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先日、普段からお世話になっている方からの依頼で新規事業の立ち上げ、およびその集客をお手伝いしました。
その際、クラウドワークスを用いてランディングページ(以下、LP)に関するフィードバックを募集したところ、かなり良い形で一次情報を集めることができ、それらのデータをもとに LP 改善を実施したところ、最終的に CVR が約8倍となり、大きく成果を出すことができました。
掻い摘んで X にもポストしご紹介しましたが、非常に汎用性が高い取り組みのため、ぜひ多くの人に試していただきたく、本日はその際の改善までの流れや、意識して取り組んだこと、実際に行う際に注意しなければならない点についてご紹介していきます。
目次
経緯ですが、以下の通りです。
- LP を新規作成し広告配信(初回テスト配信)してみたが成果がイマイチ
- クラウドワークスで直接ターゲット層にLPをみてもらいフィードバックがもらえることを思い出す
- クラウドワークスの件についてクライアントに説明、了解を取る
- クラウドワークスでタスクを作成し、1件あたり約60円で募集開始
- クラウドワークスを一晩放置
- 一晩で約30件のフィードバックが集まり(最終的に約50件を回収)それらをもとにボトルネックとなっているポイントを明確化し、LP の修正を依頼
- 修正されない箇所も残存するもテスト配信を再開(2回目のテスト配信)
- クラウドワークスで受けたフィードバック(コンバージョンに至らない理由など)のポイントを重点的に Clarity のレコーディングで確認し、課題点を共有し再度修正へ
- 結果 LP でボトルネックとなっていた点をすべて改修
- 最終テスト配信実施後、CVRは初回および2回目のテスト配信時と比べて約8倍に
前述した通り、以下の通りです。
コンバージョン率は初回および2回目のテスト配信時と比べて約8倍に
以下、3つの通りです。
数多くのフィードバックを集める意図はなかったため、タスクタイトル設定時に回答に時間を要することを明記していました。
また、報酬も平均程度にとどめ、多くの人の関心を持ってもらうというよりも、正確に LP を読み、回答してくれる人の目に留まるように工夫しました。
そういった工夫の成果もあってか、結果的に的外れな回答はほとんどなく、LP 改善に有益な情報ばかり集めることができました。
クラウドワークス経由で寄せられた回答(フィードバック)の中には、制作会社やクライアントにとって失礼にあたるものも含まれていました。
それでも、「第三者が実際に見たときにどう感じるのかをリアルに知ってもらうべき」と考え、そのまま Excel 形式でダウンロードし提出しました。
関係値が構築できていない場合は避けるべきかもしれませんが、なるべくありのままに共有することをおすすめします。
また、Excelでの出力方法については、こちらをご参照ください。
参照:クラウドワークスでアンケート調査を行い結果をメディアで公開した話
クラウドワークスで寄せられた回答(フィードバック)の中には、むしろクライアント側で「強み」と認識しているものが、実はコンバージョンのボトルネックとなっていることが連想されるものも含まれていました。
実際1度目の改修後、そのポイントは修正されることはありませんでした。
ただ、自分はそのフィードバックにあった内容を重点的に Clarity で「どのように見ている人が多いか」を確認し、実際にその点をボトルネックに感じコンバージョンしなかったと思われるユーザーのレコーディングデータを URL 共有機能で関係者に共有し、修正を提案しました。
以下のような案件で LP 改善案を考えたい場合、コンバージョン率が低く伸び悩んでいる場合、利用することをおすすめします。
- クリック単価が高く、データを貯めにくいビジネス領域で広告配信を行う場合
- スタートアップや新規事業のため、広告に投下できる予算が十分でない場合
- LPのボトルネックは明確だが、決裁権者を説得する材料が必要な場合
- 広告配信開始直後から獲得に苦戦することが予想され、広告配信前に改善を進めたい場合
- 諸事情で Web 上にページを公開していないが、公開前に改善を進めておきたい場合
- 公開後の改善のための素材集めを、事前に進めておきたい場合
注意が必要な点が6つあります。
- クラウドワークス利用前にクライアントの了承を事前に取るべき
- 未公開情報を含む LP の場合は使用すべきではない
- ターゲット層となる人がクラウドワークス上に存在しているかどうかの事前確認
- 例えばターゲットが富裕層の場合、麻酔科医などのように極端に人口を占める割合が低い場合は回収が困難
- クラウドワークスにおけるタスク設定
