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編集長として運営に携わっているキーマケLab で、直近で客先などでも聞かれることが多かった「Google オプティマイズ廃止後の代替ツール検討、選定状況」についての調査を実施し、結果を公開しました。
今回はその中でも特に興味深かった点について、ピックアップしご紹介していきます。
また特に興味深かった点、本記事のタイトルにもなっている「なぜ Optimize Next はたった数ヶ月でここまで導入されるに至ったのか」についても、個人的にいくつか仮説として考えたものがあるので、それらを列挙していければと思います。
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目次
調査を実施したのは2024年1月9〜11日で、Google オプティマイズ が廃止されたのは2023年9月(管理画面へのアクセスが遮断されたのは10月)であるため、すでに廃止から3ヶ月以上が経過しています。
2023 年 9 月 30 日以降、Google オプティマイズとオプティマイズ 360 はご利用いただけなくなります。実施中のすべてのテストとパーソナライズは、この日をもって終了しています。
「[2023 年 9 月廃止] Google オプティマイズ – アナリティクス ヘルプ」より引用
しかし、実際に廃止してから既に3ヶ月以上が経過しているにも関わらず、過去5年以内に Google オプティマイズ利用経験者の多くが「(リプレイス先を)探したが見つけられていない」というデータが出ています。
個人的にはもっと多くの方がリプレイス先をすでに探し、見つけていると考えていたので、この結果は正直意外でした。
「探していない」は別に選択肢を設けているため、「純粋にリプレイス先を探していて、それでも見つけられていない」という人が約半数…という結果には驚かされます。
では次に、なぜ多くのユーザーはリプレイス先を「探したが見つかっていない」状況にあるのかについて、深掘りしてみていきましょう。
特に以下2つの調査結果を見ることで、過去5年以内に Google オプティマイズを利用した経験があるユーザーのうち、約半数が「探したが見つかっていない」と回答した背景が理解できるのではないでしょうか。
まず1つめが「代替ツールを探す上で、悩んでいることがあれば、教えてください(代替ツールを探したが見つかっていないと回答した241名の方への質問)」という質問の回答です。
こちらの回答では、「導入や実施にコストがかかる」という回答が最も多く、コストに関する悩みが根強いことが伺えます。これは 従来 Google オプティマイズは無償提供されていたツールであることから、リプレイス先にも「無料であること」を求めていることが推察できます。
またもう1点、「代替ツール選定時に決め手となった点(代替ツールが「見つかった」と回答した204名の方への質問)」に関する質問の回答からも興味深い点を読み取ることができます。
こちらの回答では、実際にリプレイス先を選ぶ上で以下3つを参考にしたところが多かったことがわかります。
- UI/UXが優れている
- GA4との連携可否
- 料金(無料)
料金については先ほども触れたため割愛しますが、実際に代替サービスの選定を終えたユーザーは、UI/UXが優れていること、GA4との連携できることを重視つつ、無料のものを探していることになります。
これらの情報をまとめて考えると、多くのユーザーは当たり前の条件で当たり前を提供してくれるものを(つまりGoogle オプティマイズに性能面、金銭面で劣らないものを)探していると考えることができるのではないでしょうか。
今回調査した中でもっともリプレイス先として選ばれていたツールは「Optimize Next」であることがわかっています。
Optimize Next はPROJECT GROUP株式会社が提供する、サーバーレスで機能する無料のABテストツールです。2023年8月にベータ版の全ユーザーへの提供が開始されて以降、2024年1月22日時点で1,000サイト以上に導入されています。
1,000以上のWebサイトで導入されています。(2024/1/22時点)
公式サイトより引用
Optimize Next
https://optimize-next.com/
リプレイス先として選ばれた Optimize Next について改めて、改めて深掘りしていきます。結論、以下3つの点が、短期間で利用数増を促すことにつながったように見ています。
まず特筆すべき点として、UI/UXが優れており、誰でも簡単に操作できる使用感を提供している点についての言及は欠かせません。
