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本日は昨年12月から話題に上がっている ChatGPT について、今後どのように「検索」に影響を与え、変化させていくのかについて、2023年1月現在の情報を参考に、仮説ベースでお話しできればと思います。
目次
そもそも ChatGPT とはどのようなものなのでしょうか。
ChatGPT とは、2022年11月30日に OpenAI(マイクロソフトなどが出資)が発表した、テキスト生成 AI プラットフォームになります。そもそも GPT とは Generative Pre-Trained Transformer の略で、深層学習を使用しテキストを生成する自己回帰言語モデルを示します。
これまでに複数のバージョン(GPT-2,3,3.5,4など)が公開されており、ChatGPT では OpenAIによってトレーニングされたGPT-3、3.5(ChatGPT Plus 利用者は4も使用可能)が2022年3月現在、主に使用されています。
ChatGPT は GPT とチャット機能を組み合わせたもので、まるで人間のように自然と(ただしこれは質問によっても異なる)チャット形式で対話が可能としています。
参照:OpenAI開発のテキスト生成AI「GPT-3」がどんな処理を行っているのかを専門家が解説 – GIGAZINE
例えば下記動画のように、テキストで質問をすると自動的に下記のような回答をしてくれるものになります。
結論から言うと自分は、これから3年ほどで、ChatGPT や同様のものを使った検索シーンの増加、ChatGPT が背後で使われている検索技術が広く普及し、検索エンジンの使用方法や人間の検索行動が大きく変わっていくだろうと考えています。
本記事では以降、具体的にどのような影響が考えられるのかについて詳しく言及していきます。
「ChatGPT が与えうる影響」という字面から「何か大きく、ネガティブな影響があるのではないか」と考える人も少なくはないのではないでしょうか。
例えば下記のように考え、心配する方も多いのではないでしょうか。
- 既存の検索エンジンからユーザーが離れる
- 既存の検索エンジンではまったく検索されないクエリなどが発生するようになる
- SEO、コンテンツマーケティング、検索連動型広告などの戦略が有効でなくなる
- 検索エンジンが ChatGPT に取って代わられる可能性がある
現時点の情報から勘案するに自分は、ChatGPT の登場がそこまで直近でダイナミックな影響があるようには考えていません。
ただじわじわと「検索」にまつわるあらゆる物事が変わってくるのはほぼ間違いないでしょう。
自分は下記3つのような影響が、じわじわと目に見えて出てくるのではないかと考えています。
まず自分は ChatGPT の登場と浸透により「検索時の選択肢が1つ増える」ように考えています。
今までであれば、知りたいことがあれば Google や Yahoo! などといった検索エンジンで検索を行い、的確な情報を探す必要がありました。
例えば 「ウェブ広告の成果計測はどのような技術によって可能とされているのか」 時になった際、「ウェブ広告 成果計測 技術」などと検索エンジンで検索し、インデックスされたコンテンツの中を確認する必要がありました。
今後はこの旧来的な方法に加えて、ChatGPT を用いて検索するという選択肢が登場しました。ChatGPT を用いればシンプルに質問をするだけで回答を得られるため、より効率的に情報を探したり、検索者に専門知識がなくても正しい情報に辿り着ける可能性があるのです。
またこれまで、検索エンジン経由では実現することが出来なかったような事も ChatGPT では実現可能となります。
例えば簡単なコードであればサクッと出力してくれたりします。
論文を執筆してもらうことも可能です。
もちろん料理のレシピを尋ねたり、既存の検索エンジンの代替としても使用可能です。
このような形で検索や、技術や知識の知恵袋として、または検索+αの選択肢として ChatGPT(もしくはそれに類するもの)は今後より多くの人に使用されるようになっていくのではないでしょうか。
既に発表されている通り、一部の検索エンジンに関しては ChatGPT と統合しようとしている可能性が報じられるほか、すでに検索結果画面に ChatGPT が組み込まれる技術が登場しています。
参照:【Infostand海外ITトピックス】「ChatGPT」の盛り上がり Microsoftは検索への統合を計画 – クラウド Watch
参照:Google検索をするとChatGPTの回答も表示してくれるブラウザ拡張機能「ChatGPT for Google」 – GIGAZINE
