメディア側に代金を払い記事広告やタイアップなどを行うパブリシティのこと)の注意点について、詳しく言及されています。

メディア業界のプロが見れば、「おカネを払えば出られる番組」と「おカネを払っても出られない番組」はすぐにわかります。「おカネを払っても出られない番組」の典型は報道番組です。専門家がコメントすれば数万円ではありますが、出演料も出ます。

それにもかかわらず、高額の出演費を払ってまで出ているということは、自分で「おカネを払わないと出演させてもらえない程度の専門家」だと、メディア業界のプロたちにわざわざ公表しているようなものです。その程度の専門家に、有名な報道番組の制作者たちが出演依頼をしようと思うでしょうか。

つまり有料出演の番組に出ることで、視聴率も高く、権威性もある報道番組やビジネス誌への道を自ら閉ざすことになりかねないのです。これこそが有料出演の最大のデメリットなのです。

「業界の第一人者」ポジションを確立する! 専門家のためのPR戦略』より引用

ちなみに他にもデメリットがあります。例えば「ここのメディアにお金を払ってでも露出したいということは、うちにも出てくれるはずだ…」となり営業連絡がくるなど。

実は自分自身、数年前とある著名な経営者の方が本書で言及されているようなペイドパブリシティのリスクについて直接教えて頂いたことがあり、「なるほど…そんなリスクが」と考えさせられたことがあったのでした。

最後に

ペイドパブリシティの話に限らずですが、自分は「いかに主観を保ちつつも客観的に自分を見て、客観的に第三者に伝えることができるか(そしてそれを積み重ねられるか)」が「業界の第一人者」になる上での必須条件のように考えています。

たぶん少しでも慢心があったりすると、実力もないうちから「企画書を作る?とんでもない。出版社から話がくるまで待つよ」といったようなスタンスにもなってしまうんですよね。

また多くの人は本業の方が大事だったりするので、本業に時間を割いてしまい(でもそれはそれで結果法人的には良いことだったりするのですが…)結果「業界の第一人者」のポジションを構築するに十分な時間や工数を投資できない…みたいな形になっているケースが多いのかなと。

また、一時的に「業界の第一人者」になったとしても、PR に注力し過ぎてしまい、結果本業で誠意を欠いてしまう人も多いので(実際自分が知っている範囲でもたびたび散見)通読していく中で、自分自身の経験と照らし合わせて考えさせられることも多かったです。

最終章(p208)で下矢さんも、次のように言及されています。

メディア出演の成功は本業の成功があってこそ

「業界の第一人者」ポジションを確立する! 専門家のためのPR戦略』より引用

PRは「実力もない専門家が成り上がるための手段」ではなく「真に実力のある専門家」がその実力に相応しい「果実」を手にするために不可欠な手段

「業界の第一人者」ポジションを確立する! 専門家のためのPR戦略』より引用

「メディア出演の成功は本業での成功あってこそ」、『PRは「実力もない専門家が成り上がるための手段」ではなく「真に実力のある専門家」がその実力に相応しい「果実」を手にするために不可欠な手段』と述べている通り、「PRはあくまでサポート的な要素が強いものである」ということを改めて再認識させられる一冊でした。

文責:川手 遼一