Google オプティマイズの操作感としては優秀であったため、ユーザーはリプレイス先にも当然「UI/UXが優れている」ことを要求します。これは前述した「代替ツール選定時に決め手となった点(代替ツールが「見つかった」と回答した204名の方への質問)」の回答でもっとも挙げられたものが「料金」ではなく、「UI/UXが優れている」がもっともあげられている点からも明らかでしょう。
また日本語に標準対応していることも、他外国産ツールと比べて優位性のあるポイントとなるでしょう。
日本語を標準言語に採用しているため、不自然な翻訳に困惑することは、もうありません。
公式サイトより引用
ちなみに操作感に関して、Optimize Next ではGoogle オプティマイズのものを踏襲されている点も多々ありますが、これはヤコブの法則を前提に考えると、かなりユーザーフレンドリーな設計であるように考えられます。
ユーザーは他のサイトで多くの時間を費やしているので、あなたのサイトにそれらと同じ挙動をするように期待している
『UXデザインの法則 ―最高のプロダクトとサービスを支える心理学』より引用
フリー戦略の1つである、フリーミアムが有効に機能しはじめているという点も、短期間でサービス利用者数を増やす上で大きく貢献したきっかけの1つでしょう。
フリーミアムについては、書籍『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』で次のように説明されています。
「フリーミアム」[Freemium]は、ベンチャー・キャピタリストのフレッド・ウィルソンの造語で、ウェブにおけるビジネスモデルとしては一般的だ。それは多くの形態をとりうる。無料から高額のものまでさまざまなコンテンツをそろえるところもあるし、無料版にいくつかの機能を加えてプロ用の有料版をそろえるところもある(無料のフリッカーと、年間二五ドルを払うフリッカー・プロがその例だ)。
『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』より引用
図解すると、次のようになります。
『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』より引用
公式サイトでは次のように言及している通り、Optimize Next は今後有料プランの追加を検討しているようです。
今後、さらなる便利な機能やサポートを追加した有料プランをリリース予定ですが、基本的なABテスト機能は引き続き無料でご利用いただけます。
公式サイトより引用
まだ有料プランが存在するわけではないため、正確にはまだ Optimize Next はフリーミアムが有効に機能しているわけではないのですが、ゆくゆくは無料ユーザーが次の有料ユーザーを誘い込むような形で機能していきつつ、最終的には全体の数5%程度の有料ユーザーが残りの無料ユーザーを支えるような構造に向かっていきながら、利用者もどんどん増えていく形を目指しているのではないでしょうか。
つまり、五パーセントの有料ユーザーが残りの無料ユーザーを支えているのだ。フリーミアムのモデルでは、有料版を利用するユーザーひとりに対して、無料の基本版のユーザーが一九人もいる。それでもやっていける理由は、一九人の無料ユーザーにサービスを提供するコストが、無視できるほどゼロに近いからだ。
『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』より引用
ただ単純にフリーミアムによってサービスの利用を促し、サービスの有料ユーザーを増やしたいのかといえば違う気がします。開発秘話に関する note では次のように言及がなされています。
平野:とはいえどうして無料で提供することにしたの? 他社が有料で提供していて、かつほぼ開発時の人件費のコストしか掛かっていないなら、他社よりも安く提供できそうだし、売れそうとか思っちゃうんだけど。
植松:一言でいえば、「ABテストの民主化」が目的だからですね。
平野:HPにも書いてあったね。もう少し具体的に教えてほしい。
植松:これは僕の考えですけど、ABテストは実施すること自体が目的なんじゃなくて、そこで得た結果を分析して仮説を検証するための「手段」なんです。だから、そこでお金を取るというのはあんまり健全じゃないなっていう感覚が僕の中であったんですよね。
「無料ABテストツール「Optimize Next」の開発秘話からわかった、無料提供の理由と今後の野望」より引用
またサイト内でも次のように言及されています。
データマーケティング事業を展開している弊社にとって、データマーケティング市場の活性化が中長期的な視点でプラスとなるためです。ABテストの実施は「目的」ではなく「手段」であり、そこにはコストが発生するべきでないと考えています。「ABテストを、民主化する。」というミッションのもと、データマーケティングにおける健全なインフラ構築を目指しています。