Google は以前から「1 日の検索数の15% は Google が見たことのない検索語句」であると発表しています。
1 日の検索数の 15% を占める、Google が見たことのない検索語句
「検索広告を目的のユーザーに表示しやすくするために – Google 広告 ヘルプ」より引用
それら(全体の検索の15%)をカバーするようなコンテンツは100%ネット上に存在しているわけではありません。
場合によっては検索者が答えにたどり着けない、コンテンツが用意されていないといったケースも多くあるでしょう。
ChatGPT の登場により、それによって検索者側に生じていた不満感などが今後徐々に軽減されるようになっていく可能性は多いにあるのではないかと自分は考えています。
一部のクエリの検索ボリュームが中長期的に減少するなどといった影響は考えられますが、基本的にマイナスの影響は軽微なように考えています。
それよりも、例えば「〇〇 とは」といったような検索が ChatGPT にシフトした場合、そもそも広告を配信したとしても絶対に獲得につながらないようなユーザーの広告クリック数を減らすことができ、結果的に機会損失がそれほどなければ単純にコンバージョン率が上昇する、などといったようなプラスの影響も自分は地味に大きいのではないかと見ています。
またこれは余談ですが、ChatGPT に対してうまく質問をすることで、より良い広告を作り出したり、より良いテスト方法を見つけ出したり、より良い広告の運用方法を導き出したりすることが可能となるかもしれません。
既にYoshiさん@motoy0shi がツイートされていましたが、クリエイティブ作業の壁打ち相手としては最適ではないでしょうか。
広告運用の業務に限らず、あらゆる職種において「良い右腕として ChatGPT を使いこなせるようになること」の重要性は年々上がってくるはずです。そのためまずは今のうちに登録し、隙間時間に使い始めてみることをオススメします。
パッと思いつくのがコンテンツの粗製乱造が ChatGPT を介して行われる光景ですが(苦笑)すでに「GPTZero」などといった ChatGPT か人間が書いたものかを素早く効率的に検出できるアプリも登場していますし、上位掲載されるほどの高精度なコンテンツを作り出せるほどにまで技術的には及んでいないため、またそもそも E-E-A-T を考慮し一次情報を用いた記事を AI が書く事は困難ですので、その心配はしばらくは不要なように考えられます。
参照:gptzero.me
参照:E-A-Tに経験を加えたE-E-A-TがGoogle品質評価ガイドラインの2022年12月更新版で導入
現時点においてコンテンツマーケティングで使用するとするならば、例えば ChatGPT を使用し、下記のような作業を代わりに実行してもらう、もしくはヒントを提供してもらうなどが現実的なところではないでしょうか。
- どのようなコンテンツから優先的に作るべきかを考えてもらう
- 記事をどのような流れで書くべきか
- 記事のタイトルを複数案考えてもらう
- 記事のタイトルを厳選してもらう
- 記事の頭出しを代わりに書いてもらう
以前にテレビ番組などで特集され話題となった「大喜利β」と同様に、AI はたとえスベったとしても人間と違い、ためらいなく大喜利を作成し続けることができるのと同様に、AI には「なんか筆が進まない」という感覚がないため、記事の頭出しを代わりに書いてもらうなどは非常に有効なのではないでしょうか。
下記ツイートでは「プロトタイピング」と呼ばれていますが、まさにその通りではないでしょうか。
また実際にコンテンツを生成する上では、以前におおきさん@ossan_mini が ChatGPT について「AI にどの様な命令構文を使えば意図通りのコンテンツが生成されるかの知見が今後は求められることになりそうです」と述べられていましたが、まさにおっしゃる通りの展開になってくるのではないか、と自分も見ています。
AIにどの様な命令構文を使えば意図通りのコンテンツが生成されるかの知見が今後は求められることになりそうです
「2023年のSEOとは?最新動向を抑えた施策をプロが解説 – ミエルカマーケティングジャーナル」より引用
またGoogle(Alphabet)は現在 DeepMind 社でChatGPTと対抗するために「Sparrow」の開発を進めていますが、そちらでは「データの引用元」をどのように取り扱うのかに時間が取られているようです。
仮に「回答」で引用元が明記されリンクなどもされる場合、それがどのように既存の SEO 施策に影響を与えるのかなどは気にかけておいても良いかもしれません。
参照:DeepMind CEO Demis Hassabis Urges Caution on AI | TIME
