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稀に広告運用者の方から「動画アクションキャンペーン(以下、VAC)で広告配信すると、管理画面上のコンバージョンと実際のコンバージョン数とで結構乖離ありませんか?」という質問を、受けることがあります。
詳しくはこちらの記事にも書いたのですが、自分も2020年11月から定期的に VAC (旧 TrueView アクション)での広告配信を開始しています。しかしそのような事を体感したことは一度もなく…
「え…もしかして認識していないだけで乖離があるのか?」
不安に思い「確認してみます」と返事をして、自分の案件を重点的に確認してみることにしました。
自分の案件では基本的に管理画面上のコンバージョン計測に加えて、パラメータを付与した上での別途計測ツールを使いたコンバージョン計測を行っています。また上記 TrueView アクションの配信を行っている案件は、スプレッドシートで実際のお問い合わせ状況(日時別のお問い合わせ件数やその後の受注状況など)を記入してもらっているのでそちらとも整合を行い、数値の確認を実施しました。
結論から申し上げますと、自分の場合は実数としての乖離に関しては1~2%ほどはあったものの、そこまで大きな誤差は確認できませんでした。
しかし、その相談された方の場合、TrueView アクションにおける実コンバージョン数と管理画面上コンバージョン数でかなり乖離があり「….何故?」という話になり、少し自分も気になり色々と調べてみました。
今回は「なぜ VAC で広告配信を行った際に、管理画面上のコンバージョン数と実コンバージョン数とで乖離が発生するケースが存在するのか?」というテーマでお話をしたいと思います。
目次
結論から言えば、まず一番大きな理由は「コンバージョンの定義が違うから」というものです。
まず、VAC(旧True Viewアクション)のコンバージョンの定義ですが、2018年12月に変更が入り、例えば10 秒以上視聴した時点で、「エンゲージメント」が 1 回カウントされるようになるなどといった変更が行われています。
・コンバージョン数の最大化または目標コンバージョン単価制を使用しているアクション広告向けの TrueView をクリックまたは 10 秒以上視聴した時点で、「エンゲージメント」が 1 回カウントされるようになりました。
・デフォルトでは、ユーザーが「エンゲージメント」から 3 日以内に広告でアクションを起こした場合に「コンバージョン」が 1 回カウントされます。
「TrueView アクション広告のアトリビューションを改善」より引用
またそれらは、デフォルトで計測期間が3日として設定されています。
コンバージョンとキャンペーンのタイプ | デフォルトのルックバック ウィンドウ |
---|---|
ウェブ コンバージョンとオフライン コンバージョンのインポート | 3 日間 |
つまりクリックせずとも、過去3日以内にエンゲージメントしたユーザーが3日以内にコンバージョンした場合は、管理画面上では「(エンゲージメント)コンバージョン」としてカウントされるのです。
この記事のタイトルにも記載したとおり、VAC はエンゲージメントコンバージョンもデフォルトの設定ではコンバージョン計測してしまうという仕様になりますになっているので、おそらく管理画面上のコンバージョンと、実数とで差が出てしまうのはこういった仕様による影響が大きいのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、以下のようなサイトで広告配信を行う場合は特に乖離が発生しやすいよう考えられます。
- リマーケティング主でVACを配信している場合
- 過去サイト訪問者を除外せずVACを配信している場合
- 既に様々な媒体で既に広告配信を行っている場合
- コンバージョン経路が複雑化している場合
この乖離の主な要因は前述した通り、「広告(VAC)をクリックせず10秒以上視聴し、なおかつ3日以内にコンバージョンアクションをユーザーが行えば1コンバージョンとしてアカウントされてしまうという点にあります。