公式サイト内「どのような目的で無料提供しているのですか?」の回答より引用
如何に優れたサービスがあったとしても、知られなければ利用されることはありません。
その点でいうとPRTIMESを用いたプレスリリースをうまく利用していることも、利用数の上昇に大きく貢献しているように思われます。
例えば、X(旧Twitter)で「Optimize Next」と検索すると、多くのユーザーが PRTIMES のリンクをシェアしていることが伺えます。
特に新規事業の場合、関係者が有名なインフルエンサーでもない限りはソーシャル上で活発にシェアされることなく、不発で終わってしまうことも珍しくありません。
しかし PRTIMES に投稿することで、単純に様々な人の目に留まる機会も増えるため、また様々なメディアにプレス転載されることもあるほか、記者の目に留まり編集記事などの掲載につながる可能性もあるため、リリースの内容次第ではあるものの、プレスリリースをうまく活用することで一定 SNS 上で注目を浴びる状況を作ることが可能です。
またPR TIMESのドメイン自体がかなり強いため、自然検索上位にPR TIMESの関連リリース記事が掲載されていることも珍しくないんですよね。 なのでそういったところからの流入にも、一定期待を持つことができます。
強いて言及するのであれば、中長期的に自社のドメイン配下に同様のメッセージを掲載し、それが SNS でシェアされるほか、様々なメディアからリンクされる状態に持っていくことが自然検索の流入促進の観点上は理想的ではあるものの、現実問題として現段階(サービスリリース直後)ではそこまで手が回らない場合も多いでしょうから、そういった場合は逆に PRTIMES への情報掲載を最大限利用する形で、プレスリリースをうまく使っていくことが望ましいでしょう。
そういった点で見ると、Optimize Next は非常に上手にPRTIMES(プレスリリース)を活用しているように思われます。
キーマケLabでは来月、Optimize Next の開発を手がける植松氏へのインタビュー記事の掲載を予定しています。個人的に、当記事の仮説がどこまで当たっているのか、実際に伺えればと思います(苦笑)
今回の調査結果ページには記載されていない、今回の調査に関する裏話について簡単に説明できればと思います。
今回の調査はIDEATECH 社に依頼しました。調査方法はインターネット調査になりますため、特に偏りなく、様々な地域、年齢、職種のユーザーのデータを集めることができました。
事業会社、制作会社、広告代理店、様々な形でWebサイトに携わる方を対象にアンケートを実施した回答となっています。
今回は「Google オプティマイズを過去5年以内に利用したことがある人」という切り口で、スクリーニング設問を行いました。
スクリーニング設問については以前にキーマケLabの記事でも解説しましたが、例えば数千人に対してアンケートを実施する場合、そもそも今回のアンケートの対象にならない人をアンケートの冒頭の設問で排除する必要があり、その際に使用されるのがスクリーニング設問です。
スクリーニング設問を投げかけ、利用経験が「ある」と回答したユーザーは527名でしたが、一方ないと回答したユーザーは14,500名弱存在しました。
つまり全体で15,000名以上に調査を行い、その上で厳選したユーザーの回答のみをアンケートに使用しています。
今回 IDEATECH 社にかなり無理をいい、500程度のサンプルを集めたのですが、集める中で当初上記スクリーニング設問では「Google オプティマイズを過去3年以内に利用したことがある人」のデータのみを集めようとしたのですが、結論その条件ではサンプルを500まで集めることができず、途中から条件を「Google オプティマイズを過去5年以内に利用したことがある人」に変更し、データ収集を行いました。
Google オプティマイズのベータ版の無償提供開始は2016年であることから、最大で遡れる利用者は過去7-8年程度です。
あまり昔過ぎると、現在と使用感の異なるユーザーや、そもそも別の仕事についており現在はABテストといったものから離れて仕事をしている人もアンケート対象となるため「探していない」の回答が多くなる可能性があるなどし、正確な調査を行うことは難しいかもしれません。
そのため日本において、同じように調査会社を利用しデータ収集を行う場合、同様の条件で1,000や2,000といった数のデータを集めることは困難である可能性が高いです。
また特定のリストを用いる手法や 特定の SNS を使用しているユーザーに対し同様の調査するケースの場合、もっと多くのサンプルデータを集めることができるかもしれませんが、そうするとデータが偏りのあるものになってしまうほか、質に難のある調査結果となってしまう可能性が高いため注意が必要です。
文責:川手 遼一