前述した通り、自分は ChatGPT の登場が直近でダイナミックな影響をもたらすようには考えていません。理由として、下記4つがあるように見ています。
シンプルに、これまで困ったことがあった際、習慣的に検索エンジンを使用していた方々が急激に ChatGPT を使いはじめるとは考えにくくはないでしょうか。
2023年1月現在、ChatGPT を利用している方々はそれなりにネットリテラシーが高く、技術面に造詣が深い方ばかりのはずです。ChatGPT を利用するにはユーザー登録も必要ですし、そもそも一般の多くの方々は「ChatGPT でどのような質問をすると正確な回答が得られるのか」すらもよくわからない方が大半のはずです。
例えば、日本ではガラケーからスマートフォンに多くのユーザーがシフトするまでに5年近い年月を必要としました。普及率に関しては4G回線のカバー率や金銭面での問題もあるため端的には言いにくいのですが、ガラケーよりも明らかに機能面で優れていたスマートフォンですらキャリア各社の熱心なプロモーションの影響があった上でそれほど時間がかかっていたのです。
いずれにせよ、ChatGPT のマスへの浸透にはかなりの時間がかかるはずです。
ちなみに自分は、ChatGPT(もしくはそれに類するもの)を提供する企業は、浸透までにかかる時間を短縮するための施策の1つとして、あらゆるサービスの中にChatGPTを統合し、ChatGPT の存在自体を曖昧化し、気づいた時には多くの人に使用されるようになっていた…という状況を作るのではないかと見ています。
例えば、Microsoft オフィス(Word、Excelなど)などに ChatGPT が組み込まれることで文章の作成補助、マクロの自動生成などが実現されるようになっていくはずです。
参照:Ghost Writer: Microsoft Looks to Add OpenAI’s Chatbot Technology to Word, Email — The Information
参照:IDEにChatGPTを統合 「この関数のテストコードはどこ?」「○○を実装するならどう書けばいい?」など、AIでコードと対話できる「qqbot」登場 – ITmedia NEWS
この件については、サティアナデラ氏(Microsoft CEO)もすべての自社プロダクトに導入すると発言しているため、遠くないうちに導入される可能性が高いでしょう。
参照:Microsoft Plans to Build OpenAI, ChatGPT Features Into All Products – WSJ
またMicrosoft 以外に関しても、今後 API の一般公開が予定されていますので、この動きは加速度的に広まっていくはずです。
ただそれでも、浸透には時間がかかるように見ています。
ChatGPT は質問に対してチャット形式で回答しユーザーに情報を提供していますが、人間は検索エンジンを通じて必ずしも答えを求めているわけではありません。
例えば、下記のような検索シーンにおいて、検索者は明確な、唯一無二の答えを求めていそうでしょうか。
- 「猫 PC 壁紙」
- 「秋葉原 ラーメン」
- 「2023 都内 美術展」
これらの検索シーンにおいては、検索結果画面上に並ぶ情報を閲覧し吟味したり、見比べることに目的の主軸を置いている人も多いのではないでしょうか。
このように人間が「情報を浴びるように得て、より最適な情報を求めたり、情報をキュレーションしたい」と考える普遍的な欲求や、単純な知識欲求を持っているということは認識しておくべきです。
またこれは余談ですが、 ChatGPT は質問に即回答すると言う性質上、FAQ サイトや Q&A サイトのようなものがリプレイスされていくイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、単調な問答がメインの Q&A サイトはさておき、ユーザー層や質問内容に特徴があったり「どう考えても AI にこの回答は不可能だろう…」と考えさせるような質の高い Q&A サイトは今後も必要とされ続けていくのではないかと自分は見ています。
前述した通り、例えばMicrosoft は Microsoft Bing にChatGPTを統合させようとしている報道が出るなど、かなり具体的な動きが見られるケースも存在します。
単純に ChatGPT を検索エンジンに組み込む以外にも、 ChatGPT にユーザーを逃さないためにも、検索エンジンを提供する各社はより優れたアルゴリズムを提供するようになっていくのはほぼ間違いないでしょう。
そのため、これまで以上に「よりよいコンテンツ」を提供することで、より一層にコンテンツ供給者は見返りを得られる可能性もあるのではないでしょうか。
また Google は広告領域でここまで大きくなった企業ですから、確実に遅かれ早かれ ChatGPT の機能についても広告を絡めてくるのではないかと自分は見ています。
