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以前からファインド広告やYouTube広告について、自分は「下手にターゲティングをするよりも、ブロードで(つまりは年齢や性別、地域のみ設定して配信)アプローチした方がいいことも多い」という話を度々してきましたが…
「既存の施策からいきなりブロードに変えるのはちょっと怖い」
「ブロードに抵抗感がある」
「全く異なる属性からのコンバージョンは増やしたくない」
などといった現場レベルでの葛藤は、多々あるのではないでしょうか。
そういった際に使うことで、有効にコンバージョンを増やすことが可能なのが「最適化されたターゲティング」であり、本日はその「最適化されたターゲティング」に関するお話をできればと思います。
以前に公式ヘルプにも記載あった「この機能は段階的に展開を進めており、一部の Google 広告アカウントではまだご利用いただけません。」の一文が現在は消失しており、現在全ての Google 広告アカウントにて最適化されたターゲティングは使用できるようになっているものと思われます。ただ一文が削除されただけで利用できない可能性もありますので、事前にその点ご了承ください。
目次
そもそも最適化されたターゲティングとは何なのでしょうか。公式ヘルプでは、下記のように説明がなされています。
最適化されたターゲティングを使用すると、キャンペーンの目標に基づいて、コンバージョンに至る可能性が高く、関連性の高い新規ユーザーにリーチできます。また、手動で選択したオーディエンス セグメントの枠外にキャンペーンのリーチを広げ、これまで逃していた可能性のあるオーディエンス セグメントを取り込んでキャンペーンの成果を高めることが可能です。
「最適化されたターゲティングについて」より引用
一見した限りですと、 Audience expansion (ターゲットの拡張)と同じもののようにも考えられます。
しかし、この2つは別物です。
そもそも、 Google 広告には「ターゲットの拡張」と呼ばれる機能が以前から存在しています。
この機能は下記図のように、管理画面内のディスプレイキャンペーン「広告グループ」の「設定」内に確認することが出来ます。
例えばリマーケティングリストを設定していたり、コンテンツターゲットを設定していたとしても「ターゲットの拡張」を有効にすることによって、設定したリーチの拡大度合いに応じ、従来のターゲット以外にも広告が配信されるようになります。
「ターゲットの拡張」は元々設定されていた情報を参考にリーチを拡大し、「価値の高いトラフィック」を増やし、結果的にコンバージョンを効率的に増やしていくことを目的とした機能です。ただし使用したとしても全くコンバージョンが増やせないケースも珍しくありません。Google は以下のような状況での使用を推奨しています。
ターゲットの拡張は下記のようなユーザーの声に応えるために設けられたものです。ターゲットの拡張の用途は、次のような状況のときに最も効果的です。
「ディスプレイ キャンペーンのターゲットの拡張について」より引用
・新規顧客を開拓する
・最も顧客になる可能性の高いユーザーにアプローチするターゲティング方法を特定する
・同じ入札単価やユーザー獲得単価でリーチを拡大する
話を元に戻しましょう。では「ターゲットの拡張」と「最適化されたターゲティング」はどのように異なるのでしょうか。
公式ヘルプ上でも「 What’s the difference between audience expansion and optimized targeting? 」と題し、それぞれの違いに関する旨が記載されています。
下記一覧表はここで記載されている内容をベースに情報を整理しつつ、実際に管理画面、Google Ads Editor に触れ、それぞれの違いについて自分が調べた内容をまとめたものです。
要点 | オーディエンスの拡張 | 最適化されたターゲティング |
---|---|---|
機能 | 選択したオーディエンスセグメントに加えて、別の類似したオーディエンスを追加。 | リアルタイムのコンバージョンデータに基づいてコンバーターがどのように見えるかのプロファイルを作成し、コンバージョンにつながる可能性のあるユーザーに配信を拡大。ランディング ページやクリエイティブ アセットのキーワードなどの情報はもちろん、Google 検索や、ウェブサイトへのクリックデータなども考慮。 |
ブランド保護 | 考慮せず配信 | 考慮し配信 |
推奨入札戦略 | 特段なし | コンバージョン数の最大化または目標コンバージョン単価 |
Google Ads Editor にて確認できる場所 | 広告グループ内「選択した広告グループ」内「ターゲットの拡張」 | オンになったケースでは「ターゲットの拡張」が「レベル3」になっているケースが散見される。 (Google Ads Editor Ver1.6にて確認) |
管理画面上にて確認できる場所 | 広告グループ内「設定」内「オーディエンスの拡張」 | 広告グループ内「設定」内「最適化されたターゲティング」 |
情報を整理してみますと、これまでのオーディエンスの拡張とは異なり、ユーザーの検索行動や閲覧したコンテンツなども考慮しオーディエンスレベルではなく、プロファイルを個別に作成し拡大配信を行う点が、「ターゲットの拡張」と違う点であると考えられます。
従来のターゲット拡張は既存の枠組み(オーディエンス)に当てはめ、下記ヘルプ記事にもある通り「良質なトラフィックからの流入」を増やし「コンバージョンを促すもの」であったことを考えると、最適化されたターゲティングはより商材にフィットした集団(プロファイル)に直接広告配信し、より的確にコンバージョンの増加を促すようなものであると考えられます。