そのため、リマーケティングユーザーへの広告配信を中心に行っている場合、既に様々な媒体(非広告媒体を含む)を用いた集客を行っておりコンバージョン経路が複雑化している場合は乖離が発生する可能性が高く、管理画面上の数値だけで全て判断して調整してしまうと実数との乖離が目立つようになってしまう可能性が高くなるものと考えられます。
自分が配信したVACの対象のユーザーは、大半がサイト未訪問者(過去サイト540日以内未訪問者)への広告配信が主で、リマーケティングもそれに併せて展開していたのですが、サイト全体のアクセス数がそれほど多くなかったため(月間UU5万以下)リストのボリュームが小さく、そのためエンゲージメント コンバージョンが発生しにくく、そのため乖離が少なかったのではないかと見ています。
自分は上記公式記事と、下記インハウス🍀ママ広告運用者さん @zubobomamaさんのツイートを見てほぼ確信しました、ありがとうございます。
エンゲージメント コンバージョンをカウントせず、クリックスルーコンバージョン(広告をクリックしたユーザーがその後コンバージョンに至ること)だけを計測する方法も存在します。
パラメータを付与、またはGoogle広告と連携させることで、 Google Analytics (以下 GA )上でクリックスルーコンバージョンを確認することが可能です。
これについてはソニ子さん@sonicosjmktglabの下記ツイートをご参照して頂ければと思います。
ADEBiSなどの計測ツールを用いて GA 以上に細かくコンバージョン経路や、間接効果をより簡単に数値化することも可能です。
ただし GA を使うにせよ外部ツールを使いにせよ、あくまでも広告がクリックされた数、広告が経由された数が分かるだけで「どの程度 TrueView アクションは意味があったのか?」を正確に証明・検証していくことは困難です。
つまり「広告(TrueViewアクション)を見なくてもコンバージョンしていたであろうユーザー」だったのかどうかについて見極める術はなく、純粋にクリックしたあとにコンバージョンしたのか、クリックせずに見たあとにコンバージョンしたのかについてはツールを使うことで確認可能という点は変わらないということになります。
「エンゲージメント コンバージョンの影響を受け自動入札戦略が影響を受けるような事態は避けたい…」
そのようにお考えになる方も多いかと思います。現状管理画面上のビュースルーコンバージョンを減らす方法が2つ存在します。
Google にオプトアウト依頼することです。ただし2021年5月時点で問い合わせをした際は「例えば3日を0日にするなどといったオプトアウトには対応していない」とのことでした。公式ヘルプでは下記の通り記載されています。
デフォルトでは、ユーザーが「エンゲージメント」から 3 日以内に広告でアクションを起こした場合に「コンバージョン」が 1 回カウントされます。Google チームに依頼してこの期間をカスタマイズすることも可能です
「TrueView アクション広告のアトリビューションを改善」より引用
リマーケティングでの広告配信を中心に行っている場合、それらを停止し新規ユーザー向けに配信を切り替えてみることで、エンゲージメント コンバージョンを減らせる可能性があります。
上記したとおりこの乖離の主な要因は「広告(VAC)を見なくてもコンバージョンしていたであろうユーザー」への広告配信です。
そのため、それにつながる可能性の高いユーザーを全て除外し、純新規ユーザー向けに広告配信を行えば実コンバージョン数と管理画面コンバージョン数の乖離が無くなる可能性は極めて高いのです。
ただそれにより機会損失が発生するリスクは当然ありますので、どちらも一長一短ですね。
今回の問題は特に広告代理店やインハウス運用で実数と管理画面コンバージョン数で乖離が発生している場合に起きている可能性が高い問題になります。
逆に言えばアフィリエイターで広告運用されている方は基本的に関係のない話になるかと思います。
これは単純にアフィリエイターによる広告配信の場合、純新規ユーザーへの広告配信が主となるケースが大半を占めているためです。
また逆に現状コンバージョン数の乖離が起きていることは把握しているが原因を特定出来ていない場合、もしかすると VAC が原因がある可能性は高いと考えられます。
心当たりのある方はこの辺り調べられてみては如何でしょうか。
文責:川手遼一