このあたりの動きは注視しておくべきでしょう。
そもそも自分は、ChatGPT が検索エンジンそのものの上位互換であるとは見ていません。
質問に対して画像や動画などのフォーマットで回答できない、大局観が人間よりも明らかに劣っていて、速報性の高い情報を伝達したり、あらゆる質問に対して人間が理解しやすいように情報を整理し伝えることは、現在の ChatGPT では実現不可能です。
そもそも大前提として、ChatGPT はネット上にある情報をもとに学習を行い、より適切な回答ができるように最適化され続けていく仕組みの上で成立しているものです。既存のインターネット上のコンテンツなしに ChatGPT は一定の回答における正確性の維持すらできません。
技術的にそのような状態のものが「既存の検索エンジンの上位互換である」と言い切るのは困難ではないでしょうか。
そのため、自分は位置づけとして「あらゆるジャンルの質問に爆速で回答してくれるQ&Aサイト」のようなものと見ています。
また前述した通り、ChatGPT は論文などの執筆も可能ですが、その一方で正確性には問題がある旨が多く指摘されているなど、回答の正確性に関して数多くの指摘が寄せられています。
そのため検索者側も現時点では ChatGPT の内容を鵜呑みにするのは難しい場合が多く、回答内容の正確性について、既存の検索エンジンを用いて内容を再確認する必要があるなどの問題点も抱えています。
現段階で注視しておくべきではないかと考えているポイントが3つあります。
最適な検索の選択肢が増えることで、より検索の最適化が進むはずです。前述した通り、用語の検索1つとっても広告のコンバージョン率が上がったりするかもしれません。
しかし、おそらく数年はどんな検索であっても引き続き検索エンジンを使い続ける層が一定数は存在するはずです。そういった層が ChatGPT を使いこなせるようになるにはまだまだ時間がかかるはずです。
徐々に利用率はあがっていくかもしれませんが、利用率があがってくるまでの時差を利用してできることや、取り組める戦略や戦術がないかという点は注視してみると面白いかもしれません。
特に学習系コンテンツなどは、ChatGPT が普及することで以前に比べてコンテンツをウェブ上で公開してもアクセスを得にくかったりする影響を受ける可能性があります。特にオウンドメディアなどはその影響を受けるようになっていくかもしれません。
でもこれって、以前からあった「中途半端なものは淘汰される仕組み」と基本的には同じようなものではないでしょうか。
AI が生成したコンテンツに満足する人が増えるというよりも、AI が生成したコンテンツよりも優れたもの、単純に「この人の話を聞きたい」とか「この人の書いた文章を読みたい」とか「このメディアでこのテーマの記事を読みたい」とか、そういう関心を持たれるようなコンテンツを今までと変わらず、作り続けていく必要性があるのではないでしょうか。
自分は Apple がこの領域に手を出すのかにとても注目しています。
Apple は長年 AI という点において Siri に投資をしてきましたが、テキスト領域で突出してきた ChatGPT の直近数ヶ月の動向をどのように見ているのでしょうか。
すでに下記動画のように、Siriと ChatGPT を用いた際の比較検証を行う方が出てきていますが、ChatGPT を用いた方が正確な回答を提示しているように思われます。
またApple は長年検索エンジンを独自に開発しているといわれていますが、未だにそれは公開されていません。
現在も開発が進んでいるのであれば、それらはどう組み込まれるのか、また iデバイスにも ChatGPT は組み込まれていくのかという点には注目しておきたいところです。
また他記事にて、ChatGPTを仕事で使用する際に意識したいポイントについてまとめて解説をしています。こちらの記事も参考になれば幸いです。
参照:ChatGPTを仕事で使う際に意識した方がいい9つのこと
ネットが一部のオタクの娯楽から民間に普及するのに15年、PC からスマホへのシフトに5年ぐらい、徐々に短くなってきているので、前述した通り ChatGPT やそれに類するものが浸透してくるまでにかかる期間を、自分は3年と見ています。
VR やメタバースと異なり物理的障壁(機材をそろえないとアクセスできない)が比較的少なく、先行投資なしにトライでき、なおかつ Siri(音声入力)と異なりパーソナルスペースでの使用はさておき、屋外では利用しにくいといった心理的障壁(恥ずかしくて使えないなど)もない点、ChatGPT は緩やかに浸透してくるのではないかと見ています。
何はともあれ、2023年も色々と変化の年になりそうですね。これからが楽しみです。
文責:川手遼一