ディスプレイ キャンペーンの掲載結果を効率的に高めたい場合は、ターゲットの拡張機能を使用して、ターゲティングのリーチを自動的に拡張することも 1 つの方法です。これにより、価値の高いトラフィックをより多く獲得できるので、コンバージョンを効率的に促進できます。
「ディスプレイ キャンペーンのターゲットの拡張について」より引用
考え方次第ですが、基本的に「最適化されたターゲティング」はオーディエンスの拡張の上位互換的な存在と認識し問題ないでしょう。
実際に自分の運用しているアカウントにて「最適化されたターゲティング」を有効にしましたが、自動的にオフにされてしまいました。前述した通りまだすべてのアカウントで導入されている機能ではないため、挙動もまだまだ安定していない点などあるのかもしれません。
Google は公式ヘルプにて以下のような利用シーンでの使用を推奨しています。
・目標を達成しながら、関連性の高い新規顧客を獲得したい場合
「最適化されたターゲティングについて」より引用
・関連性の高い新規顧客の獲得を目指し、特定のオーディエンス セグメントを念頭に置いている場合
・過去の顧客に再び商品の購入やサービスの利用を促したい場合
一見すると、利用シーンに関しては「ターゲティングの拡張」と大差ないようです。
例えば「ブロード配信をすることによってターゲット外からのコンバージョンが発生させるのは嫌だが、今現在発生しているコンバージョンユーザーの母数を増やしたい」といった場合には、うってつけの機能ではないでしょうか。
注意すべき点についてですが、下記の通り4つ存在します。
実際に導入されているアカウントにて、ディスプレイキャンペーン、ファインドキャンペーンやYouTube広告用のキャンペーンにて広告グループを新規作成した際、リストをチェックしたりすると勝手に「最適化されたターゲティング」がオンになります。
比較的新規で作成したアカウントの場合、ディスプレイキャンペーンでも「 最適化されたターゲティング 」は使用可能ですが、以前から存在しているアカウントの場合だと利用できないケースもございます。その点については別途詳細をツイートしていますので、こちらをご確認ください。
以下は実際に仮にリストを有効にした際の画面ですが、「最適化されたターゲティング」にて突如としてチェックボタンがオンになりました。
「最適化されたターゲティング」による拡大を有効にしたくない場合はここでオフにすれば良いのですが、気づかない場合、そのまま配信されてしまうリスクが高いので要注意です。
すでに「ターゲティングの拡張」をオンにした広告グループ、またはその広告グループを含む広告キャンペーンを運用してる人ならわかる通り、キャンペーン名や広告グループ名などに「(拡張中)」を追記しておかなければ、管理画面上で一覧に表示されても、それが「ターゲティングの拡張」を有効にしているのかどうかを判断することは困難です。
そのため「最適化されたターゲティング」が有効であるかどうかについて、一見してキャンペーン名や広告グループ名を見ただけで理解できるような仕組みを構築しておく必要があります。
特にチームにて複数人でアカウントを管理している場合など、拡張配信は意図されたものなのかどうなのかは、一見すると設定した本人にしかわかりにくいものになります。
また普段は一人で運用されていても、定期的に他の運用者にアカウントのチェックしてもらう機会などもあるかと考えられますので、見た人が瞬間的に理解できる名前を設定しておいてあげると良いでしょう。
公式ヘルプ上にて以下のように記載されています。
最適化されたターゲティングでは、他の場所で成果の高いパフォーマンスが確認されると、そのシグナルでのトラフィックの配信が減少または停止される場合があります。
「最適化されたターゲティングを使用する」より引用
これは私見ですが、最適化されたターゲティングでは常に複数のシグナルを考慮しコンバージョンにつながる可能性のあるユーザーに広告配信をしますがその点が最優先とされるため、多少パフォーマンスが良くても他の場所で成果の高いパフォーマンスが確認されると広告費を優先的にそちらで使用するということではないでしょうか。
ここまでの話を聞いて「ではオフにすればいいのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。
自分は実際に社内で運用中のすべてのアカウントの情報を確認し、ファインド広告で「最適化されたターゲティング」が有効になっている例を集めましたが、設定されているものの大半において、拡大分でコンバージョン獲得が出来ていたのはもちろんですが、むしろ拡大された部分の方がパフォーマンスが良かった例も存在しました。
正しく仕組みを理解し使うことができれば、機能のもつ力を最大限引き出してあげることも可能です。その点を意識した上で使用することをオススメします。
新規でキャンペーンを作成した際にデフォルトで「最適化されたターゲティング」は現在有効になるよう設定されていますし、今後勝手に有効化される可能性があります。ヘルプ上では以下のように説明されています。
最適化されたターゲティングはすべてのキャンペーンで自動的に有効化されます。最適化されたターゲティングでは、ランディング ページやクリエイティブ アセットのキーワードなどの情報を確認し、キャンペーン目標を達成できそうなオーディエンスを見つけます。最適化されたターゲティングを使用しない場合は、広告グループ設定で無効にすることができます。
「最適化されたターゲティングについて – Google 広告 ヘルプ」より引用
ご注意ください。
文責:川手遼一