- 事前に質問内容についてはクライアントにも確認(あとで追加で聞きたいことが出ることを防ぐ狙い)
- 報酬設定についても公開前に再確認(誤って多額の報酬設定をしてしまうのを防ぐため)
- ターゲット外や質問にしっかり回答しない可能性があるユーザーのクリックをむやみに誘わない(数は少なくても正確に回答してくれる人のクリックを誘う)
- 必要に応じてタスクを非公開設定に(特に募集終了後)
- 費用を誰が支払うか
- 費用として掛かった金額は約3,000円程度(調査実費のみ)
- ただし設定金額によっては高額となるため、取り扱いに注意が必要
- 弊社の場合、手数料の一定をこういった調査やツール利用、制作費として利用可能な制度があるためそれを使用1
色々調べてみたのですが、以下のような使い方もあるようです。
- テキストで感想を募集するのではなくZoomを15〜30分つなぎつつLPを投影、その場で思ったことを述べてもらう
- 動画(広告、あるいは LP サイト内にに設置する動画)を見てもらい感想を募集
- 広告バナーを見てもらい感想を募集
- 採用コンテンツを見てもらい感想を募集
ただし、コンバージョン率がそもそも低い段階の場合、伸び代もあるため、回答数をかき集めた方が活かしがいのある素材を手にできる可能性も高まると考えられるため、個人的には1対1の形式で募集は、すでにピンポイントでボトルネックとなっているようなポイントがある場合や、ある程度コンバージョン率が高まっている状態での利用に留める形が良いでしょう。
以前に SmartHR を創業した宮田さんが 「WordPress で LP を作成し、Facebook広告に2万円を投下して事前登録がどれぐらいくるか」を見ていたという話をされていたのが、非常に印象に残っています。
当時の Facebook 広告(現 Meta 広告)は CPM も今に比べ低かったので、このようなテスト的な運用が可能でした。
ただ Facebook 広告(現 Meta 広告)の CPM はもちろん、リスティング広告のクリック単価も軒並み高騰しており、現在はそのような形でデータを集めて改善していく…といったことは難しくなっています。
また特にスタートアップの場合、新規事業の広告に投下できる広告費は非常に限定的な場合も多く「正直2万円の広告費も…」というケースもあるかと思います。
そういった場合、広告のデータよりは精度が劣るものの、クラウドワークスを用いて近い層の忖度のない生のフィードバックをかき集め、それをもとに LP 改善を繰り返していけば、広告費をかけながら改善を行っていくよりも効率的に(特にクリック単価の高い市場の場合など)改善を実施できる可能性があります。
本記事を書いていて少し思い出したことがあるので追記します。
以前、アナグラム社の小山さんが執筆された記事の中で、「まずは初月に結果を出して信頼してもらうこと」の重要性が指摘されていたことがありました。
広告は即効性があります。理想は初月に成果を出すことです。そうすると、それはあなたの手柄。信頼されアドバイスを求められるでしょう。
しかし時間がかかってしまうと・・・他の人の手柄になってしまいます。なぜなら、他の施策、季節要因など色々な変数があって、比較がしづらくなってしまうからです。まずは初月に結果を出して信頼してもらうこと、これが第一歩です。
引用元:広告運用だけでなくマーケティング全般の仕事をまかせてもらえるようになるには?|アナグラム株式会社
また、小山さんだけでなく阿部さんもX(旧Twitter)で上記記事に関連し、同様の指摘をされています。
何故初月に限るかって?初月以外で成果を上げたところで、それは我々のおかげではなく、別のおかげになってしまうからだよ。
— sem_master (@semlabo) July 26, 2020
確かに、広告運用において初月に成果を出すことは信頼獲得の鍵となります。
しかし、機械学習やアルゴリズムの影響が増し、さまざまな要因が絡む現在のインターネット広告に関しては、以前よりも初月から成果を出す難易度は上がっているかもしれません。
ただそもそも、今回のような形で広告とは全く関係のないところで最適化を進めてしまい、お金をそこまでかけずに LP を最適化し尽くしてしまえば、初月だろうと、なんなら初週、初日からでも成果が出せるかもしれません。
時には牙をむく機械学習やアルゴリズムですが、そういった準備を徹底することで、はじめから強烈な味方にすることも可能なはずです。
文責:川手 遼一
- お金を誰が支払うかとか、アカウントを誰が新規で用意するかとかクレカどうするかとか、そういう面倒なことを話し合っている時間も機会損失になるので、またこういう制度があるとスパッと「うちとしてもグロースしたらありがたい話なので、少額ですし、うちからの持ち出しでやらせてください」と言い切れるので、便利ですよね。 ↩︎